スイーツ開発の現場を舞台に、主人公・井上樹木(森七菜)を取り巻くラブストーリーが展開されるTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』の第3話が、11月3日に放送された。

コンビニチェーン「ココエブリィ」の本社・商品部スイーツ課の採用をかけて、スイーツ課の北川里保(石橋静河)とのシュークリームの企画で勝負した樹木。勝負に負けて、意気消沈するも、それまでの開発に関わる努力を認められ、商品部スイーツ課に採用されることに。一方、里保が企画したシュークリームは商品化が進む中、配送面の問題が発生していた。

シュークリームの開発中、疲れて会社で眠り込んでしまった時に浅羽(中村倫也)が掛けてくれたジャケットを、クリーニングに出した樹木。返そうとそのジャケットを見ている時に袖を持って一人手つなぎ(!)する姿は、まさに"恋する乙女"でほほえましい! 翌日、それを浅羽に返しにいくも、飼っているハリネズミの大福の匂いが移っていたことが判明。思わず笑みを浮かべる浅羽は、「小動物が小動物を飼ってるとこ想像したら笑える」と憎まれ口を。浅羽にとって、樹木は小動物的な存在(かわいいも含め)らしい。

さらに急に樹木のことをマジマジと見始めた浅羽から、「実はずっと気になってたんだ」と意味深な一言が飛び出て、"樹木に告白か!?"と思いきや、いつもカジュアルな樹木に服や靴を見立てるという、シンデレラストーリーの洋画を彷彿とさせるジェントルな心配りをするのだった。浅羽が選んだものを、うれしそうに試着しつつも、その金額に目を疑う樹木。浅羽は表情一つ変えずに、「給料から引いておく」「出世払いかなぁ」と言っておきながら、最終的には「就職祝いでいい」と言い、樹木を置いて車で出ていく、というツンデレ炸裂! 天真爛漫・自由奔放な樹木でさえ、浅羽には振り回されてしまうのかと思ってしまった。

一方、樹木に恋する新谷(仲野太賀)は会社のことを思い、「彼女(樹木)が必要だ」という浅羽に「拓兄のためにも頑張るって言ってたよ」「(必要と言ってくれた)相手に報いたいと思ったんじゃない」「好きな人のためにとか」と自分の気持ちをよそに、樹木の好意を浅羽に匂わせる。思わず、いい人すぎるでしょ、新谷!と心の声が出そう。対して浅羽は「俺の一番嫌いな言葉だ、"誰かのために"。そんなのウソに決まってる」と答える。ミステリアスな浅羽の心情が見えた場面で、誰かに裏切られた過去があるのかなと思わずにはいられない。

冷めたことをいう浅羽に、思わず「拓兄、友達いる?」と聞いた新谷。そんな新谷を浅羽が凝視することで、"新谷は浅羽にとって友達!"と悟った新谷が「光栄です」とはにかむ場面も。言葉は少ないが心情が伝わったり、意味深に聞こえる言葉を発したり、もちろん演出でもあると思うが、とにかく浅羽の行動やセリフは毎回ドキッとさせられる。そういう先の読めなさという部分で、浅羽と樹木は似ているのかもしれない。そして、この後の展開を思うと、第3話では貴重な"ほっこり"パートだった。

同僚となった樹木に距離感を感じた里保は、樹木をランチに誘って和んだ後に、身の上話をし始め、企画で樹木に先を越されるかもしれない里保の悔しさ、里保と同じようにパッと現れた新人の存在で夢を追われた樹木の悔しさ、同じような"悔しさ"を抱いていたことを共有。2人は「クソッ」と言い合いながら、笑いあう。複雑な思いを抱えながらも、2人が同じゴールを目指す同志になった瞬間だった。そうしたお仕事ドラマとして心が動かされる部分も、本作の見どころの一つだろう。

そんな中、樹木は浅羽にプレゼントされた一張羅で元の職場の「ココエブリィ」店舗を凱旋訪問し、認められた証である"自分の名刺"をうれしそうに渡す。かつての仲間には、出世ぶり以上に恋愛モードがバレバレ。瑛人の「香水」をアレンジして歌っているのが、ノー天気な樹木ぽくてすごくかわいい。そんな仲間たちと新谷で、樹木宅のパーティーが再び開催されたが、樹木の家にある浅羽のジャケットをめぐる"樹木の新カレは浅羽か?"という会話に反応し、笑顔が不自然になる新谷。繊細な新谷の感情の起伏を伝えてくれる、仲野の芝居は今回も秀逸だ。樹木を思う仲間の気持ちも考え、すぐいい人スイッチが入ってしまう新谷だが、小さな抵抗だったのか、新谷が浅羽のジャケットを自分が返そうかと樹木に提案するシーンも切なかった。

新スイーツ開発は里保のシュークリームの配送問題の影響で、浅羽が樹木の商品も配送テストをすることになり、結果、樹木のほうが採用されるという驚きの展開に。新スイーツ発表の壇上で樹木は、「ターゲットは社長。社長は嘘つかないから。容赦なくバッサリ、本当にムカつきます。だから絶対おいしいと言わせてやると思って作りました」とスピーチし、その素直な思いが周囲の心を動かす。一方、その様子をリモートで一人見ている里保が、誰にも知られずに今にも泣きそうな顔をしているのが、あまりにもつらい。樹木も自分に優しくしてくれた里保が心配で、「繰り上がり当選なのに喜んじゃった」と自分の複雑な気持ちを浅羽に吐露。浅羽は「俺は噓をつかない、だからムカつくんだろ」と会見の言葉を交えて樹木を和ませ、里保は大丈夫だと言い切る。

樹木にはそう言うものの、気丈に振る舞う里保のことを気に掛ける浅羽は里保に向き合い、里保も素直に自分の悔しさを口にして、浅羽に寄りかかり涙する。その姿を、浅羽に商品化のお礼を言おうとシュークリームを持ってやってきた樹木が目撃して・・・。浅羽と一緒に食べるためだったのか、そのシュークリームが2つだったこと、自分の気持ちを押し殺して樹木を見送り浅羽の元に向かわせ会社を見上げる新谷の姿、どれもが切ない。そんな、4人の心情が入り混じったラストだった。

第3話では、うれしさだけでなく、仕事でも恋愛面でも、思い通りにならないもどかしさや悔しさがキーになり描かれていたと思う。里保が恐れていたことが実際に起きてしまった展開に、浅羽の非情さも感じずにはいられないが、こんなにも仕事に対して関わる人たちの気持ちがめぐらされていることを改めて感じることができたのは、特筆したい。そして、浅羽のジャケットをめぐり、樹木や新谷の恋心も、より鮮明に描かれ展開が気になるところ。浅羽と里保の2人の姿を見た樹木の心情がどう描かれるのか。そしてやっぱり、自分のシュークリームが商品化されて複雑だけど"喜んじゃった"樹木=森七菜の笑顔が、本当にキラキラと輝いていて・・・これからもこの笑顔が見たい!と思ってしまった。

樹木の心に変化はあるのか、新谷はこのまま樹木の恋を見守るのか、浅羽と里保の恋は再燃するのか、第4話も見逃せない!

(文・小松加奈/イラスト・まつもとりえこ)

【第4話(11月10日[火]放送)あらすじ】
浅羽(中村倫也)と里保(石橋静河)が抱き合っているところを見てしまった樹木(森七菜)。開発したシュークリームが発売され、社長室に呼び出されるが、浅羽を直視できない。
そんな中、新たなプロジェクトが立ち上がる。里保をリーダーに樹木と新谷(仲野太賀)の3人は、リンゴを使ったスイーツ作りの開発に取り掛かることに。しかし浅羽と里保のことが気になり、樹木は作業に集中できずにいた。
一方、新谷は里保から「浅羽に抱きしめられた」と聞き・・・。

◆番組情報
『この恋あたためますか』
毎週(火)22:00よりTBS系にて放送中
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
Paraviオリジナルストーリー『その恋もう少しあたためますか』も独占配信中。