浜岡賢次のギャグ漫画をドラマ化した『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)が4月10日に始まった。これは千葉県浦安市に住むパワフルでハチャメチャな家族・・・大沢木家の日常を描いたドタバタコメディで、脚本は『サマータイムマシン・ブルース』などで知られるヨーロッパ企画の面々が務め、監督は『おっさんずラブ』の瑠東東一郎らが担当している。

原作の主人公・小鉄の姉・桜を演じる岸井ゆきのはイメージ通りだし、宍戸美和公の「仁ママ」は期待通りに強烈だし、予想外に良かったのは原作ならではのドタバタ過激アクションを華麗にこなせる小鉄の母・水野美紀の身体能力の高さだ。原作同様の勢いを楽しむことができた。

ただ少し気になったのが、原作と異なり、主人公が小鉄ではなく、その父・大鉄に変更されている点。『浦安鉄筋家族』は「家族」とタイトルで掲げながらもホームコメディではなく、「学校」周りの人間関係に主軸が置かれているからだ。描かれるのは「子どもの世界」であり、奇妙な大人たちも子ども目線で見た存在ゆえの面白さだった。

その点、第一話の印象は「佐藤二朗劇場」だった。佐藤二朗ファンにとっては、佐藤二朗の魅力を余すところなく楽しめる垂涎の作品だったろう。それが原作ファンの目には全く別作品に見えたかもしれない。

だが多くのファンが思う『浦安』と違い、実はドラマは原作第一話のディティールが比較的忠実に盛り込まれている。長期連載漫画ではよくあることだが、初期はそこまでキャラや展開がそこまで練り込まれていないためだ。

しかし絶えず流れるBGMや寄りの多い画はやたら賑やかだが、原作はドタバタ感があっても、ドラマのように登場人物たちはさほどおしゃべりじゃない。『浦安』の賑やかさの土台には、膨大なセリフではなく、「ちくちくちく」「むひー」「ぶゆ」「むげー」「ジケムー」「りむー」など、オリジナリティあふれる「擬音」がある。擬音こそが『浦安』の世界観だと思うのだが、それは実写化ではやっぱり難しいのか・・・。

と思っていたら、桜の彼氏・花丸木を演じる染谷将太だけは、なぜか「浦安擬音」を見事に体現していた。音を出すわけでも、言葉で言うわけでもないのに、醸し出すぬるりとした質感や、不思議な歩き方からは「擬音」がちゃんと聞こえてくるし、「〇〇らむ~」という摩訶不思議な語尾を、あんなにもナチュラルに自分のモノにしてしまえる生身の人間がいるとは思わなかった。

ちなみに、みんなが待ち望んでいる小鉄の担任・春巻(大東駿介)は第一話では登場していない。もったいつけるなあ。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【第2話あらすじ(4月17日[金]放送)】
いつもの騒々しい朝、息子・裕太(キノスケ)が発熱!?
役立たずの父・大鉄(佐藤二朗)にケリを入れつつ、母・順子(水野美紀)は病院へ猛ダッシュ! ・・・のはずが、なぜかベビーファイトからのマザーファイト!? 次々と襲い掛かる障害に順子はエマージェンシーモード! 果たして、裕太を無事病院へ連れて行くことはできるのか!?

◆番組情報
『浦安鉄筋家族』
毎週金曜夜0:12からテレビ東京で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中。
※新型コロナウイルスの感染拡大で撮影スケジュールに影響が出ているため、7話以降の放送は延期となりました。