佐藤二朗が主演する『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)の第11話が、9月18日に放送された。
今回は冒頭から、服にハンガーつけっぱなし、鼻はかみっぱなし、どうしようもなくだらしなく、グダグダしている大沢木家の父・大鉄(佐藤二朗)に、娘・桜(岸井ゆきの)が大激怒。
しかし、それグダグダ反論する大鉄の言葉に相槌を打ちながら、林家パー子のように甲高い声のハイテンションで「あ~ッはッはッ」と笑う順子ママ(水野美紀)が、なんだか怖い。笑っているのに目が全然笑っていない。
と思ったら、やはり目は笑っていない笑顔のままで、グダグダしている大鉄に「たまにはみなどっかに連れて行ってくださいよ」と家族サービスを要求。
ここからハイテンションの悪夢が始まるのだった。
大鉄が温泉旅行のチラシを肌身離さず持っていたことから、「家族サービスなのでは?」「奇跡!」と盛り上がる大沢木家。いつの間にかチラシが沖縄旅行のパンフにかわり、さらにアメリカのサンタモニカに・・・という勘違いまで発展してしまったから、大変だ。
大沢木家が家族旅行に行くらしいという「珍事」の噂はたちまち近所中に広がり、あまりにレアなことから「ご主人の余命いくばくか」という尾ひれまでついてまわっていた。
また、この話を聞きつけた仁ママは、「ヤツらが行く前に、家政婦としてあの家にもぐりこんで、飲み食いするの」という計画まで語る。これじゃまるで『パラサイト 半地下の家族』である。
いよいよサンタモニカ行きを確信してしまった家族は浮かれまくり、順子ママが「手加減なしのバカンスに誘う気よ!」と興奮すれば、桜は「ばかげんなしのテカンス~~!」。もう完全に目がイっちゃってる危険な状態だ。
しかし、完全にバカンスファッションで浮かれまくった一家を乗せて走るタクシーが到着したのは、近所の公園。「千葉のサンタモニカこと新浦安」だという。
当然ながら落胆し、怒りをぶちまける順子ママと夫婦喧嘩になってしまうが、いたたまれなくなった大鉄がその場からタクシーで去るもスピード違反でパトカーに追われ、逃げ回るうちに落雷に見舞われ・・・。
いつの間にか、大沢木家に到着。すると、そこには順子と、大鉄の姿があったのである。
この回、ずっと悪夢のような奇妙なハイテンションが続いていると思ったら、なんと行き着いた先は、5カ月前。まさかのタイムスリップが描かれたのだった。これじゃまるでヨーロッパ企画の『サマータイムマシン・ブルース』ではないか。
思えば、第1話からときどき違和感があり、中華料理の回では明らかに大鉄が2人いるなど、妙な展開があったが、そんな壮大な伏線がはられた作品だったとは......。
コロナ禍による中断を経て、放送が再開されてからというもの、「ヨーロッパ企画」濃度がどんどん高まっている。『浦安鉄筋家族』のキャラや世界観・概念を完全に吸収し、一体化したように、自由に遊び始めてからは、どんどん面白さが増している。
しかし、名残惜しいが、残りはあと1話。仕方ない。壮大な伏線を見つけるためにもう一度1話から見直してみるか・・・。
(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)
【最終回(9月25日[金]放送)あらすじ】
限りなく東京に近い千葉、浦安。"夢の国"から少しはずれたところに、どんな些細な出来事でも大波乱になってしまう大沢木一家が住んでいた。家族旅行が叶わず落ち込む大沢木家は、テレビで驚がくのニュースを目にする。なんと大鉄(佐藤二朗)がトリッキーな運転をするタクシードライバーとして、サンタモニカで話題だという!さっきまで一緒だった大鉄がなぜ突然サンタモニカに・・・?
一方5カ月前にタイムスリップ中の大鉄は、自分の行動が過去の不思議な出来事とオーバーラップしていることに気づく――。海を越え時空を超え爆走する"大鉄タクシー"!最後にたどり着くのは一体どこだ!?とにかくパワフルで極端な家族が巻き起こす、最高のエクストリーム・ホームコメディ!ついに最終回!
◆番組情報
『浦安鉄筋家族』
毎週金曜夜0:12からテレビ東京で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信中。
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