毎週水曜深夜0:12からテレビ東京で放送、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中の松岡昌宏主演ドラマ『死役所』。本作は、累計300万部(電子書籍含む)を超えるあずみきし原作の大人気同名漫画を実写ドラマ化。"生と死"や"天国と地獄"といった深いテーマを、魅力ある個性的なキャラクターたちが、時に軽やかに、時に厳かに魅せる「死役所」は、考えさせられる人間ドラマとして注目を集めている。そんな話題作を生み出した原作者・あずみきし氏にインタビュー。本作を描き始めたきっかけや特に印象深いエピソードなどを聞いた。
――本作のドラマ化が決まった時のお気持ちは? 周囲の反響はいかがでしたか?
楽しみな半面、読者さんの声が心配でした。実写化を嫌う方も、配役や世界観、ストーリーの忠実性にこだわっている方もいらっしゃいます。ですが私はお話が来た時に素直に「見たい」と思ったので、同じように「見たい」と思ってくださる方も沢山いるはずだとも考えました。家族に相談するとノリノリで「いいじゃん!」と言ってくれたのも後押しして、私の夢の一つである「自分の作品の実写化」を叶えてもらおうと決めました。
ドラマ化が発表されたら幸い周囲の反応は温かかったです。親戚や友人、しばらく連絡を取っていなかった友人、誰だかわからない人、沢山の方がお祝いしてくれました。一部ぶつぶつ言う人もいましたが、そういう人も楽しめるドラマが出来たらいいなあと思いました。
――原作を書き始めたきっかけを教えてください。
昔から映画やドラマで人が死ぬシーンがあると、その人の人間関係や背景を考えてしまう癖があり、そんな人にスポットを当てた漫画を描いてみたいとずっと思っていました。私はこの「死役所」がデビュー作なのですが、その前に人が死んでいない方の「市役所」で働いていたことがあります。そこで沢山の申請書を見て「自殺申請書っていうのがあったら嫌だなあ」と変なことを考えました。昔から描きたいと思っていた話と役所での経験がマッチングして「死役所」という作品が生まれました。
――ドラマが好評ですが、原作者であるあずみ先生から見たドラマはいかがでしょうか?また、ドラマ化の際に期待していたことは?
すみません、まだドラマの感想を言えるほど余裕が出来ていません。子供がお遊戯会で初めて貰ったセリフをきちんと言えるか心配で、他の子のセリフがまったく入ってこずにストーリーを楽しめない、そんな感じ。だめですかね、作者として。
でも1話を見た時は完全にそんな感じでしたが、2話で少し楽しめるようになっていたので、だんだんと余裕は出てくると思います。とはいえ作者の反応なんかより視聴者様の反応なので、好評ならばそれが全てです。素晴らしいドラマです。
期待していたことは、原作の再現です。実写化の夢は2次元で描いているものが3次元になるという楽しみが大きいので、2話で泉水役の酒井若菜さんがスカジャンを着てくださっていた細かい再現がうれしかったです。
――主演の松岡昌宏さんのご印象や他の出演者の方の印象など教えてください。
松岡さんは「見たい」と思った私の本能が全てです。黒島(結菜)さんのミチルは原作では嫌われやすいキャラらしいんですよ。でも私は普通に元気でいい子だと思って描いていたので、そのミチルのいい部分を出してくださってるなと思います。(ニシ川役の)松本(まりか)さんは、とことん役作りをしてくださったそうで本当に嬉しかったです。昔プレイしたゲームで、声は可愛いけどちょっと性格のキツイかっこいいキャラがいて、もしアニメ化したらそんなイメージだな~と思っていたので、その辺も含めて松本さんでよかったです。
清原(翔)さんは、以前情報番組で拝見した時にすごく朗らかな方でハヤシくんぽいと思ったので、いけると思いました。役所内でもヘラヘラしててハヤシくんぽいです。(イシ間役の)でんでんさんは、最初もうちょっとガタイのいい人がいいかなと思ってたんですが、イメージ写真を見て「あら、いいじゃない」とコロっといきました。いいおっさんはいいですね。それから出番は少ないですが、シン宮役の余さんは完璧です。何も言うことないです。素晴らしい。
――ドラマ化された中でお気に入りのエピソードは?
基本的にどの話も思い入れがあるんですよ。1話1話語れますけど、長くなるのでやめておきます。
6話は、好きな人はすぐわかると思うんですが、芸人2人は私の好きな芸人さんの名前をアナグラムしています。是非ドラマのどこかに出ていただきたかったんですが、スケジュール等の都合で叶わなかったそうです。観てくれているといいなあ。
絶対このエピソードはやってほしいとお願いして、何とか入れてもらったのが8話です。これは原作の方も編集部でこんな話載せて誰が読むんだと揉めたらしいです。9話は色々考えすぎて死にそうになりながら描いたので、ドラマもじっくり観てほしいです。作中に出てくる漫画や絵本は美術スタッフさんが夜中に泣きながら作ったそうなので、その辺りの小道具にも是非注目していただきたいです。
――最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いします。
賛否両論あるドラマだと思います。考えさせられると言われたらありがたいですし、不謹慎と言われればその通りです。なので、内容はどう受け取ってくださっても結構です。原作ファンの方、作者は何やかんやでドラマ楽しんでいます。ご安心ください。
ドラマから原作に興味を持ってくださった方、ドラマで脇役として出ている人のストーリーが原作で読めることもあります。表立っていない人にもそれぞれ人生があります。良かったら一度覗いてみてください。喜んだり悲しくなったりモヤモヤしたり、原作もドラマも色んな感情で楽しんでくれたらと思います。
見て気分が悪くなると言う方は無理しないでくださいね。ドラマを視聴するもしないも、原作を読むも読まないも自由です。どうぞよりよい人生をお過ごしください。
◆番組情報
『死役所』
毎週水曜深夜0:12-0:52 テレビ東京にて放送中
また、地上波放送後に動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信
(C)『死役所』製作委員会
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