夢の中に登場する擬人化された"捨てられないモノたち"と安達祐実が対峙するドラマ『捨ててよ、安達さん。』(テレビ東京/毎週金曜深夜0:52~)の第四話が、5月8日に放送された。
今回のテーマは「光代おばちゃん手作りの時計」。
送り主は小さな頃からお世話になっている遠い親戚の光代おばちゃんで、安達さんはお礼状を書き始めるが、なかなか筆が進まず、明らかに持て余しているように見える。
捨てられないモノにはいくつかのパターンがあるが、「趣味じゃないが、申し訳ないから捨てにくいいただきモノ」は、一大ジャンルだ。しかも手作りとなると、思いが込められているだけに、余計に捨てにくい。
手紙を書きながらうたた寝した安達さんの夢には、恒例の謎の少女が登場、続きを勝手に書いている。
「もう送らないで下さい 迷惑です 悪趣味です きついです しんどいです 無理っす」
そこで登場したのは、「光代おばちゃん手作りの時計」=片桐はいりだ。姿勢が良く、笑顔で、滑舌よく、溌剌としていて、パッチワーク風のお洋服や手作りっぽいアクセサリーを身に着けている。いかにも「正しく、親切で、圧が強い」、疲れそうな感じのおばさんである。なんて絶妙な人選と絶妙な演技だろう。しかも、この時計、見た目が「光代おばちゃん」そのものなのである。
時計は光代おばちゃんのこれまでの手作りプレゼント遍歴を語り、「若い人、しかも女優さんにパッチワークなんて・・・ねえ?」などと笑う。作り主と違って、案外話せるタイプなのか、自分のことも「1粒1粒、祐実ちゃんのこと思いながらセレクトした天然石で」「1カ月くらいかかって」作ったものと説明するが、「迷惑だったでしょ?」。そして、言うのだ。
「私のこと、捨ててくれないかしら?」
そこから時計が語った真実が、切ない。
光代おばちゃんは、手作りに集中しすぎて、首や肩を痛めてしまったこと。もともと手作りを始めたきっかけは、祐実ちゃんの結婚式に贈ったリングピローからで、「祐実ちゃんが喜んでくれたのが嬉しくて、もっと喜ばせようとした」こと。しかし、その度にお手紙とお礼が来るから、やりとりを終われないこと。
「祐実ちゃんから終わらせてくれないかしら? それに、はっきり言って、趣味悪いじゃない?(笑)」
申し訳ない思いと共に、時計の一言に、なぜか腹立たしさや悲しみがわいてくる。「趣味じゃないモノ」を作ってくれて送りつけてくるおばさん。でも、思いがわかるから、その発言はちょっと許せない。しかも、それを言うのが、光代おばちゃんの姿をした手作り品というのが、実にシュールだ。
そこで出した安達さんの結論がまた、優しく、心地良い。脚本の巧さと役者の上手さが際立つ回だった。
(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)
【5月15日(金)放送 第5話あらすじ】
女性向けのライフスタイル雑誌の編集者から"毎号私物を一つ整理してほしい"という企画の依頼を受けた安達さん(安達祐実)。
自身が出演するドラマ撮影の合間に、共演中の女優・梶原ひかり(梶原ひかり)からある相談を持ちかけられる。しかし、安達さんは梶原の威圧的な態度に圧倒されてしまう。さらに、西村マネージャー(西村晋弥)に言われた一言が気になってしまい・・・。
その夜、夢の中に現れたのは、なんと梶原ひかりだった!
◆番組情報
『捨ててよ、安達さん。』
毎週金曜深夜0時52分からテレビ東京で放送中。
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、放送1週間前から先行配信中。
- 1