山里亮太の短編小説を原作とし、主演・山里亮太役を仲野太賀が演じるテレビ東京の『あのコの夢を見たんです。』第5話が、10月30日に放送された。実在する女優やアイドルを題材に、山里が様々な妄想を繰り広げるオムニバスで、今回のヒロインは大原櫻子。

冒頭で、真っ白なふんわりワンピースを着た大原が、横断歩道でくるくる回っている。その姿は周りには見えていない。どうやら妖精のようだ。そんな彼女が噛んでいた風船ガムがパチンと弾けると、場面は一転、鬱屈した会社員・山里(仲野)の日常へ。

道でぶつかられても、思わず謝ってしまうし、会社では他人のミスについて、間違えて怒られても訂正・主張できず、並んでいた列に割り込まれても、おしゃべりに夢中で廊下を通せんぼしてしまっているOLたちにも「言いたいことが言えず、飲み込んでしまう」山里。

このようになぜか様々な場面で軽視されがちな人というのは、実際に結構いるもの。しかも、やられた・言われた側はすごく嫌な気分になるのに、相手はさほど悪気がなく、なんなら「言いたいことがあるなら言えよ!」となぜか逆ギレするなんてことも、よくあるパターンだ。

そして、山里が嫌な気分になったときに必ず現れるのが、風船ガムの妖精・大原櫻子である。

いつでも言いたいことを飲み込んできた山里。しかし、そんな山里が「飲み込んではいけない」気持ちに直面する。それは、自分が上司に怒られていたときに、上司の勘違いを指摘してくれた佐久間(柳俊太郎)が、仕事上のトラブルにあったとき。

納期を1週間早めてくれと営業から無理難題をふっかけられ、「クオリティが下がるから」と断ったのに、強引にやらせたのは上司だった。にもかかわらず、いざミスが起こると、全部佐久間のせいにする上司、佐久間をバッシングする同僚たち・・・事情を知っている山里はその事実を「言わなきゃ」と思うが、いつもの癖で、どうしても言い出せない。

そんな山里に、妖精は"SAKURA"と書かれたパッケージのガムを差し出して言う。

「やなこと、全部飲み込んでるんでしょ。言いたいことあるんでしょ。じゃ、これあげる」

そこから、妖精に背中を押されるように、自分の思いを少しずつ吐き出す山里。その姿を見て、妖精は言う。

「ガムが割れたら口に出せなかった嫌な気持ちが飛んでいくでしょ」

妖精に励まされながら、次々に嫌な気持ちをテンポ良く口にする山里は、まるでトレーナーの指導のもとでトレーニングに励むボクサーか、フリースタイルラップのラッパーのようだ。

そして、妖精との「特訓(?)」の成果がついに実り、山里は初めて上司に対して「言いたいことをちゃんと言う」ことができる。しかも、自分のためではなく、同僚の佐久間のために。しかし、それは同時に、風船ガムの妖精からの「卒業」のときでもあった。

それにしても、真っ白なワンピースでくるくる回る大原子のそのまんまの妖精っぽさはすごい。空気を読むことを要求され、言いたいことがなかなか言えない人が多い時代。そんな人々の思いが作り出した夢が、大原櫻子なのだろう。こんな妖精、本当にいたらなあ。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【第6話(11月6日[金]放送)あらすじ】
青春なんてバカバカしい。高校生の山里(仲野太賀)はそう思いながら日々を過ごしていた。そんな時、天才空手少女・舞香(山本舞香)と出逢う。舞香の眩い笑顔に、思わず告白してしまう山里。しかし舞香からは「ハンカチを取れたら付き合ってあげる」とまさかの答えが!その日から二人の長い戦いが始まった。ハンカチが紡いだ恋の闘い・・・そこに鬼瓦(関口メンディー)が乱入して大騒ぎに。果たして山里は舞香の彼氏になれるのか!?

◆番組情報
ドラマ24 第60弾特別企画『あのコの夢を見たんです。』
毎週金曜深夜0:12よりテレビ東京系にて放送中。
(※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0時12分から放送)
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信中。