動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、Paraviオリジナルドラマ『ネット興亡記』を独占配信中。本作は日経電子版の人気連載企画をドラマ化したもので、サイバーエージェントの藤田晋社長やUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長、日本初のインターネット接続事業を始めたIIJの鈴木幸一会長、メルカリの山田進太郎社長、LINEの出澤剛社長、舛田淳CSMOらIT起業家たちが出演していることでも話題になっている。そんな注目作で主演を務める藤森慎吾にインタビュー。本作に出演が決まった時の気持ちや本作を通して学んだ事、原作者・杉本貴司記者と対面した時の印象などを聞いた。

――ドラマ初主演となりますが、本作への出演が決まった時のお気持ちは?

主演というのは初めての経験なので素直にうれしくて、ありがたいという気持ちでいっぱいです。お話をいただいたときに仮の台本を頂いたんですけど、内容が興味深くて面白かったのでシンプルにやりたいなと思わせていただいたんです。日経新聞電子版で連載されていてIT起業家さんたちのお話なので、最初は難しいテーマなのかなと思っていたんですけど、LINEやメルカリなど親しみのある企業にスポットを当てているので、5話全部面白くて、このドラマへのモチベーションがさらに上がりました。

――今回は記者という役ですが、役作りはどのようにされたんでしょうか?

ご本人にもお会いさせていただいたんですけど、日経新聞の記者さんなので真面目で服装とかもカチっとした、目の鋭い人と対面するのかと思ったら柔和でほわんとした印象の方だったんです。固すぎず、砕け過ぎずな記者のイメージを持つことが出来て、それで役を作っていったところはあります。

原作者の杉本さんと話してみて、記者という仕事はある種の"変態"なのかなという印象を持ちました。ここまで突き詰めて1つのこと掘り下げてという感覚を自分は持ってないかったので、すごく新鮮で、情熱とか熱意というよりは"変態的な執念"を感じました。なんでここまでできるんだろう、と疑問に思って・・・「他の人に広く伝えるため」なのかなと思ったんです。自分のためだけだとあそこまでできないのではないのかなと。なので、このお仕事は執念を持ってやることが出来る方が向いているのかなと思いました。

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――「ネット興亡記」はお読みになったことはありましたか?

この作品に出合うまでは読んだことなかったのですが、すごく面白いですよね。IT起業家の方々1人1人のアイデンティティや学生時代に何を思って起業したのかとかターニングポイントを知れますし。何者でもなかった大学生が"ある言葉"やある人との出会いで人生が180度変わるのが面白いんですよね。サイバーエージェントの藤田社長とかも結構苦戦してこられているんですよ、今じゃあんなに大成功した企業なのに。

このタイミングで三木谷浩史さんと出会っていたんだとか、ここで孫正義さんと接点がったのか・・・とか、IT業界の大物たちとの意外な交流も知ることが出来るんです。各話で別の企業にスポットを当てているんですけど、全体で観たら全部が繋がっているんじゃないかというくらい、登場人物全員知ってる人たちばかりで驚きます。

――劇中では、実際に記者の杉山がゆかりのある場所を巡ったりしましたが、何かその先々で感じたことはありますか?

意外だなと思うことが結構ありました。「サイバーエージェントの最初の会社こんなにちっちゃいんだ!」とか「こんな雑居ビルの一室から始まったんだ」みたいなところはリアルだし妙に親近感がありましたね。ゼロから、何もないところから始めるって言うのはこういうことなのかなって。

やっぱり話題になるのは成功してからなので、"完成"されたものだけを見がちだけど"最初"があって"今"があるんだというのを、撮影でそういう場所を土地を巡ることで体で感じることが出来ました。

――全5話ありますが、その中で影響を受けたエピソードはありましたか?

みんな名言みたいなものを言うんですよね。重みのある言葉というか。でも「あの方の言ってることとまるっきり正反対のことを言ってるな」ということもあるんです。いろんな名言あるけど、どの名言を取り入れていくかというのは人それぞれなのかなと思います。

僕の中で響いたのは第3話のLINEの回ですね。敗者3人が手を取り合ってそこからの逆転劇・・・というようなエピソードなんですけど、それを勝手に自分の芸人人生に照らし合わせたりとかしちゃってて。最初は勢いよくデビューしたけど、実力を見せられずにしぼんでいって、そこから負けを認めて人を信頼して誰かと手を組んで復活するというストーリーに共感しました。

誰の言葉や経験が心に刺さったり響くかはこれまでに歩んできた人生やこれから目指す場所によって本当に人それぞれだろうなと思います。成功してるからと言ってその方たち全員の言葉が心に刺さるわけではないと思いますし。誰の言葉が自分に刺さるのか探してみるのも良いと思います。

――ちなみに藤森さんご自身は起業家になりたいとは思いますか?

この仕事をやっている時点で半ば起業家みたいなものかなと思ってるんです(笑)。今も会社の保証が何かあるわけでもないし、自分が会社の社長だと思ってやっているのでそういう意味では起業家だと思っています。失敗しても誰も責任取ってくれない、全部のことは自分の責任なんですよね。規模は全然違いますけど、社長さんたちも少なからずこういう気持ちでやっていらっしゃったのかなと思います。

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――今回ドラマに出られている藤田社長や鈴木会長などが奮闘していた時代、藤森さんは学生だったかと思うんですが、当時そういうのはご存じでしたでしょうか?

全く何も知らなかったですね(笑)。今回ドラマに出演してくださっている起業家の方々が苦労されていた時代は中学生にもなってないくらいから高校生くらいの時代なんですけど、当時はそういうことに全然関心がなかったし、良く分かってなかったです。今回ドラマを通して色々知って、なんか恥ずかしくなりましたね・・・何も知らなかったじゃんって。社長たちにはこんな壮絶な戦いがあって、あの方たちがいたおかげで今海外にも引けを取らないITでも先進国になっているのにも関わらず、全く知らなかったんです。

『ネット興亡記』でルーツを辿っていくと、こういう失敗があったとかみじめな思いをしていたんだって知ることが出来るんです。それで、"負けても諦めない"ことが大事だというのを学べました。失敗しても腐らずにやっていく、というのが共通しているように感じて、とにかくみんなすごくギラついている印象です。

僕もギラつかなきゃいけないなと思いました。まだ芸歴16年くらいなんですけど、それなりにレギュラー番組があってたくさんのお茶の間の方にも顔を知っていただいて、なんとなくこのままやっていけんのかな、なんてここ数年思っていたのかもしれないなと自分で思うんですけど、この考えは間違いでしたね。"歩みを止めた時点で下降は始まる"んですよね。だからそこにずっといたら安泰じゃないんだというのを思い知らされました。

だってサイバーエージェントとか楽天とか「何もしなくていいじゃん」って普通は思うけど、ドラマを観るとそうじゃないんだというのが分かるんです。やり続けることに意味があるし、チャレンジし続けるのが生きがいになっている。そういうのを知ることで自分の今を改めるいい機会になりました。

――視聴者の方にメッセージをお願いします。

元々「ネット興亡記」を好きで読まれていた方はも楽しめると思いますし、知らなかった方でも良く知られている企業の方が出てくるので興味を持ってみていただけると思います。時代的には起業するっていうのも前よりは結構当たり前のようになっているので、より大学生とか若い方にも身近な話になっていると思うんです。そういう方にぜひ見ていただいて、どんどん起業家の人が出てきたらいいなと思います。

◆番組情報
Paraviオリジナルドラマ『ネット興亡記』
毎週水曜0:00に「Paravi(パラビ)」で最新話を配信 全5話

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『ネット興亡記 インタビュー編』視聴ページ
日経電子版『ネット興亡記』公式サイト

(C)「ネット興亡記」製作委員会