そんな"ウィズコロナ"な本作にあわせて、取材もリモートで実施。人気3人組NewTuberを演じた馬場ふみか、板垣瑞生、中尾暢樹の3人がZoom(テレビ会議ツール)越しで再会。今回が初共演という3人が、短い撮影期間の間でどのように"心の距離"を縮めていったのか。そして、本作に込められた"愛"と"キョリ"というテーマについて感じたことを語ってくれた。
ステイホーム中は、友達とFaceTime越しにご飯を食べてました
――緊急事態宣言が解除され、少しずつエンタメ界も再始動に向けて動きはじめた中、今回のドラマが制作されました。
中尾:自粛明けって怖くなかった?
馬場:怖かった。全然台詞が覚えられなくて。
中尾:俺も。そっか、現場ってこんな感じだったかって、ちょっと怖かった。
板垣:ちょっとアンテナを張ってないだけで、こんなにもダメになっちゃうものなんだなって。役者という仕事がいかに不思議な職業なのかわかったというか。
――みなさん、ステイホームの期間は何をされていたんですか?
板垣:僕は普段まったくゲームをしないので、この機会に1回ハマってみようと思って。でっかいヘッドフォンを買って、ひたすら『モンスターハンター』をやってました。
中尾:俺もゲームしてたよ。
板垣:本当ですか? 何してました?
中尾:『Apex Legends』。
板垣:僕は、ひどいときは2日間寝ないでやってた(笑)。
中尾:すごいね、2日間は(笑)。
板垣:一回がっつりやってみたくて。途中から寝ながらモンスターを攻撃してた(笑)。
中尾:執念だね(笑)。
板垣:面白いのが、役者仲間の間でゲーム友達が増えたんですけど、プレイヤー名でしか呼んでなかったから本名がわからなくて。「信長くん」って子と仲良くなったんですけど、あれ誰だったんだろう・・・みたいな(笑)。そういうステイホームならではのゲーム上の出会いとかありましたね。おふたりは何してたんですか?
中尾:俺は、自粛期間中、米炊いてた(笑)。
馬場:そうだ。撮影中、ずっとお米の話してたよね(笑)。
中尾:してた、炊きたての米うまいよねって。おかげでめっちゃ太っちゃって。
馬場:私も。スマホの歩数計を見たら、1日100歩しか歩いてない日が続いて。さすがにこれはヤバイなと思って家で筋トレをはじめました。
中尾:そう言えば家の中でもメイクしてるって言ってなかった?
馬場:してたよ。鏡に映るすっぴんの自分が嫌で。
中尾:誰にも会わないのにメイクするってすごいよね。
馬場:毎日すっぴんでパジャマのままだと、自分に対してモチベーションが下がりまくるというか。どんどん可愛くなくなっている気がして、家の中にしかいないのにあえて可愛い洋服を着たりして自分のテンションを上げてました(笑)。そうしないとどんどん顔が緩くなっていく気がして。
中尾:わかる。緩くなるよね。
馬場:これはマズいと思って、FaceTime(ビデオ通話アプリ)で仲の良い友達と向かい合ってご飯とか食べてました(笑)。
中尾:え? どういうこと?
馬場:ふたりでご飯用意して、FaceTime(ビデオ通話アプリ)つけながら、ご飯食べて、喋って。
中尾:むっちゃいい! ドラマみたいなことしてるね。
馬場:一緒にお茶飲んだり。普段は週3~4とかで会う仲だったから、やっぱり話したかったし。
中尾:でもわかる。俺もいつ仕事が再開できるのかもわからなかったし。不安に押し潰されそうで、いろんな役者友達と電話して、「ヤバイよね」「これから、どうなるんだろうね」って仲間意識を共有してた(笑)。
元気を与えられる作品に出演できることがうれしかった
――そんな中で今回のお仕事が決まって。みなさんの中でも何か特別な気持ちがあったのではないでしょうか。
馬場:本当にずっと家にいたので、マネージャーから出演が決まったって連絡をもらったときは、単純に呼んでいただけてうれしかったですし。こんなふうに新しい日常というか、今までと全然違う生活が始まっていく今だからこそ描ける"愛"と"キョリ"のものがたりというのは、自分もこれから考えていきたい内容だなと思いました。
板垣:この時代を描いた作品に呼んでもらえるというのは、なかなかできることじゃないと思うので、すごくうれしかったです。それに、自分たちがこうやって過ごした日常がどんなふうにドラマになるんだろうという点でもドキドキでしたし、それをたくさんの人と共有できるのはなんだか新しいし、楽しみだなという気持ちでした。
中尾:暗い雰囲気になっている今の世の中を明るい気持ちにさせるドラマにしたいという話を聞いて、そんなふうにみんなに元気を与えられる作品に出演できることが単純にうれしかったです。インスタライブとかYouTubeとか、いろんな発信ツールはあるけれど、僕たちの本業はやっぱりお芝居。お芝居で見てくれている人たちに何かを返したいという気持ちがあったからこそ、すごくやりがいがあるなと思いました。
――台本を読ませていただきましたが、物語全体に優しい空気が流れていて、とても素敵でした。
馬場:外出自粛の2ヶ月間、いつまたお仕事ができるんだろうとか、いつまた人と面と向かって会えるんだろうという不安があって、少しずつ心がささくれていくのを自分自身も感じていたんですね。そんな中でこの台本を読んだときに、ちょっとした思いやりや気遣いが心の栄養になるんだなということが感じられて。何気ない言葉ひとつで人って温かい気持ちになれたり幸せになれたりするんだなと、改めて実感しました。
板垣:水川あさみさんと清原翔さん演じる夫婦がテレワークになったことで1日中ずっと家の中で一緒にいるんですけど、そのことについて旦那さんの方が「昼間からこんなふうに話せることが素直にうれしい」って言うんですね。今まで仕事の時間は離れ離れだったからできなかったことが、家で一緒に過ごすからできるようになる。そういう身近で些細な変化が台本上でもしっかりと描かれていて、素敵だなと思いました。
中尾:みんなそれぞれ悩みを抱えていて、いろんな愛の形がある中で、コロナの影響によって距離感というものが生活に入ってきて。物理的な距離が、愛の距離にもつながっていくような印象を台本から感じました。その上で、これをどうやってお芝居で表現するのか興味が湧いたというか。実際の撮影でもどれくらいの距離感でやっていくのか楽しみになりましたね。
瑞生の無邪気な笑顔を見て、好きになれそうだと思いました(笑)
――ご自身の役についての感想も聞かせてください。
馬場:私もわりと何でも言っちゃう性格なので、アンナのスパッと言うところはすごく近いなと思いました。難しかったのは、NewTuberの撮影シーン! 普段のお芝居ではカメラを見ないのが普通だったので、カメラを意識しながら演技をするのは不慣れというか、いつもと全然違う感じがしましたね。
板垣:僕の演じるミナトが結構ハイテンションな役なんですけど、自粛期間中はゲームをしたり、ずっと画面とにらめっこの生活が続いていたので、久々の現場でいきなりテンションを上げるのが大変でした。
中尾:毎回汗だくだったもんね(笑)。
馬場:めっちゃ汗だくだった(笑)。
板垣:普通だったら、友達と会ってテンションが上がったりとかあるけど、この2ヶ月、そういうのが全然なかったので、テンション上げるのってこんなに疲れるんだって。久々すぎて逆に代謝が良くなりすぎて汗だくでした(笑)。
中尾:僕はミナトに恋心を抱いているという設定なので、最初はちょっと女の子っぽい感じの方がいいかなとも考えたんですけど、現場に入る前に監督と話したら、ミナトが好きだという気持ちさえ自分の中で確立できていれば大丈夫だって言われて。実際、現場に入って瑞生を見たら、この可愛さだったらいけるなと。瑞生の無邪気な笑顔を見て好きになれそうだと思いました(笑)。
僕は撮影中、ずっと汗をかいていました(笑)
――アンナとミナトは元恋人同士。そして、ショウはミナトに人知れず想いを寄せている。とても複雑で繊細なトライアングルでしたが、演じているみなさんはいかがでしたか?
中尾:ミナトはアンナのことがまだ好きなのに、それでも一緒に暮らしている。この関係性は見てて難しそうだなと思いました。
馬場:そうだよね。
板垣:めちゃくちゃ汗かいてましたもん。
――板垣さんは本当にずっと汗をかいてたんですね(笑)。
板垣:ずっとかいてました(笑)。内心若干ドキドキもありつつみたいな。
馬場:ミナトの中にまだアンナへの想いが残っていることに、アンナ自身もまったく気づいていないわけじゃないと思っていて。だから、あんまり変に近づきすぎてもいけないのかなとか。でもずっと一緒に暮らしているわけだから、そんなこと考えてもいられないのかなとか。ふたりの距離感についてはいろいろ考えましたね。
板垣:難しい気持ちでしたけど、個人的にはそういう関係もなくはないのかなと思いました。だから演じているときも不思議な気持ちで。でも、この三角関係を現場では面白がってましたよね。
馬場:うん。開き直っている感じはあった(笑)。
板垣:それがすごく良かったなって。変に真面目にならずに、この三角関係をふざけて面白がっている3人の空気感が画にも表れていた気がします。
中尾くんは優しく包み込んでくれるお兄ちゃんっていう感じでした
――3人は初共演ですが、コンパクトな撮影期間でどのように距離感をつめていきましたか?
中尾:確かに撮影期間は短かったんですけど、すごく仲良くなれた気がします。それも板垣くんがすごく純粋で、現場を明るくしてくれたおかげですね。
馬場:可愛くて仕方なかったもん(笑)。
中尾:そんなふうに思ってたの? 何も言ってなかったじゃん!
馬場:いや、その場であんまり出すと気まずいかなと思って。今この距離なら言えるなと。
中尾:それそれ、ディスタンスってそういうことですよね。
馬場:何をしてても可愛くて。本当にいてくれるだけでありがとう。生まれてきてくれてありがとうという感じでした(笑)。
中尾:会うまではもっとスポーツマンみたいな爽やかな男の子かと思っていたら、僕のイメージしていた男の子とベクトルが違いまして。板垣くんは少年なんですよ。やんちゃでお喋りで元気な少年という感じで。
板垣:僕からするとおふたりは本当に魅力的で。馬場さんはドラマで見たイメージもあって全然喋らない方なのかと思っていたら、フラットに話してくれて。中尾さんは常に柔らかくて、感情がめちゃくちゃブレることがあんまりない方なのかなって。
中尾:そうかも。基本的にブレない。ずっとこんな感じだね。
板垣:優しく包み込んでくれるお兄ちゃんっていう感じでした。僕、次の10月で20歳になるんで、「20歳になったらみんなどうやって飲みに行くんですか?」って聞いてみたり。
中尾:そうだ。20歳になったら飲みに行こうねって話したね。でも、それよりもっと変な質問をいっぱいしてきた思い出がある。「いちばん好きなご飯は何?」って聞かれて「え~、何でも好きだよ~」って、何も生まれない会話したじゃん(笑)。ああいうのがすごい楽しかった。
馬場:他愛のない話をね。
板垣:ずっと人と会えない期間が続いていたから、撮影で人に会えたことが純粋にうれしくて。
馬場:私もうれしかった!
板垣:やっぱり人と喋りたかったのかな。それで無意識のうちにすごく喋ってて。そこから生まれたものが撮影でも活かされたんじゃないかなと思います。
自粛期間を通じて、周りにいる大好きな人をもっと大切にしようと思えた
――まさに本作のテーマとなっている"愛"と"キョリ"ですが、みなさんは"キョリ"が離れていても"愛"でつながれると思いますか?
中尾:俺は無理です(笑)。やっぱ直接会いたいな~。
板垣:確かにこの自粛期間で会う大切さは痛感しましたね。でもそれも会えなかったからそう感じるわけで。会えない期間があったからこそ、会えたときがうれしかったし。
中尾:ただ、こうやってZoom(テレビ会議ツール)とかで話しているだけでも心が晴れやかになるんですよね。そう考えると、実は距離とか関係なくなってきているのかなって気もしますけど。
馬場:もちろん顔を見て会えるのがいちばんなんですけど、直接会えなくてもちゃんと自分の想いを伝えることって大事なんだなって、この自粛期間中に学びました。自分の周りにいる大好きな人たちをより大切にしようと思えたのは、ステイホームの間で変わったことのひとつかも。
――一方、コロナ離婚がニュースになるなど、"キョリ"が近すぎることで"愛"がダメになるケースもありました。
板垣:人によると言ったらそれで終わっちゃうけど、確かに近すぎるのも良くない気がします。
中尾:うん。ずっと一緒は難しいです。今まで仕事とかで一人の時間があったのがいきなりなくなったわけじゃないですか。それってすごい大変だよね。
板垣:知らなくていい部分まで知っちゃう怖さもありますし。
馬場:要は程よい距離感が大事っていうことだよね。ちょっと会えない日があっても大丈夫なのは、いずれ会えることがわかっているからだし。
中尾:うん。ちょうどいい距離感が大事。この自粛期間で、それに気づいた人が多かったのかなという気がします。
◆番組情報
Paraviオリジナルドラマ「love⇄distance」(1話8分×全10話)
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で独占配信中
(C)Paravi
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