「事件の黒幕は誰?」と考察ブームを巻き起こした日曜劇場『テセウスの船』(TBS系)。自己最高視聴率を記録した最終回では、意外な黒幕の正体にSNS上も騒然。「テセウスの船」がTwitter世界トレンド1位に輝いた。一方で、本編では明かされなかったさまざまな謎も。その真相をつまびらかにするのが、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で独占配信中の特典映像『テセウスの船 完全ネタバレ!犯人の日記大公開』だ。すでに配信がスタートしている前編に続き、後編は3月29日(日)21:00から配信予定。そこで、前編の内容を振り返りながら、主人公・田村心(竹内涼真)を翻弄した恐るべき小学生・加藤みきお(柴崎楓雅)の闇に迫りたい。

みきおと正志。ふたりはどうやって共犯関係を結んだのか

日本中が「お前だったのか・・・!」と驚かされた一連の事件の黒幕。その正体と、幸せいっぱいの佐野家の団欒風景と、さらに「お前だったのか・・・!」と驚かされた澤部佑の衝撃で、ラストは情報量がオーバー。最後の最後まで視聴者を楽しませてくれた『テセウスの船』ですが、ひと息ついて改めてしみじみ振り返りながら、「はて?」と疑問に思いました。結局、それぞれの犯行はどちらが実行犯だったのだろうか、と。

あの不気味な絵を描いたのは? 千夏ちゃん(湯本柚子)にパラコートを飲ませたのは? 山小屋に閉じ込められた明音ちゃん(あんな)を覗き穴から見ていたのは? そして、金丸さん(ユースケ・サンタマリア)を突き落としたのはどっち?

次々沸いてくるモヤモヤに答えをくれたのが、パラビで配信中の『テセウスの船 完全ネタバレ!犯人の日記大公開』。犯人=つまり加藤みきおの視点からこの事件を振り返っていきます。

事件は、心がタイムスリップしてくる約1ヶ月前。転校してきたもののクラスに馴染めないみきおが鈴(白鳥玉季)に助けられるところから始まりました。両親を亡くし、孤独だったみきお。周囲のクラスメイトを「低脳」と心の中で唾を吐くも、実際にはクラスメイトにからかわれ、いじめられる毎日。惨めな生活の中で、どんどん肥大化するどす黒い心。死んだような彼の目に初めて差し込んだ眩しい光が、鈴でした。

自分を救ってくれた鈴に対し、今度は自分が鈴の正義の味方になろうと決意。その憧れと独占欲は歪んだ方向にねじ曲がり、やがて鈴にとっての正義の味方である父・文吾(鈴木亮平)に向けられるように。

ここまでは本編でも明かされたお話。ここから、どうやってみきおが黒幕・田中正志(せいや)と知り合ったのか。なぜふたりは共犯関係を結ぶことになったのかが語られていきます。

ふたりをつないだのは、お互いの中に巣食うどす黒い心。誤って毒入りきのこを混入させたがために殺人の罪に問われた正志の母。これにより一家は崩壊。世間からの迫害に耐えきれず、最愛の妹は自殺。すべてを失った正志は、母を逮捕した文吾に、自分たちを追いつめた社会に、憎しみを向けるしかできませんでした。

そのどす黒い心は、みきおも同じ。ふたりを結んだ、社会への怨嗟。そして、膨れ上がる破壊衝動。正志がアリに農薬をかけて殺している姿を目撃したみきおは、その姿に相通ずるものを感じ、やがて結託するように。

そこから集団毒殺事件の青写真を思いついたのは、どちらなのか。千夏や明音、そして金丸への犯行に及んだのはどちらなのか明かされていくわけですが、恐れおののくのはやはり小さなシリアルキラー・みきおの闇です。

「クソゲー」人生だったみきおが初めて本気になれたのが、音臼小毒殺計画だった

人を人とも思わぬ冷たい目。天使のように愛らしい顔立ちに浮かぶその笑みが、あまりに不気味で、つま先からぞわわと悪寒が駆けめぐります。演じる柴崎楓雅くんはまだ11歳。パラビのインタビューでは6年生になったら「修学旅行で日光とかに行くらしいのでそれが楽しみです!」と、全国民がお年玉をあげたくなる無邪気な一面を振りまいていますが、みきおを演じるときの顔つきはもう完全に異常犯そのもの。「あのおじさん、お年玉たった1000円しかくれなかった。使えない」ってワープロに書かれてそうで思わず震え上がります。

基本的には犯行日記を読み上げるみきおのモノローグで進められるため、みきおは表情中心のお芝居になるのですが、どの場面も背筋の凍る表情を見せており、柴崎楓雅くんには令和最初の「天才子役」の称号を授けたい気持ち。

さらに、最も気になる金丸さん殺害のシーンの真相が明らかになったときは、マジかよの一言。もうこれからは駅のホームとか階段とか、絶対に後ろに小学生が立ってたらよけようと思いました。

きっとみきおにとって人生はずっと「クソゲー」だったのではないかと思います。両親と死に別れるなど、自分ばかりがハードモード。周りの連中の方がよっぽど愚鈍なのに、彼らには最初から恵まれた装備と資金が与えられている。あまりにゲームバランスが悪すぎて、とても本気でプレイする気にはなれなかった。

そんなみきおが初めてハマったゲームが、この音臼小毒殺計画だった。ずっと持て余していた高い知能と、用意周到な計画性、そして冷静かつ大胆な実行力。これらのすべてを駆使して、みきおはこのゲームを完全コンプリートしようとした。むしろ心の出現は、初めて熱中できるゲームを見つけたみきおが、さらにのめり込むための劇薬になってしまった、という皮肉さに、何とも言えない苦々しさが残りました。

この特典映像、竹内涼真と鈴木亮平のふたりが、犯行日記の内容を見ながらフリートークをしてくれるので、いい感じに一緒にツッコめるのも面白さのひとつ。「ポンコツ」と親しまれた心さんの迂闊な行動について竹内涼真自らツッコんだり、最後までふれられることのなかった、第1話で文吾が千夏ちゃんを引っ張って吹雪の中を歩いていくシーンの謎を、鈴木亮平が解説してくれたり。ふたりと一緒に実況感覚で楽しめます。

後編では、音臼小毒殺事件実行の舞台裏からその顛末までが語られる模様。さらに、ネット上でひそかに注目を集めていた「おじいさんの古い斧」というTwitterアカウントの真相もついに明かされるようです。この3ヶ月、沸きに沸いた考察班はもちろん、事件の真相が気になる方はぜひこちらもチェックしてください。

(文・横川良明)

◆配信情報
『テセウスの船 完全ネタバレ!犯人の日記大公開』
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で前編が配信中。
後編が3月29日(日)21:00から配信される。