■【Season4 第9話】「渋谷区 神宮前の毛沢東スペアリブと黒チャーハン」

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漫画原作に近いものを、毎シーズン1話オマージュっぽくやるんです。甥っ子の太(ふとし)の高校野球の試合を、五郎が応援に行く回がありました。その時初めて200か300人くらいの大規模なエキストラを使って球場で撮影しました。その時は「この番組も、そういうこともできるようになったんだな」と(笑)。

ものすごい暑い日のロケだったんです。松重さん、原作漫画と同じように上半身裸になって、本気で応援していたのは格好良かったですね。松重さんがは、ポケットマネーでその日のエキストラ全員にアイスキャンディーを配ってました。さすがです。

■【Season5 第5話】「台湾台北市 永楽一市場の鶏肉飯と乾麺」

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初めての海外となった台湾も印象に残ってますね。スタッフが店選びに一番苦労したそうです。日本で調べて言ったことが、現地で実際見ると、ドラマに使えなくて。たまたま食べに入った店でネギがおいしくて、それが三星葱だってことが分かったんです。そこから「三星葱を探そう!」ということになって、それぞれが街に飛び出し、自分たちの足で必死に店を探したそうです。スタッフはみんな「奇跡だ」って言ってましたね。

この放送がきっかけでThe Screen Tonesは、台湾で初めての海外公演をしました。お客さんは日本人が多いのかなあと思ったら、ほぼ台湾の人で、香港から来たお客さんもいました。満員で大ウケでした。サイン会で、日本語で「台湾の麦ジュースは飲みましたか?」と言われた。「これは台湾の井戸水です」と、お酒ももらった。

街でも「クスミサ~ン!」と声かけられたし、地下鉄の駅員さんにも名前を呼ばれて。「なんでだろう」と思っていたんですが、『孤独のグルメ』が台湾のケーブルテレビで1日2回やっているんですよね。台湾で実際に番組見たんですけど、本編が終わったら『ふらっとQUSUMI』やらないで次の本編が始まるの。「あれ?」と思ったら、2回本編流した後に2回「ふらっとQUSUMI」を放送するというちょっと変わった構成でした(笑)。

■【Season1 第1話】「江東区門前仲町のやきとりと焼きめし」

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Season1第1回の焼き鳥店「庄助」。放送されて2年後ぐらいに「もう(番組を見て訪ねてきたお客さん)いないだろう」と思って、行ったんですよ。そしたら店員さんが「あちらに来ている3人のお客さん、中国から番組を見て来たんだそうです。サイン欲しいそうなんですが、いいですか?」って。ちょうど僕がいたのにびっくりしたみたいで。

そうしたら、カウンターにいたおじいさんも「私は、台湾から来ました」と。「え~!」とびっくり。そしたら店員さんが「ドラマを見て海外から来るお客さんが来ない週はない」って言ってました。台湾、韓国、中国の他に、ヨーロッパから来る人もいるようです。広がり方に驚いてます。

■【Season3 第3話】「静岡県賀茂郡 河津町の生ワサビ付わさび丼」

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メニューの影響力としては河津のわさび丼が一番ですね。河津町は河津桜がで有名だったんですけど、あまりにもわさび丼を食べに来る人が絶えないんで、観光協会が考え方を変えて、今、駅に「わさび丼の聖地」って書いてあるんですよ。わさびバーガーとか作って、わさび推しの街になっちゃったみたいです(笑)。

■【Season7 第9話】「韓国チョンジュ市の納豆チゲとセルフビビンパ」

■【Season7 第10話】「韓国ソウル特別市の骨付き豚カルビとおかずの群れ」

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ソウルで店がわからず、日本暮らしも長い韓国の女性コーディネーターに「郊外で渋い店見つけてほしい」とオーダーしたんだそうです。彼女が苦労して探してきた店に、スタッフを連れて行ったら、みんな「おいしい」「おいしい」と食べたらしいんです。でも、「久住さんはこれだとどうかな・・・」って言ってるんですって(笑)。これ、後で彼女に直接聞いた話です。

「みんなこんなにおいしいって言っているのに、その久住さんって人はどんだけ気難しい人なんだ!」って、思ったそうです(笑)。おいしかったけど、スタッフは『孤独のグルメ』らしさに納得しなくて、その店のすぐ近くにある店に自分たちで行って、「こっちだ」と決めてきたそうです。後日、そのコーディネーターの人は番組を見て「なるほど、たしかにこの店の方が『孤独のグルメ』らしい」と納得したようです。ただ美味しければいいというのではないことを、スタッフはわかってる。ボクが気難しいわけじゃない(笑)

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スタッフの熱意に感動!

――皆さん、やはりすごい熱量を持って作品作りに取り組まれているんですね。

僕はいつも感心するけど、ボクが選びそうな店をスタッフは探してくるんです。Season6の第2話の淀橋市場の定食屋さんは、僕が別の漫画で描いた直後に、ドラマスタッフが同じ店を決めたらしい。ドラマ化に向けて動き始めたらその漫画が出ちゃって、「うわ、かぶった! どうしましょう?」というから「俺の漫画は、そこの食堂の名前も変えているんで、全然OKですよ」と言って、だから1軒の店を泉昌之の漫画と、『孤独のグルメ』のドラマでやるっていう珍しいことがありました。そのぐらいセンスを共有しているということです。嬉しく、ありがたいです。

――ありがとうございました。最後に「孤独のグルメ」を愛する視聴者に向けてメッセージをお願いします

Season8は、本当に新たな気持ちで頑張っております。番組が始まっても、まだ並行して音楽を作り、台本も直していますので、よろしくおねがいします。「ふらっとQUSUMI」のボクはどうでもいいのですが・・・(笑)。

『孤独のグルメ Season8』は毎週金曜深夜0時12分からテレビ東京系(テレビ大阪のみ翌週月曜深夜0時12分)で放送中。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも見逃し配信されている。

【インタビュー前編】原作者・久住昌之が明かす『孤独のグルメ』が愛される理由!

【取材協力店舗】
『ALTBAU with MARY BURGER (吉祥寺店)』
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-10 MAビルディング4F
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