安達祐実が本人役で出演、夢の中に登場する擬人化された"捨てられないモノたち"と対峙するドラマ『捨ててよ、安達さん。』(テレビ東京/毎週金曜深夜0:52~)の第五話が、5月15日に放送された。

今回のゲストは梶原ひかりで、しかも、本人役。名前ではピンとこない人もいるだろう。
本作で下田悠子と共同脚本を手掛け、監督も務める大九明子がメガホンをとった松岡茉優主演映画『勝手にふるえてろ』で、北村匠海演じるイチに甘え、まとわりつく面倒くさい女の子を演じていたのが、彼女だ。

今回梶原が演じたのは、安達さんのことを珍しく嫌う(ように見える)人。真正面から「私の芝居、どうですか? 化学反応、起こせていない気がして・・・」とぶつかってくる梶原。「それはさ、ごめん、監督に聞いてもらって良い?」と笑顔で淡々と流す安達さんに逃げ道を与えないように、さらにからみつく。

「私は、一人の役者として、安達さんに聞いているんです」「私たち二人の間でグルーヴしていないと・・・通じないかな」「本気でぶつかりたい! 安達さんと!」

ああ、面倒くさい・・・。いるよな、こういう人。しかも、しんどいのは、そんな様子を見ていたマネージャーから「みんなに好かれなくて良い」「嫌われている人にまで好かれようとしなくとも」と言われてしまうこと。自分ではうっすら感じていても、周囲から「嫌われている」と見られるのはかなりしんどいものだ。

そこで今回は、夢の中で出会う捨てるモノを先に書き、投げやりに「バイバイ」と言う。そこにはこう書かれていた。

「誰からも好かれたがる気持ち」

夢に出てきたのは、大声で元気に周囲に挨拶しまくる梶原ひかり。なんとなく引っかかっている人が夢に登場するのは「あるある」で、現実よりも感じ方・思いが強調されるのも「あるある」。梶原は早速、安達さんについて「嫌いとかじゃなく、尊敬できないだけです」と挑んでくる。

それでも反撃せず、逆に梶原について「ストイックだし、後輩なのに尊敬できる」と流して逃げる安達さん。「溢れ出てしまう役者魂みたいなもの、ないんですか!」と言われ、初めて本音を見せる。

「小さい頃から、大人に嫌われないように、世間に嫌われないようにしてきた。何がいけないの? 周りの人に気つかって、何がいけないの?」「私は考えてやってんの! 技術でやる! わかったか、この頭でっかちが!」

氷のような冷たい表情から瞬時に噴き出す怒りの感情への変化には、ゾッとするような怖さと美しさがあった。それを引き出したのは、間違いなく梶原ひかりの芝居だ。

二人の口論のシーンは、一瞬も目を反らせない迫力があり、これまでで放送時間を最も短く感じる回だった。

ちなみに、梶原ひかりは、ドラマ『女王の教室』で志田未来演じる和美の親友のツインテールの子でもある。つまり、安達さんと同じ子役出身で、誰より気持ちが共有できそうな女優でもある。二人のヒリヒリするような芝居に、ただただ圧倒された。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【5月22日(金)放送 第6話あらすじ】

女性向けのライフスタイル雑誌の編集者から"毎号私物を一つ整理してほしい"という企画の依頼を受けた安達さん(安達祐実)は、自宅の物置である物を複雑な表情で見つめていた。
その夜、安達さんが以前お世話になったスタッフの結婚パーティーでもらったタオルを謎の少女(川上凛子)が発見したのをきっかけに、自身の結婚当初を思い出す。
そして、いつものように「捨ててほしい」と訪れたモノ。安達さんは思い当たる節があるようで・・・。

◆番組情報
『捨ててよ、安達さん。』
毎週金曜深夜0時52分からテレビ東京で放送中。
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、放送1週間前から先行配信中。