安達祐実が本人役で主演、夢に登場する擬人化された"捨てられないモノたち"と対峙するドラマ『捨ててよ、安達さん。』(テレビ東京/毎週金曜深夜0:52~)の第六話が、5月22日に放送された。

今回のゲストは、渡辺大知。彼も第5話ゲストの梶原ひかりと同じく、本作で下田悠子との共同脚本と、監督も務める大九明子の手掛けた映画『勝手にふるえてろ』に出演していた信頼関係がある。

そんな渡辺が演じたのは、元夫からもらった"婚約指輪"が擬人化したもの。
「え、それって、あの人じゃ?」と思った人もいるだろう。この設定をよくOKしたなと思ったら、大九監督がTwitterでこんなつぶやきをしていた。
「これを題材にさせてくれる安達さんの心意気にお応えすべく、渡辺大知君をリアルに召喚」。この「リアルに召喚」は『勝手にふるえてろ』のフレーズである。

それにしても、渡辺大知の演じる「元カレ」はちょっと頼りなく、優しく、素敵だ。
かしこまったタキシード姿で、「今日、久々に出していただいたんで、そろそろそういうことなのかなぁと」と"捨てられる"覚悟をし、寂しそうな笑顔で登場した婚約指輪。

安達さんが結婚したことも知っていて、「結構、前ですよね?」と世間話のように笑顔でやりとりするのは、自分の心を守っているためだろうか。だからこそ、「正直、お別れしたときも、再婚したときも、処分するとかそういう気にはなれず、で」と言われると「それってまだ・・・?」と、つい顔が明るくなってしまうのが悲しい。

しかも、「思い出の海があるじゃないですか。俺、捨てられるなら、あそこが良いなー」とどこまでもロマンチックな指輪に対して、安達さんが考えていたのは「捨てる」のではなく「売る」ことである。
「え!? 売るんですか!?」「最後くらいドラマチックに終わらせてくれてたって良いじゃないですか」とすがる指輪の場所に、安達さんはもういない。

今の安達さんは、女優であるだけでなく、「妻」で、何より「お母さん」だ。「賞味期限ギリギリだと娘が飲んでくれないから」と、ギリギリの牛乳を飲みほして片付けるお母さんなのである。

そこから夢は、思い出の海へ。そこで、指輪は言う。

「俺、役に立てるんですね? 安達さんとお嬢さんの。そしたら売って下さい。俺、本望です」

海でふざけ合う恋愛中だった頃の二人の姿を眺める安達さんと指輪。キラキラで眩しく、二人は「楽しかったね」「ありがとう」と言う。

さらにそこから物語は二転、三転し、意外なオチへ。題材自体は週刊誌的なのに、そこに広がるのはどこまでも美しく優しい世界だった。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【5月29日(金)放送 第7話あらすじ】
女性向けのライフスタイル雑誌の編集者から"毎号私物を一つ整理してほしい"という企画の依頼を受けた安達さん(安達祐実)。
連載のネタがそろそろ切れてきたころ、西村マネージャー(西村晋弥)からの勧めもあり、今回は自宅の本棚から選ぶことに。その夜、安達さんの夢の中に現れたのはミヤ(徳永えり)とヨウコ(松本まりか)と名乗る女性2人。
その名前に聞き覚えのある安達さんは感激するが・・・。2人の正体とは?そして、忘れていた事実が発覚!

◆番組情報
『捨ててよ、安達さん。』
毎週金曜深夜0時52分からテレビ東京で放送中。
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、放送1週間前から先行配信中。