同じ名門校に通う息子を持つ境遇の異なる3人の母たち。夫が失踪しシングルマザーで息子を育てる石渡杏(木村)、小説家志望の専業主夫である夫と引きこもりの息子を養うキャリアウーマンの林優子(吉田)、エリート夫の不倫を問い詰められずにいるセレブ母・蒲原まり(仲)。一見幸せそうながらも、それぞれに秘密と悩みを抱える3人の母たちの心の隙間に入り込む別の男性との"恋愛"模様を描く、原作・柴門ふみ×脚本・大石静のタッグでおくるラブストーリーだ。
3人の美しい母たちの心を揺さぶる3人の男性陣には、まりに一目惚れして強引に誘いをかける人気落語家・今昔亭丸太郎役で阿部サダヲ、杏の夫と駆け落ちした女性の夫・斉木巧役で小泉孝太郎、優子と同じ会社で働く有能な部下・赤坂剛役で磯村勇斗がスタンバイ。主題歌は松任谷由実が書き下ろした新曲「知らないどうし」。数々の主題歌を手掛けてきたユーミンが、15年ぶりにTBSドラマの主題歌を手掛けたことも話題となっている。
木村、吉田、仲の "母たち"3人は、登壇した"息子たち"を見守りながら会見を。吉田演じる優子の息子・林大介役の奥平は「ドラマに出ること自体が初めて。いいドラマだと思っているので、楽しみにしていただけるとうれしいです」と初々しくコメント。仲演じるまりの息子・蒲原繁秋役の宮世は「緊張していてヤバイです(苦笑)。大人っぽいドラマなんですけど、そこにいる息子たち3人がかわいくて。ドロドロ系(のドラマ)なんですけど、息子たちを見ているとキュンとくるようなところもありますので、恋する"息子たち"と"母たち"をよろしくお願いします」とあいさつし、笑いを誘っていた。
そして、木村演じる杏の息子・石渡研役の藤原は、「こういう舞台でたくさんのフラッシュをあびたのは初めてなので、だいぶ緊張しているんですけど、たくさんの人にドラマのいいところを伝えられるように頑張ります!」と気合十分。木村は、「たいしたものですよ! すごくしっかりなさっていると思います、3人とも」と"息子たち"に太鼓判を押していた。
19年ぶりにTBSの連続ドラマで主演を務める主人公・杏役の木村は、「時の流れを感じますね。柴門ふみさんの原作漫画が好きで読んでいたので、(出演が決まり)『本当ですか!? うれしい!』という気持ちでした。セレブ妻とキャリアウーマン母はやったことがあるのですが、杏みたいなタイプはやったことがない役だったので、大変新鮮でした」とコメント。杏に共感できる部分を聞かれ、木村は熟考し「・・・そうですね。(劇中で)『怒りとか悲しみが、性欲に変わる瞬間があるんだよ』という難しいセリフがありまして。それがすごく、杏を深い人物として掘り下げるセリフだなと思いました。共感とするというか、考えされます」と思いを巡らせていた。
優子役の吉田羊は役どころについて、「大手食品メーカーに勤めるキャリアウーマンで一家の大黒柱。一見、しっかり者ではありますが、社員証をぶら下げたまま電車に乗ってしまうような抜けたところもあって、その彼女の抜け感、ただの強い人ではない人間らしいところが、彼女をチャーミングに見せていると思います。優子は、家にいるよりも仕事をしているほうが落ち着くような、自分の母性に確信が持てない人。そういう部分は、私にとっても共感できる部分かなと思います」と語った。
また、優子の夫・シゲオ役の矢作兼(おぎやはぎ)の共演について聞かれると、「お芝居が本当にステキなんですよ。真面目で、本番直前まで練習しているんだけど、本番でパッとセリフが抜けたりして。明らかにセリフがとんでいるのに『自然な"間"だよ』という顔でOKテイクにしてしまうという(笑)。あれは、長年のお笑いライブの賜物なのかなと思って、毎回すごいなと思って拝見しています」と明かし、周囲から笑いがこぼれていた。
「港区女子みたい」(仲)という3人の子供を持つ、まり役の仲は「こんなに大きな息子がいる役は初めて。母性を画面で出せるかどうか...。借りてきた猫のようにならないように、母親として子どもたちに向き合えるかどうかを、撮影しながら頑張っています。自分の息子のことを想像して、『息子が大きくなった時に、こうされたら、私、どうするかな』と考えました。ゆっくり、じっくり、お母さんを頑張りたいと思います」とコメント。
また、阿部演じる丸太郎との恋路について聞かれ、「一番派手で、一見軽そうに見えそうなんですが、この3人の中では一番ガードが堅いというか。いろいろなことが未経験で、母親だけを一生懸命頑張ってきたんじゃないかなという女性。そうした部分に、丸太郎さんも惹かれていくのかなと思います」と語った。
続いて、息子役の3人がコメント。奥平は「大介は学校生活がうまくいかず、引きこもりになってしまって、そのうえ反抗期。母親とはうまくいっていないけど、父親とは仲良くやっている男の子で、とある秘密があったりします。自分の私生活とは、全然似ていなくて、大介に共感できるところがあまりないです。自分は反抗期も終わって、母とは仲良くやっているので。演技ではあるんですけど、吉田さんに強く当たってしまうところは、毎シーン、心が痛いです」と。自身の反抗期にツッコまれ、「親と口をきかないというのは、大介と一緒なんですが、学校帰りに夜遅くまで遊んでいて...本当に申し訳ないことをしたなと思います」と反省する一幕も。見どころについては、「大介の秘密が、今後の物語に関わってくると思うので、ぜひ楽しみにしてください」とアピールした。
宮世は、「繁秋は反抗期で成績が名門校のビリ。親には反抗するし、お父さんのことは無視するけど、母親を思っているし、妹には優しいので、繁秋のいいところを見つけるのが見ていて楽しいと思います」と見どころを語った。役との共通点については、「繁秋はずっとヘッドホンをしているんですが、僕も音楽が好きでずっとイヤホンをしていて。繁秋がヘッドホンを取られるシーンがあるんですが、僕もリアルに、家でイヤホンしていて話が聞こえなくて、母にイヤホンを取られたことがありました。僕も妹がいるので、そこは演じやすいです」と。さらに「母も守りますよ!」と頼もしい答えが飛び出し、仲が笑顔を見せていた。
藤原は、演じる研について、「とにかく母親と仲が良くて、母が喜ぶことをしてあげたいと思う優しさが一つ一つの行動にある男の子。成績は、ちゃんと勉強していてもビリから2番目(苦笑)。役との共通点は、母親想いのところですかね!」と照れながらコメント。すると、木村は「藤原くんと撮影合間に、(小道具の)高校の教科書を一緒に見ていたんですが、英語の発音がものすごくきれいだったんです。ペラペラに読んでいましたよ。そして、趣味はジャズピアノ!」と絶賛し、思わず「ハードル上がってませんか?」と藤原が苦笑い。そんな藤原に、木村は以前からピアノの動画をリクエストいるそうで、「あ、そうだ!」と思いだした藤原に「忘れてた?(笑)」と木村がツッコむなど、親子のようなやりとりに周囲もほっこりしていた。
さらに親子役の互いの印象を聞かれ、木村は「藤原さんは高校2年生とは思えない語彙力。頭がいいと思う。話していても、自分の言葉が出てくるし。台本の解釈を監督とお話されている時も、高校生とは思えない話し方で。大変、賢い」とベタ褒めし、「めちゃめちゃ、恥ずかしい!」と藤原。一方、木村の印象については「テレビを見させていただいていて、明るい方だと思っていたんですが、実際にお会いしたら本当にそのまんま、とんでもなく明るくて(笑)。佳乃さんのおかげで現場に"陽"の空気が流れている」と語った。また、「今は研と仲がいいけど、ここから崩れていく親子なんです。研が複雑な状況に置かれて、反抗期に。悲しいですけど、見守ってほしい」と木村が今後の見どころも明かした。
吉田は奥平に対し、「『MOTHER マザー』という映画を観て、すごい人が出てきたと思いました。演技にまだ慣れていないからこそ、真っすぐにセリフを届けようとしてくださるので、彼とやるシーンは、一つ一つのセリフが突き刺さります。与論島のロケでは、引きこもりの役で日焼けできないので、一切外に出ず、ホテルの部屋でずっと矢作さんが薦めた『時計じかけのオレンジ』を見てたんです。それぐらい役に対して誠実でストイック」と印象を明かした。
一方、奥平は「まだ、芸能人の方に慣れていなくて、お会いしても『本物だ!』という感覚。そういう時に、映画を観てもらえていたのが、すごくうれしかったです。吉田さんも矢作さんもカメラが回っていないところで、親子役の距離感を詰めて、僕の役を作ってくださるということをしてくださったので、すごく助かりました。僕の演技を受けとめてくれるので、僕もやりやすくて、やっていて楽しい」と語り、吉田も「我が息子ながら、良くできた子だなと思います」と顔をほころばせていた。
仲は宮世の印象について「背が高いので、立たれるとすごい迫力(笑)。私が最初に息子に緊張していたんです。琉弥くんからフランクに話しかけてくださって、私も話せるようになりました。『インスタ、フォローしていいですか?』とわざわざ言ってきてくれたり、『YouTube、見てます!』と言ってくれたり、自分からコミュニケーションをとってくれる方。すごく謙虚でステキです」とコメント。それを聞いた宮世は「今、緊張がほぐれました(笑)。共演する前から仲さんのYouTubeをめちゃくちゃ見ていたので、共演が決まった時は噓でしょ!って思いました。しかもお母さん役。ずっと一緒じゃん!と思って」と喜びいっぱいの様子だった。
会見終盤では、10月18日に誕生日を迎える仲のサプライズバースデーも行われ、花のケーキに仲は「かわいい~!」と満面の笑みを浮かべ、「本当にありがとうございます! 31歳も頑張りたいです」と意気込みを述べた。そして最後に木村は「一緒にドキドキハラハラしながら楽しんでいただけたら」とPRし、会見を締めくくった。
TBS系金曜ドラマ『恋する母たち』は10月23日(金)より初回15分拡大で放送。放送終了後より、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信され、さらに、8人の男性が主人公で『恋する母たち』の裏側を男性目線で描くParaviオリジナルストーリー『恋する男たち』を独占配信する。
(取材・文・撮影=齊藤恵)
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