佐藤二朗が主演するドラマ『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)の第7話が、8月21日に放送された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、撮影中断期間をはさんで、第6話が放送された5月15日から、約3カ月ぶりの放送再開である。
続きの展開が気になるドラマではない。第6話でそのまま終了していても、何ら困ることはない。だからこそ、3カ月ぶりに放送再開された『浦安―』の世界が、こんなにも温かくありがたく感じられるとは、正直思ってもみなかった。
今回の最大の見どころは、「家」である。というのも、撮影場所の一軒家が放送休止中に取り壊されてしまい、「新居」での撮影となったためだ。このピンチをどう乗り切るのか。
しかし、予算の都合もあってか、ストーリー上で家が壊れるわけでも、引っ越しするわけでもなく、冒頭では佐藤二朗の口からこんなセリフが飛び出す。
「お母ちゃん、ウチが壊れたって聞いたんだけど」。
それに対して水野美紀が言う。
「そんなのデマに決まってるじゃない(笑)」
さらに口々に「人ん家の中とか細かいとこ見るなよ」などと釘を指す。これは当然、ダチョウ倶楽部の「押すなよ、押すなよ」的あおりだろう。
当然ながら視聴者は、家のどこが変わっているかを注視したが、最初のダイニングのシーンでは違いがあまりわからない。しかし、芝居が和室のシーンに切り替わると、大きく間取りが変わっている。よく見ると、ちょこちょこ違う。そんな中、出演者たちの「家が変わった」イジリは続き、酔っぱらった大鉄(佐藤)が「なんか家が違うような・・・酔ってるからだな」と言うシーンもあった。
ロケ地がなくなるという前代未聞のトラブルに対する、こうした切り抜け方は、いかにも『浦安』らしい。
しかも、満を持してのリスタートは「結婚記念日に飲もうとした一升瓶のフタが開かず、困っているところに、さまざまな人物が現れ、"ビンのフタチャレンジ"に挑む」という、とんでもなくユルイ話である。
大沢木家がいつものように大騒ぎで瓶のフタと次々に格闘したり、家族全員が「大きなかぶ」状態で一列につながり、「うんとこしょ、どっこいしょ」をやったり。そこに、大金持ちのあかねちゃんが登場し、万札を渡して「買えば良いじゃん!」と無邪気にニクタラしさを炸裂させたかと思えば、仁と仁ママ、くるくるパーマで太眉の藤田朋子、「破壊王」橋友信也(橋本真也をモデルとしたキャラ)役として息子の橋本大地がチャレンジに来たり、本人役で武井壮、エロイ人妻役として葉加瀬マイ、主題歌を歌うサンボマスターまでも登場したり。
サンボマスターに至っては、「ビンのフタチャレンジ」に挑むことすらせず、ただ「家、変わった?」と何度もツッコんで帰っていった。
ゲスト盛り沢山のお祭り回のもう一つの見どころは、水野美紀演じる順子ママのビンタの多さ。片っ端からビンタしまくり、プロレスで暴れまくり、素で噴き出しまくり、元気いっぱいである。
コロナ禍を挟んで再開された第7話は、ドラマ『浦安鉄筋家族』が始まって以来のおバカなエネルギーに満ちた癒し回だった。
(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)
【第8話(8月28日[金]放送)あらすじ】
霊が見えすぎる霊媒師ボギー愛子もびっくり!大沢木家は霊のスクランブル交差点?稲川ジューンはタクシーで怪談話?禍々しい土井津家で妖怪大戦争?騒動に巻き込まれた大鉄(佐藤二朗)と順子(水野美紀)・・・霊が憑いて大暴れ!刺す!掴む!投げる!衝撃映像大連発で、金鉄(坂田利夫)も思わず幽体離脱!?霊だらけの大運動会で大沢木家は一体どうなるわさー!
◆番組情報
『浦安鉄筋家族』
毎週金曜夜0:12からテレビ東京で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信中。
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