山田涼介と田中圭が凸凹バディの刑事を演じ、池袋の町で起こる凶悪事件に挑む『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』の最終回が、10月16日に放送された。

「異母兄弟」だと思っていた神崎隆一(山田)と黒木賢司(田中)が、実は他人で、「警察官の息子と犯罪者の息子」だったこと。しかも、賢造(椎名桔平)の本当の息子が黒木で、自分が犯罪者の息子だったという衝撃の事実を知った神崎は、自暴自棄になっていた。

そんな中、22年前の「ファミレス立てこもり事件」をめぐり、行方をくらましていた賢造が副署長・澤登(六角精児)のもとに現れ、現場に隠れていた捜査員たちによって、わき腹を銃で撃たれてしまう。賢造は、黒木に向かって「隆一に伝えてくれ。お前の父親は警察官だ」という謎の伝言を託すが・・・。

父を守れなかったことで自暴自棄になり、酔って暴れ、逮捕された黒木を守るのは、やっぱり神崎だ。

「そもそもなぜ兄だと名乗り出たのか」と聞く神崎に、黒木はこう答える。
「知りたかったんだよ。俺と母さんを捨てた親父が、お前をどういう風に育てたか。犯罪者の息子がどんな風に育ったか・・・。よーくわかったよ。お前のことも、親父のことも。俺が長い間、間違えてたってことも。犯罪者の息子だろうが警察官の息子だろうが、関係ない。要はてめえの生き方次第だって」

それに対して、神崎も「僕が僕でいられるのは、奇跡なんだな」と語る。兄弟のわだかまりがなくなり、一件落着――と思ったところから、「事実」は二転三転する。

賢造の神崎への謎の伝言「お前の父親は警察官だった」の意味は、育ての父である自分ではなく、本当の父・井原(高橋努)を指していたこと。そんな井原は、暴力団と癒着していると噂される警察官をあぶりだすために送り込まれた「潜入捜査官」だったこと。そして、潜入捜査が違法であることから、警察によって、井原の死が暴力団員の死亡事故として処理され、隠ぺいされたという事実が発覚する。

暴力的な役柄を多くこなす高橋努のコワモテぶりから、その線は全く考えていなかっただけに、ちょっとびっくり。しかし、暴力団と癒着していて、真相を隠すためにさまざまな人を傷つけてきた「黒幕」が副署長だということは、おそらくほとんどの視聴者の予想通りだったろう。

ただし、予想外なのは、神崎と黒木二人に追い詰められ、罪を認めた副署長の"壊れぶり"だ。「ワハハハハ~~」と笑い、白目をむき、口をパカッとあけ、首や体全体をカクカクと折り曲げながら壊れる「顔芸」ならぬ「全身芸」が、あまりに豊かすぎ・凄まじすぎるために、「絶対ここから変身して、最終形態になるパターン」だと確信してしまった。

しかし、副署長が逮捕される中、夫を見殺しにした警察に恨みを抱く、井原の内縁の妻で神崎の母親・ひかり(仙道敦子)が登場。そして、母の犯罪を止めるべく、神崎が説得にあたる。人を信じる力で、これまでも犯人を説得してきた神崎の「最後の説得相手」が、実の母とは――。

しかし、目を真っ赤に充血させて説得する神崎の熱演ぶりが最高潮となるクライマックスで、まさかの悲劇が起こった(※筆者基準)。
神崎の背後に映り込んでいるのは、手錠を掛けられた状態の副署長・六角さん。直前で見せた壊れぶりが強烈すぎたために、後ろにピントが合っていないにもかかわらず、黙って後ろで聞いている副署長がいつ最終形態になるのか、気になって仕方ない。六角さんのサイテーでサイコーなサービス精神と巧みな演技力が、こんな形で面白展開を誘ってくるとは。

終盤で一気にシリアス展開になっていた『K2』だが、最終的に着地するのは、やはり明るく楽しい笑いである。そして、「強行犯係」チームにも再び平和が取り戻されたのだった。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

◆配信情報
『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で全話配信。
また、ジェシーが主演を務めるParaviオリジナルストーリー『キワドくなりたい男』も独占配信中。