本作は、正義感が強く、噓のつけない獣医・手島伯朗が、突然現れた「弟の妻」と名乗る謎の美女・矢神楓に翻弄されながらも、その魅力に惹かれ、2人で弟・矢神明人の失踪事件を探るうちに、30億円もの遺産争いに巻き込まれていく東野圭吾の同名小説原作の壮大なミステリー作。
伯朗を演じる妻夫木は、『オレンジデイズ』(2004年4月期)以来、16年ぶりにTBSドラマで主演となるが、「16年経ったというのが、信じられなかったですね。それぐらいぶりに、TBSのドラマに帰ってこられたことを、本当にうれしく思っています。16年前の自分に恥じないような芝居ができれば。今回も脚本がしっかりとできる前から、自分の中での、原作のイメージをいろいろと見つけさせていただきました」と気合十分。
役については、「伯朗は曲がったことが嫌いで、正直者な男なんですが、美女に弱いんです。妄想癖もある困った人(笑)」と。さらに、「『本当にこれはミステリーなのか?』と、始まって10分で疑ってしまうような妄想を繰り広げます。恋が成就するんじゃないかという大胆な妄想もあるので、ぜひ楽しんでいただけたら(笑)」と見どころも語った。
一方、楓を演じる吉高は自身の役について「楓はバックボーンが何もない状態で、突然、伯朗の弟の妻だと言って、矢神家の遺産相続のタイミングで現れる女性。人柄は人懐っこくて明るいんですが、ふとした瞬間に『君は誰だか分からない表情をする』と伯朗に言われるような、いろいろな表情を持っている人だなと思って演じています」とコメント。
主人公・伯朗を見下す矢神家の養子・勇磨を演じるディーンは、「(勇磨は)悪い奴ですよ、演じていて心配になりますね」と吐露しつつも、悪役を演じることについては「めっちゃ楽しいですね(笑)。セリフで『負け犬』と罵ったりするんです。なかなかこういうセリフはないので、楽しんでます。嫌悪感が出るところまでやっちゃうと、キャラクターが活きてこないと思うので、演じる上で下品にならないように気を付けています。勇磨が『なぜ、こういう人間になってしまったのか』ということを、自分の中で持ち続けることが大事なのかなと思います。物語の中ではそんなに描かれないかもしれませんが、そうした、生い立ちのような、キャラクターの文脈がしっかりあることで、物語が進むなかで、『もしかして、この人は・・・』という、違う楽しみ方に貢献できたらいいなと思います」と語った。
また、妻夫木との熱のこもった芝居に「ボコボコにされました。撮影していると、勇磨の方がいじめられているよう」と感服。「言い過ぎかな?」と妻夫木に反応をうかがうと、「そんなことないですよ、罵られてますよ、毎回(笑)」と。「そうか、勇磨は言葉で攻めて、伯朗は暴力で・・・」と言い掛けたディーンに、妻夫木が「最低な男じゃないですか、僕(伯朗)は」とツッコみ周囲の笑いを誘っていた。
伯朗が務める動物病院の助手で、伯朗の妄想にもたびたび登場するという、蔭山元美役の中村アンは、自身の役について「美女に弱くて、優しい伯朗にキリっと指摘したり、見守ったりしている女性。女性としては、伯朗のそういう部分は、うれしいんじゃないですかね」とコメント。また動物との撮影については、「初めてですね。いろいろな動物がいます。長時間だと、ワンちゃんが眠そうになったりしていました」と現場のエピソードを明かした。
また、1話の撮影裏話について語る場面では暴露合戦に。ディーンは「ぶっきーの芝居に懸ける熱量を感じました。勇磨が伯朗に襟をつかまれるシーンは、本番前は優しかったけど、本番は思いっきりこられて・・・。古傷が傷むぐらい、頭がくらくらに。迫真のシーンになっていると思う」と。すると妻夫木はそのシーンの撮影前に、吉高にビンタされるシーンがあったことにあえて触れ、「本番でバチーンというビンタが来まして。その記憶が頭に残ってたんじゃないかな・・・」とコメント。
そんな妻夫木に「ちょっとー、道づれ~!」と吉高がツッコみ、「(利き手じゃない方のビンタで)加減が分からなかった。ヤバいと思ったけど、2回はやれないと思って。入ったなぁと実感がありました」と苦笑いしていた。また、「アンちゃん、すごくせっかちなのか、元美の衣装がスカートだった時に、そのスカートを上げて大股で歩いてたんです」と妻夫木が明かし、「こういう所作は男性の前では、ダメですね」という中村に、「"おかっぴき"みたいだよ(笑)」とツッコんでいた。
そして、最後に出演陣がメッセージを。中村は「いろいろな要素が詰まった作品になっています。楽しんでみてほしいなと思います」と語り、ディーンは「動物たちもかわいいし、矢神家の家具もすごく高価なものを使っていて。そういうのもよいですが、やっぱり見どころは物語。素晴らしい原作、脚本、演出があり、演じる人間が最後のピースをはめる作業を1シーン1シーンできているんじゃないかという手応えを感じています。ぜひ芝居を楽しんでいただきたいですし、自分が演じる矢神勇磨の、『何なんだ、こいつ!』っていうところ、最終話までご期待ください」と見どころを。
吉高は「登場人物のみんなが怪しくて、個性的で、全員、誰が敵か味方か、分からない感じです。この人が怪しいとか想像しながら、見ていただけたら」とコメントし、最後に妻夫木が「久しぶりの東野圭吾さんの原作の連続ドラマというところも期待していただきたいですし、黒岩勉さんの脚本がさらに脚色され、魅力を増したドラマになっています。1話ごとに謎が謎を呼ぶ展開、くせ者しかいないです。そういう謎解きを、皆さんもしていただけたらうれしいです」とメッセージを送り、会見を締めくくった。
『危険なビーナス』初回は、10月11日(日)21:00から25分拡大で放送される。また、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、蒼井翔太主演でオリジナルストーリー『安全なビーナス』も独占配信することが決定。10月25日(日)の『危険なビーナス』第3話の放送終了後から配信を開始する。
さらに、TBS×京王電鉄×原作元・講談社の共催による、オリジナル謎解きイベント「現地調査型ミステリー 危険なビーナス 手島伯朗もうひとつの解読記録~」を、京王電鉄沿線で開催することも発表された。12月20日(日)まで、京王線・井の頭線の各駅に仕掛けられた回遊イベントで、すべての謎が解けると、抽選でドラマのノベルティグッズなどステキな商品が当たるチャンスがあるという。
(取材・文=齊藤恵)
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