――本作のオファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか?

いくつかミュージカル作品に出演させていただいているんですけど、映像とミュージカルが融合したものにいつか参加してみたいという興味がありました。まさかこのタイミングで、リモートでそれが実現するというのは想像もしていなかったのでうれしかったです。でも、"前代未聞"の企画だなと思ったので、お話しを伺ったときも、楽曲と台本いただいて稽古に入ってからも正直「本当にできるのかな」と思っていました(笑)。

――ミュージカルでは掛け合いが大事ですよね。リモートだと難しいと思うんですが、どのようにされたんですか?

そうなんですよね・・・画面越しなので、少し大変でした。最初のころは画面がフリーズしたりして調整するのに時間がかかっちゃってました。撮影場所になっているハウススタジオの違う階にいる...というような感じだったのでその特殊な環境に慣れるというところから始まって、本番ではアプリではなくカメラを取り付けてリモート風に撮るということだったので電波は大丈夫だったんですけど、実際顔を合わせてお芝居をするのと全然違うから、画面越しでも相手の微細な表情を読み取れるように意識するようにしました。

あとカメラが固定されていて、普段ならカメラマンさんに寄ってもらってるようなところを自分から寄りに行ったりすることもありました。モノローグが多いんですけど、そのときは画面からちょっと外れたり・・・カメラに映るアングルというのも稽古の時から計算しながらやっていて、キャスト全員共通認識で課題にしてました。

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――他にも苦労された部分はありますか?

歌を覚える期間が短かったですね・・・(笑)。顔合わせの時に「曲、まだ絶賛作ってます!」という感じだったので。楽曲が届いたその日に歌稽古して、一応撮影本番迎える前にプレスコ(楽曲を全部収録した状態で流す)をやったんですけど、そのために歌稽古が始まって二日後にはレコーディングしなければいけなかったので大変でした。

でもそういうスケジュール感の中でも、突貫工事感が出てはいけないし、"取り急ぎ"みたいにならないように一生懸命向き合って「ああかな、こうかな」とギリギリまでやって。レコーディングの最中も指示していただきながら大切に作りました。

――期間が短かい中で作り上げるのはやはり大変でしたか?

恐ろしいスピードだったので、日にちは進むんですけど毎日今日なんじゃないかって思うくらいのスピード感で・・・。毎日同じ場所に行って同じメンバーと顔を合わせて同じように覚える作業を繰り返してるから、早すぎて逆に1日に感じるみたいな(笑)。動くのが早すぎて逆にゆっくりに感じるみたいな現象と一緒なんですかね。新感覚でしたね、あっという間だったんです。毎日無我夢中だったので。

――ストーリーについてどういう思いを持ちながら演じていたんですか?

前半は特にコメディ要素が強いなと思いました。とあるリモート飲み会で集まったハンコを売ってるお店の5人っていうことで・・・掛け合いでくすっと笑ってもらえたらいいなと思ってやっていたんですけど、徐々に中盤から後半にかけて、みんなが自粛中に抱いていた気持だったり、なかなか素直に伝えられないことだったりというのを、各々がしっかり漏らしたり受け取ったりということをしている作品なので、そういうところで心にも寄り添えたらいいなと思いながら演じました。

――自身の役で共感するところはありましたか?

思ったことを素直に言えないというところは共感しました。希奈梨ちゃんはずっと自粛期間中にもやもやと抱えていたことがあって、それを先輩に伝えようと思ってリモート中にチャットでそれを文章に打つけど送る勇気が出せなくてデリートしちゃうんです。そういう気持ちなんか分かるなって。相手に伝える時の勇気をふり絞る感じとか、言えた後にその人との関係性がぐっと変わるところも、日常生活にあることだと思うので、そこは演じながらすごく共感できました。

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――共演者の方々のご印象は?

基本的にみんなで「こりゃ大変だ」という共有と励ましをお互いに掛け合ってました(笑)。斉藤さんはテレビで拝見するようなあのキャラのまんまでしたね。思わず笑っちゃうんです。あと、劇中劇で『ロミオとジュリエット』のような描写があるんですけど、斉藤さんが演じるロミオがおかしすぎて(笑)。実際の撮影の時は一人ずつだったんですけど、あのテンションで一人でやれるのすごいなって。
私がジュリエットの撮影をする時に「斉藤さんのロミオはこんな感じだよ」って見せてもらったんですけど、一人で声を出して笑っちゃいました(笑)。あのシーンの斉藤さんだけのフルバージョンをノーカットでご覧いただきたいっていうくらい、すごかったです!軽やかなステップでどこかに向かって行ってるみたいな。あれはたぶん斉藤さんにしかできないんじゃないでしょうか。思わず笑っちゃうすごさ。声もすごい素敵だし。いい声してるんですよね。でも斉藤さんが真剣にやればやるほど、なぜか笑えて・・・すごいなと思いました。

あとじゅんさんとシルビアさんの夫婦の掛け合いも面白いんです。リズム感とか最高に相性抜群で。劇中で披露されるラップとかも最高ですよ!まさかケンカがラップになるとは思わなかったのでその面白さもあるんですよね。

柿澤さんも悠人というキャラクターについてすごく真剣に向き合ってらして、希奈梨と悠人の大事なシーンを画面越しにしなきゃいけないところもあったんですけど、最後のセリフ終わりですぐにカットがかかるわけではなくて、ちょっと遅れてカットがかかるみたいな・・・緊張感の余韻が残る場面があったんですけど、カットがかかってからお互いに「あー、緊張した」って漏れるくらい集中してました。相手に勇気をふり絞って思いを伝えるのはやっぱり緊張もするし、その後の緊張がほどける感じもリアルに感じられたので、そこは一緒に柿澤さんと作れたからこそだなと思いますね。

――撮影を振り返ってみていかがですか?

私たち出演者も制作陣の方も初めての試みだったので、探り探りながら情熱をもっていろんなことを乗り越えて、撮影が終わったあとに「本当に楽しかったね」ってみんなが晴れやかな顔で言えるくらいすごくいい現場だったなと心から思います。プロデューサーさんが初めての顔合わせのときに「僕たちも不安もあります。だけど、"できるか"じゃなくて"やる"んだという気持ちでいきましょう」というのを号令に、みんなの心がひとつになった気がします。全員がその一心で動いていました。そうやって作られた作品がどんな仕上がりになっているのか、ぜひ観ていただけたらうれしいです。

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◆配信情報
オリジナル連続ミュージカルドラマ『とどけ!愛のうた』
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信中。
(C)Paravi