波瑠演じる小暮也映子は、寿退社間近に婚約破棄され、仕事も結婚も失った27歳の女性。也映子と共にバイオリンを習うのは、中川大志演じるイケメン大学生・加瀬理人と、松下由樹演じる専業主婦の北河幸恵。

何もかも失った也映子がバイオリンを始めたことに周囲は痛々しさすら感じるが、理人と幸恵がバイオリンを始めた事情もなかなかヘビー。理人はバイオリン教室の講師・久住眞於(桜井ユキ)に思いを募らせるが、実は眞於は理人の兄・侑人(鈴木伸之)の元婚約者。侑人が婚約中に別の女性・芙美(滝沢カレン)と子供を授かり、芙美と結婚してしまっていたのだ。幸恵も教室では気丈に振る舞うが、夫・弘章に不倫され家に帰れば義母・由実子とバチバチの嫁姑問題に直面している。

子供が通うバイオリン教室や、仕事や教養のために通う大人の習い事とは全く異なり、通う義務のない、それでも行かなければならない理由があって週に一度集まる特殊な空間。だからこそ生まれる共感やもどかしいすれ違いに視聴者はどんどん引き込まれていくだろう。

10月10日に行われたプレミアム試写会&舞台挨拶でも、松下が「この3人の友情がどうなっていくのかと、そして幸恵さんの家庭がどうなっていくのか、最終回までぜひ楽しんで見ていただけたら」と語ったように、一筋縄ではいかない"いくえみワールド"の二転三転するストーリーに注目だ。

波瑠も「マンガ原作というのもあり皆さんに見ていただくのはとてもドキドキします。でも、私自身、(試写会の)2日前くらいに完成したものをやっと見られて、出演する側でいうのもなんですが(笑)、とても楽しく見られて、早く第1話が放送されないかなってすごくワクワクしています」と1話の感想の中に自信をのぞかせる。

ドラマの見どころはストーリーの各所に散りばめられているが、第1話から楽しめるポイントは2点。出演者による生演奏と、リアルでクスッとくる会話劇だ。

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劇中の演奏は代役を立てずキャストが出す音をそのまま使うというこだわりがあり、波瑠は今年初めから、中川と松下も春ごろから個人レッスンを開始。中川が「『ギーギーギー』という音が出るみたいなところから始まり、まさしく第1話の理人たちでしたね。体が痛くなって」と練習を振り返ると、波瑠は「どう触っていいのか分からないくらいから始まりましたね(笑)」、松下も「肩に力が入って、とにかくポジションがとれないっていうところから始まりました」と同調。口をそろえて「不安しかなかったです(笑)」と初めて触れる楽器をドラマで奏でることへの大変さを吐露。

それでも、松下の「その共通点がクランクインする前にあったっていうのは大きかったように思います。ようやく『3人で合わせましょう』という日が来まして、その時初めて『せーの』で合わせたのですが、そこぐらいから3人の息とそれぞれの音を聞けたので、楽しくなっていきました」という言葉の通り、撮影は順調に進んでいるという。

共演シーンの多い3人だが、松下は「全体にすごくナチュラルなんですよ。誰かが現場で会話を仕切るとか、そういうのはなくて、フワッとしてる(笑)。自然に息が合って、笑うツボが一緒になったり、ふざけあうタイミングが一緒になったり、『自然体だな』っていうのを私は感じています」と表現。"音楽の力"が意外な効果をもたらせているようだ。

一方、会話劇の部分では脚本家・安達奈緒子の「どこにでもある日常」と「物語のエッセンス」を絶妙に織り交ぜるテクニックがきらりと光る。安達は『きのう何食べた?』(2019年テレビ東京系)、『コード・ブルー‐ドクターヘリ救命救急‐THE THIRD SEASON』(2017年フジテレビ系)など人気作を手掛けた人物。本作がTBSドラマ初挑戦ということで脚本の展開も見逃せない。

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そんな中、也映子(波瑠)と幸恵(松下)の"女子トーク"は現場も盛り上がったようで波瑠は「楽しかったです。カラオケボックスで二人で盛り上がっちゃうシーンは私も好きで、台本を読んだ時から『どんな風にできるかな』と楽しみでワクワクしていました」と女優魂に火が点いたという。そんな波瑠を松下は「波瑠ちゃんがうれしそうに『アレですよ~!』というせりふを言うとき(のしぐさが私の中にある彼女の)、イメージになかったんです。それを見た瞬間に『ちょっと面白い』と思って(笑)、そこからどんどんいろんなことがお互いに掛け合いでできるようになりました。楽しんでやっていました」と回顧。安達脚本から生まれる実力派女優同士の演技対決が今後加速していくことを予感させる。

その様子を現場で見ていた中川は「あのシーン、朝一でしたもんね。普通あんなに声出ないですよ(笑)」と明かす。その場面でどんな演技が飛び出していたのか、オンエアをぜひ楽しみにしていただきたい。

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さらに、注目は個性的な共演陣。特に、松下演じる幸恵の家族にはおぎやはぎの小木博明が夫・弘章役、夏樹陽子が義母・由実子役で登場する。松下は「小木さんと初めてご一緒させていただくのですが、私としては浮気した夫なのでちょっと距離感がある。それでも家族はみんなは仲良しなので、撮影初日に小木さんが、ずっとお話ししてくださっていたんです。そのおかげで本当に『あ、家族だな』と感じられるくらいの距離感になっていたので、さすが芸人さんだなと思いました」と小木の様子を告白。

また、夏樹についても「嫁の悪口をご近所に言いふらしてるシーンを撮るときに、私が遠目から見て聞こえている演出だったのですが、『実際あの距離だったら聞こえないんじゃないですか』なんて2人で言っていたんです。でも、由実子さんの声が住宅街に響き渡っていて、本当に聞こえるものなのですね(笑)。夏樹さんも楽しそうに演じられていました」と共演シーンの裏話を語ったように、北河家のシーンは見ごたえたっぷりの仕上がりになっている。

"いくえみワールド"の面白さは、「なかなかそんなこと現実にはないだろう」というファンタジー性と、「こんな世界あるかもしれない」「あったら楽しいだろうな」と思わせる妙なリアリティの狭間に丁寧な人間描写があるところだろう。

波瑠も「街のどこかに音楽教室があって、私たちみたいな三人がこうやって支え合いながら互いの人生を豊かにしていくような影響をもらったり与え合ったりしている、そんな素敵な環境が本当にどこかにあるかもしれないと思いながら楽しんでいただけたらすごくうれしいです」と話すように、今日から始まるこの世界観にどっぷり浸かってみてはいかがだろうか。

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新ドラマ『G線上のあなたと私』は10月15日(火)からTBSで夜10:00よりスタート(初回は15分拡大)。毎週地上波放送後に、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信される。