佐藤二朗が主演を務めるドラマ『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)の第四話が、5月1日に放送された。

第四話の見どころの1つは、原作をこよなく愛しているという広瀬アリスが演じる小鉄のクラスの副担任・長崎屋奈々子の登場。広瀬アリスと、大沢木家の母親を演じる水野美紀が「似ている」と以前からネット上で言及されてきたために「親子共演」と言われていたことなどもありキャストが発表されたときから注目を集めていたが、緩急のあるキャラクターで第四話を盛り上げていた。

そして一番の見どころといえば、原作ファンにとって待望の人気キャラ「春巻龍」の登場だ。小学生・小鉄(斎藤汰鷹)の担任で、ブルース・リー風の見た目ながら、お腹も体も弱く、アホで、いつでも貧乏で、遭難癖があって、かつていじめられっ子だったらしいことから「威張れる仕事」と言う理由で教師を選んだ卑怯者でもある。

私事で恐縮だが、昔、『週刊少年チャンピオン』の通販で「春巻龍」のTシャツを買い、寝間着に着ていたくらい好きなキャラなのだ。

そんな春巻を演じるのは、大東駿介。本人はもともと似ていないのに、公開されたビジュアルは本作随一の再現度の高さだったので、期待がふくらんでいた。

いざ放送を見たら、写真以上に、動いている春巻は素晴らしかった。彼は、大沢木家に突然、「家庭訪問」という名目の、ご飯のたかりに来る。太眉の劇画調の顔で、目をひんむき、汚い箸の持ち方で、ボロボロ泣きながら必死にご飯に食らいつく姿はみっともないのに、可愛く見えてくるのも、原作通り。

しかも、食べたそばからお腹を壊し、トイレに行けと言われると「もったいなくてクソなんかできないちょー!(激怒) 俺には金がないんだちょ」となぜか余裕顔で拒否。そこで、小鉄の母に「いつでも食べさせてあげるから」と言われると、トイレに駆け込むのだが、トイレ内で繰り広げられるせわしない動きの数々、10種以上にわたる豊富な表情の顔芸は見事。そこだけで、十分おつりがくるほどのおかしさがあるのだ。

その後、学校では、教室の戸に仕掛けられた黒板消しを頭に受け、目をあけたまま気絶。忘れ物を届けに来た小鉄の母が、自分より上手く子どもたちに勉強を教えている姿を目にすると、対抗意識を燃やして、口をとがらせる。

「俺は100メートルを3秒で走るちょ!」
「チョークを食べるちょ。チョークはおやつだちょ」

この謎の虚勢の張り方は、弱い子どもの泣く寸前のキレ方みたいで、腹立たしく悲しく可愛い。

さらに、お約束の「遭難」も盛り込まれ、しまいには、大東が昨年出演したNHKよるドラ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』のゾンビになっていた。贅沢すぎる第4話だ。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【第5話あらすじ(5月8日[金]放送)】
ある日、大沢木家の隣に、関西人のドケチ族・西川家が引っ越してきた!しかも、西川父(バッファロー吾郎A)は大鉄(佐藤二朗)の同業・タクシー運転手でライバル関係。順子(水野美紀)もスーパーで西川母(MEGUMI)と大バトル!
晴郎が起こしたある事件をきっかけに、この両家族がお隣さん同士であったことが判明する。関東VS関西のプライドを懸けた世紀の大バトルは、野球ゲームで決着をつけることに!? 泥仕合の行方は如何に!?

◆番組情報
『浦安鉄筋家族』
毎週金曜夜0:12からテレビ東京で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中。
※新型コロナウイルスの感染拡大で撮影スケジュールに影響が出ているため、7話以降の放送は延期となりました。