2020年1月にTBSで宮﨑あおい、瑛太ら出演の新春ドラマ特別企画『あしたの家族』が放送されることが決まった。人気ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』の石井ふく子がプロデューサーを務め、脚本を手掛けるのは浪江裕史。新年にふさわしい、あしたに希望を感じられるような家族の物語を届ける。その制作発表にキャストの宮﨑、瑛太、松坂慶子、松重豊、そして石井プロデューサーが出席した。

宮﨑が演じるのは、4年前、結婚式当日に新郎に逃げられてしまった過去を持つ小野寺理紗。今はすっかり立ち直り、映画配給会社に勤務中。一方、理紗の父親である俊作(松重豊)は営業一筋の仕事人間。しかし、異動した部署には元部下の兵頭幸太郎(瑛太)が俊作の上司として着任し、俊作は複雑な心境を持ちながらも妻の真知子(松坂慶子)、理紗と3人で暮らしていた。そんなある日、理紗がプロポーズされたといって恋人を家に連れてくる。その顔を見て驚く俊作。なんと理紗の恋人は幸太郎だった・・・という物語が展開される。

最初に「私も家族の中に飛び込ませていただきました」と挨拶をしたのは石井P。「TBSに入って今年で60年。私は一人っ子でございますから、もうほとんど家族はおりません。ですからひとつのドラマを作るたび、その家族と一緒にステキな時間をすごさせていただいておりました。今回も家族の気持ちを味あわせていただき、本当にありがとうございます」と石井Pはキャスト一同に感謝を述べた。

小野寺理紗を演じる宮﨑は『あにいもうと』に続き、石井作品は2作目。「今回もまた石井さんに声をかけていただいたんですが、誘っていただけたら私の中で、やらないという選択肢はなくて。ぜひやらせていただきたいと返事をさせていただきました」と宮﨑はオファーを受けたときの感想を素直に話す。また、「先日、クランクアップを迎え、スタッフのみなさんと乾杯しました。撮影期間が短いながらも、ひとつの目標に向かい、みんなでいい作品を作ろうと集まって、お疲れ様でしたってすべての撮影が終わったとき、ほんの一瞬だけれども、家族になれたんだなぁと改めて感じて。石井さんが"家族"とおっしゃっていましたが、私もとても尊い時間だったと思いました」と語った。

兵頭幸太郎役の瑛太も「最初に石井ふく子さんからキャスティングされたと聞いて。僕も20年近く俳優をやってきましたが、とても光栄なことだなぁと思いました」と。また「あおいちゃんとは15~6年前に映画(『好きだ、』)でご一緒させていただいて。そのときはあおいちゃんのことが大好きな設定の恋愛作品をやらせていただいたんですが、成就せず。大河ドラマ(『篤姫』)でもずっとあおいちゃんのことが好きで追いかけるも、成就せず。今回は台本を開いてみたら、もう婚約するところまできていたので、15~6年かけて、やっと恋人関係になり、結婚までたどりつくことができました(笑)」としみじみと語ってくれた。

理紗の母親、真知子役の松坂は「石井先生は常に現場を見守ってくださる心強い存在で。石井先生とまたお仕事ができることを本当にうれしく思い、楽しみにして撮影に臨ませていただきました。台本は楽しくて明るく、切なさもある石井先生の心がこもったご本でした」と力強く言うも「ひとつとっても心配なことがありまして」と顔を曇らせた。「私が酔っぱらって、松重さんにおんぶしてもらうシーンが心配で心配で。ちょっと減量もしたんですけど、あまり成果もなく・・・。それが本番では驚くことに軽々と松重さんは私をおんぶしてくださって。ちゃんと私の足が着地するまでかがみ、すっとおろしてくださったんです。松重さんはこんなスマートなのにすごい筋力の持ち主なんだなぁってびっくりしまして、ますますお父さんが好きになりました(笑)」と打ち明けた。

これに俊作役の松重は「別に私が力持ちなわけでなく、松重さんが軽いということだけでございます」とニッコリ。続けて「子供のころはドンパチや斬った張ったの物語より、実は心底ホームドラマが好きでして。みんなが『太陽にほえろ!』を話しているときも、『ありがとう』を話題にするちょっと内向的な少年だったんです。それがひょんなことから俳優という仕事をはじめまして、ふと鏡を見ると、自分はまったくホームドラマに出る顔ではないことに気づきました。それから20数年。ヤクザや刑事を中心に、深夜帯での仕事をしてきましたが、このタイミングで新春のTBSのド正面のホームドラマに出ることができて、役者冥利につきるなと思います」と語った。

現場でも「石井さんはホントに360度全部が見えているんです。誰よりも早く人の変化に気づいたり、心配してくださったりするんですね。だから一緒にいるととても安心することができました」と宮﨑が収録での石井Pを思い返すと、「石井さんとお会いするとパンをいただけるんです。その次の日はようかんをいただいて、またパンもいただきました」と瑛太。これに松重も「その食パンっていうのが、焼かなくてもバターを付けなくてもおいしいっていう。それでいて何の添加物も入っていないすばらしいパン。私はこれからどこでパンを買っていいのか分からなくなってしまいました」と打ち明けた。

会見でもアットホーム感満載だった宮﨑ら4人のキャスト。家族の思いがたっぷり詰まった新春ドラマ特別企画『あしたの家族』は2020年1月に放送予定だ。

(取材・文:MAIMAI)

写真:(C)TBS