山田涼介と田中圭が"異母兄弟"で凸凹バディの刑事を演じる『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』が9月11日に放送開始した。

原作は、『ルパンの娘』の原作者でもある横関大による刑事小説「K2 池袋署刑事課 神崎・黒木」。「同期の腐れ縁」という原作での設定を、ドラマ化にあたって「異母兄弟」に大胆に変更したのは、吉と出るか凶と出るか――。

また、同枠で前週まで放送されていたのは、綾野剛×星野源W主演・野木亜紀子脚本の『MIU404』だ。同じ刑事バディものであるうえ、社会派エンタメとしての完成度の高さから、余韻が今も続いている人が多い状況下で、新たなスタートを切らなければいけないのは、少々、酷なのではないかと思っていた。

おまけに、山田が演じるのは生真面目なキャリアの新人・神崎隆一で田中が演じるのは、破天荒で、直観力と洞察力がピカイチの黒木賢司。設定だけ読むと、「九重と伊吹?」と、ますます『MIU404』と重ね合わせてしまう人もいるだろう。

しかし、そんな不利な条件下の不安を払拭するように、冒頭からテンポの良い展開が繰り広げられる。

第1話では念願だった池袋署刑事課・強行犯係に配属された神崎(山田)が出勤初日を迎えるも相棒となるエース刑事・黒木(田中)が出勤しておらず、その行方を探すことになるところから始まる。血のついた黒木の警察手帳を発見した神崎は、黒木が誘拐事件に巻き込まれたことを知り、居所を突き止め、合流を果たすが、そこで一緒に捕らえられていた少女は、なんと別人のなりすましだった・・・という物語が展開されていく。

気合が入りまくり、声が裏返り、小鼻をちょっと赤く膨らませたり、拘束されている少女に対して、緊迫した場面にもかかわらず杓子定規に爽やかに「まずは安否確認をさせてください」と始めたり、ケガで職を失った少女の父の話に感情移入しすぎて涙と鼻水をダラダラ流して泣いたりする神崎(山田)は、ひたすらアホ可愛い。その真面目な空回りぶりは、山田の出演作の中でも最も愛されている一つ『もみ消して冬』を思い出させる愛らしさだ。

まさかジャニーズJr.だった中学生時代に「セクシー」と言われ続けていた彼が、10年以上の時を経てアラサーになり、「ベビーフェイス」と揶揄される時の流れの逆行を見せるとは。ある意味、人類の奇跡である。

一方、『おっさんずラブ』以降、「はるたん」的可愛さを求められることも多い田中圭が、本作で演じているのは、「塩顔ハラスメント」(by神崎)と言われる、キレ者で、気だるげで、口が悪いキャラ。おかげで、いつもより色気が倍増しており、おそらく「こういう田中圭が見たかった」と思う人も少なくないだろう。

そんなバディの魅力に加え、随所に仕掛けられた江口のりこ、八嶋智人、マキタスポーツらの掛け合いが生む笑いが、小気味よい。

意外だったのは、もともと番宣で強調されていた「異母兄弟」という設定が、終盤まで明かされないこと。しかも、どちらもそれを知らなかったこと。そして、二人の過去に何か大きな事件が関わっていそうなことを示唆する映像が差しはさまれる。

軽いコメディとして見ていると、不意に気になる展開が盛り込まれてくる本作。意外に食えない作品なのかもしれない。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【第2話(9月18日[金]放送)あらすじ】

突然自宅に押しかけられ、「俺たちは、腹違いの兄弟だ」と黒木賢司(田中圭)から衝撃の事実を聞かされた神崎隆一(山田涼介)。半ば強引な形で始まった共同生活に、神崎のストレスは溜まる一方だった。そんななか、池袋署管内の美容室オーナー宅で強盗殺人事件が発生。防犯カメラの映像から、美容室従業員でカリスマ美容師として度々マスコミに取り上げられている芳村敏生(神尾楓珠)が重要参考人として浮上。犯行を頑なに否認していた芳村だったが、突如として犯行を自白。そんな芳村の態度に違和感を感じた神崎は黒木と共に捜査を開始する・・・。

◆番組情報
『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』
毎週金曜22:00からTBSで放送、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で地上波放送後より配信中。
ジェシー演じる諸星が主人公のParaviオリジナルストーリー『キワドくなりたい男』も独占配信中。