浜岡賢次の人気ギャグ漫画を佐藤二朗主演でドラマ化した『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)の第五話が、5月8日に放送された。

今回は、小鉄(斎藤汰鷹)のクラスに大阪からの転校生・西川のり子がやってくる。のり子は原作では小鉄と並ぶ悪ガキであり、のり子の登場からおバカ展開が加速。その対比として、お金持ちのあかねちゃんが、加速度的におバカな小鉄や最弱でアホでド貧乏な教師・春巻の「被害者」化していく重要な分岐点となっている。

そんなのり子を演じていたのは、映画『貞子3D2』『BLEACH』『ミックス。』などに出演していた現役中学1年生の平澤宏々路。

原作では小鉄と2トップのおバカ悪童コンビだが、ドラマでは小鉄よりだいぶ長身のツッパリお姉さんに見え、身長差のバランスが新しい味わいとなっている。そんな二人のケンカで放たれた「こっちはアキナが3人の時からお笑い見とんじゃ!」というマニアック視点に沸いていた視聴者もチラホラいたようだ。

さらに強烈なのは、スーパーのレジで「10割引」「18割引」まで要求してしまう、のり子の母を演じるMEGUMI。コテコテの"大阪のおばちゃん"感が実にしっくりくる。そこに西川家の父役のバッファロー吾郎Aが加わり、ゲームを介して、大沢木家の佐藤二朗&水野美紀とのおバカな熱き戦いが繰り広げられる。

このバカ騒ぎは、『浦安』の世界観というよりも、むしろ演者同士のアドリブやライブ感を大切にする『おっさんずラブ』の瑠東東一郎監督テイストである。役者たちがアドリブをフルスロットルでぶつけ合うことにより、いつの間にか本作の一番の見どころとなりつつある「背後や脇にいる水野美紀が必死に笑いをこらえている様子」が楽しめるシーンとなっている。

ところで、今回、佐藤二朗がドラマをリアタイしながら自身のTwitterで実況していたのだが、その中にこんな意外なコメントが見られた。

「てか、俺をアドリブアドリブ言う方々、今のシーン見た?ホント俺だけ、俺だけ台詞通りよ。バァファロー吾郎Aさん(本文ママ)、MEGUMIちゃん、水野美紀ちゃん、感性と技術ある方々が存分にアドリブ合戦。俺は何もしてない。彼らのこういうのを、アドリブと言うのです。」

まさかあれが台詞通りだったとは・・・。ちなみに、セリフがないカットを重ねる土手のシーンも、『おっさんずラブ』っぽい。

さて、今回の大きな見どころは、小鉄の姉・桜(岸井ゆきの)とのり子の女子同士の友情。こうしたほんのり「良い話」は、下ネタ満載でお下劣でおバカで無法地帯の原作には皆無なので、ずいぶんと一般層にとっつきやすい親切設計になっている。

原作を知らない方、下ネタがあまり得意ではない方、『OL民(おっさんずラブを愛する人々)』なども一度観てみては?

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【第6話あらすじ(5月15日[金]放送)】
ある日、裕太(キノスケ)を金鉄(坂田利夫)に預けられることになった順子(水野美紀)は、大鉄(佐藤二朗)を外食に誘う。ところが不運続きで人気店への入店が叶わず、気づけば激マズ中華店で大食いチャレンジすることに・・・。
大鉄vs巨大チャーハン!成功したら賞金1万円!残したら罰金1万円!エマージェンシー発動であの大沢木家が一致団結!?天国か地獄か?ひと粒たりとも残せないライスバトルの幕が開く!

◆番組情報
『浦安鉄筋家族』
毎週金曜夜0:12からテレビ東京で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中。
※新型コロナウイルスの感染拡大で撮影スケジュールに影響が出ているため、7話以降の放送は延期となりました。