TBSで毎週日曜に木村拓哉主演の日曜劇場『グランメゾン東京』が放送中。また、カリスマシェフ・尾花(木村)を尊敬しつつも現在は丹後(尾上菊之助)がいる「gaku」で働く平子(玉森裕太)が主人公の配信版オリジナルストーリー『グラグラメゾン♥東京 ~平古祥平の揺れる思い~』も配信されている。今回、配信版オリジナルストーリーの脚本を務めるオークラにインタビュー。本編がある作品のオリジナルストーリーを書く際に意識していることや玉森らキャスト陣の印象などを聞いた。

――オリジナルストーリーを書き始めた時はすでに本編の台本があったのでしょうか?

本編第1話の初稿が出来上がっているタイミングで、それを見ながら打ち合わせをしました。「ラブストーリーにはしたい」「三角関係にはなる」というのは初めからお伺いしていたので、その部分と、あと本編とは違う目線の内容にすることを意識して書いていきました。本編では描かれなかったそのキャラの思っていたことが分かるって言うのは、作品がすごく立体的になって面白いことだなと思います。

――本編では描かれないキャラクターの一面なども配信版では描かれていますよね。

会議で「どうしましょうか」と話し合っている中で、本編にはないキャラクターの一面を描くときは「今後どうなりますか?」「余計なことやっても大丈夫ですか?」と聞きながらやっています。こういう作り方をしたことがなくて、本編の台本をいただいてから「これをこうしていいのかな」って考えながら書いていくというのが新鮮ですね。

「2人はこうなっていくのかな?」「この時こう思っていたのかな?」とか考えているんですが、これって視聴者の方だったらみんな考えていることだと思うんですよね。「考えていたことを本にしていいんだ!」という感じで、初めてのことですごく楽しいです!

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――楽しい反面、大変だったことはありますか?

大変というか・・・本編で萌絵ちゃん(吉谷彩子)のロッカーに画びょうが仕掛けられていた事件は『グラグラメゾン』の方で美優ちゃん(朝倉あき)が犯人であることが分かるんですけど・・彼女なりに画びょうを仕掛けるに至った理由をちゃんと描きたいという思いを込めて書きました。

――本編がありつつも第4話などではかなりコメディ要素が強かったなと感じたのですが、配信版を書くときに"遊び"の部分などは意識されているんでしょうか?

1、2、3話は恋愛独特の重さが出ていたので、4話はちょっと遊びましょうか、という感じで書きました。「あ、やっていいんだ!」って感じで楽しかったです(笑)。後半に入ってコメディとシリアスのバランスがいい感じになってきているなと思うんですが、今でも遊べるところは遊んでいます。

――主人公・祥平を描く際に意識していることはありますか?

最初から「グラグラメゾン」というタイトルは決まっていて、祥平の心が揺れる部分を描きたいと伺っていたんですよね。「男の中の葛藤を描いていいのか!」とその時点で面白くて。僕、正直イケメンの気持ちは分からないですけど、女の子の間で揺れる気持ちは分かるので「大丈夫だ!」と思って書いています(笑)。

祥平の弱さと言うか・・・本人は悪気はないけど萌絵とああいう展開になって美優に誤解されてしまうという・・・。でも仕事で弱っている時、職場に優しくしてくれる人が居るとちょっとグラグラしちゃうじゃないですか。そういうのをイケメンに投影できて楽しかったです。

――1話で祥平が美優に「こういう時はこうしてほしい」って言っている時は少しめんどくさいタイプだな・・・と感じたのですが、男性はああいう気持ちを抱いているものなのでしょうか?

男性の方がめんどくさいと思いますよ(笑)。僕に関しては祥平とは違って奥さんの前だけじゃなくて、いろんなところで「はぁ~」ってため息をついて、「話しかけて来てよ!」と思っています(笑)。

――玉森さんたちキャスト陣の印象は?

みんな若いけど真面目だし、自分の役をしっかりやろうとしているのが素晴らしいと思います。全員話したことはないんですけど、自分が描いたキャラクターを演じているのを見ていると「あ、この人本当はこうだったんだ」って感じさせる芝居をちゃんとしてくれるからすごいなって。それを見てまたどんどんと話が広がっていく感じです。

――かが屋さんの演じられているキャラクターは配信版のオリジナルですがどうやって役を作っていったのでしょうか?

ホテルの厨房の中では祥平がトップじゃないですか。祥平は尾花という"仕事の鬼"に影響されている部分が大きいので、その対比としてポンコツがいたほうが良いなって(笑)。「でも尾花のようには上手くいかないね」という感じにしたかったんです。そういう役を玉森さんより年下で誰が演じられるかなと考えた時に、「あ、かが屋さんっぽいな!」って思ってかが屋さんをイメージしながら書いたんです。

その後プロデューサーさんから「誰をイメージしてますか?」と聞かれたときに「かが屋さんです」って言ったら、かが屋さんにオファーしてくださって。だから「かが屋さんに恥をかかせらんないぞ!」と思ってより気合を入れて書きました(笑)。

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――最後にメッセージをお願いします。

もうすぐ30代に入るという方たちが持つ仕事と恋愛の"キャパシティの狭さ"とうものを描いております。僕の経験から「こっちに集中するとこっちが少しおろそかに・・・」ということがあるのかなと。そういう状況で来る破綻、崩れていく感じをちゃんと描けていると思うので今後も楽しみにしていただければと思います。祥平はさらにグラグラと揺れてしまいますが・・・最後は"ピタッ!"と着地できるようになれば良いなと思います(笑)。

◆番組情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
毎週日曜夜9:00からTBS系で放送
動画配信サービス『Paravi(パラビ)』でも配信中
配信版オリジナルストーリー『グラグラメゾン♥東京 ~平古祥平の揺れる思い~』も配信されている。

(C)TBS