動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、9月1日(日)より、ドラマ『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ』の配信がスタート。

1984~1985年にTBS系列で放送され、社会現象ともいうべき一大ブームを巻き起こし、35年を経た今もなお、ファンの間で熱く語り継がれる『スクール☆ウォーズ』。不良ばかりが通う川浜高校で、ラグビー部の監督・滝沢賢治が、汗と涙の熱血指導によって、落ちこぼれの部員たちを更生させていく。それまで無名の弱小チームだったラグビー部が、やがて全国優勝を果たすまでの奇跡を描いた"青春学園ドラマの金字塔"だ。

主人公の滝沢賢治を演じる山下真司のインタビュー後編では、忘れられない賢治の名ゼリフをピックアップ。撮影当時のエピソードとともに、セリフに込められた思いを語ってもらった。

(山下真司インタビュー前編『スクール☆ウォーズ』"泣き虫先生"・山下真司が思い出語る「毎日が戦いだった」

20190821_sw_03.jpg

■山下真司が自らセレクト!"泣き虫先生"滝沢賢治・魂の名言集

●「今からだって遅くないぞ。お前さえその気になれば、ラグビーだって何だって、やれるチャンスはいくらでもあるんだ」

第6話「涙の卒業式」では、少年院上がりの不良生徒・水原(小沢仁志)が、賢治を学校から追い出すべく、自分に暴力を振るうように画策。ついに、夜の河原で殴り合いの決闘を繰り広げる。その後、賢治は水原を自分の家に連れ帰り、腹を割ってお互いの思いをぶつけ合う。ラグビーの魅力を熱っぽく語って聞かせる賢治に心打たれ、「俺よ、ラグビーやっときゃよかったかな...」と涙ながらに語る水原。後悔の念にさいなまれる水原に、賢治は「今からだって遅くない」と語って聞かせるのだった。

20190821_sw_04.jpg

山下:水原との決闘シーンは、真冬の多摩川の川べりで、夜中の1時、2時まで撮影しました。とにかく寒かった! その後、賢治の家で二人で語り合うシーンでは、僕が水原に「気付け薬だ」といってウイスキーを飲ませるんですが、今思うと、学生に酒を飲ませるのはマズかったかなと(笑)。しかしその甲斐あって、水原は改心します。自分もラグビーをやっていれば、こんなワルにはなっていなかったのかもしれない、と泣きながら思いを吐露する水原に、賢治は言うんです。

「水原、今からだって遅くないぞ。お前さえその気になれば、ラグビーだって何だって、やれるチャンスはいくらでもあるんだ」と。

「だから水原、大人になったら、また一緒に酒を飲もう!」・・・と、これは今思い付いたアドリブですが(笑)、ともあれ、ずっと殻に閉じこもっていた水原と、とうとう心を通わせることができた、忘れられないシーンの一つですね。

ちなみに、水原役の小沢くんとはこの後、実際に何度かお酒を飲みに行ったんですが、今や小沢くんもすっかり貫禄がついてしまいまして、声もダミ声になり、ちょっと近寄り難い存在になってしまいました(笑)。

●「お前らはゼロか? ゼロの人間なのか? それでも男か!? 悔しくないのか!!」

第8話「愛すればこそ」の1シーン。高校ラグビー選手権の県予選大会で、相模一高に"109対0"という未曽有の大敗を喫した川浜高校。試合後のロッカールームで、森田(宮田恭男)ら部員たちの覇気のない様子を見て、賢治は烈火のごとく怒り、檄を飛ばす。「お前らはゼロか? ゼロの人間なのか? 何をやるのもいい加減にして、一生ゼロのまま終わるのか? それでいいのか!? おまえら、それでも男か!? 悔しくないのか!!」。その瞬間、それまで虚勢を張っていた森田が、「悔しいです!!」と、ついに感情をあらわに。すると、他の部員たちも次々と涙を浮かべて悔しさを口にし始める。賢治は、そんな部員たち一人一人に、苦渋の表情で愛の鉄拳を食らわしていく――。名場面が満載の『スクール☆ウォーズ』の中でも特に人気の高い、川浜高校ラグビー部が生まれ変わるさまを描いた感涙必至のシーンだ。

20190821_sw_05.jpg

山下:僕の「悔しくないのかーっ!!」というセリフも、精いっぱいの力を込めて叫んだんですが、宮田恭男くんの「悔しいです!!」というあのセリフは、本当に鬼気迫るものがありましたね。そして彼の演技に触発されて、他の若い俳優たちも素晴らしい演技をしてくれて。僕は、このシーンによって、『スクール☆ウォーズ』という作品が、日の目を見たというか、次のステージへ上がったという気がしていて。キャスト・スタッフみんなの苦労が実った瞬間でしたね。このシーンが、いまだに名場面と言われるのは、僕がみんなを次々にぶっ飛ばしていったっていうインパクトだけじゃなくて(笑)、宮田くんたちの熱さが、見ている皆さんに伝わったからだと思います。

そういえば、この撮影のとき、僕の「悔しくないのか!」というセリフを撮ったところで、いったん昼飯の休憩が入ったんですよ。そしたら宮田くんが、「先生、飯食いに行ってきまーす」って。僕は怒りましたよ、「お前、飯なんか食ってる場合じゃないだろ! 俺はこんなにテンション上がってるんだよ、飯なんか食えるか、バカヤロー」って。で、「お前、飯食ってきてもいいけど、戻ってきて、つまらない芝居をしたら、お前のこと本気でぶっ飛ばすからな!」と(笑)。

で、いざふたを開けてみたら、宮田くんは見事な「悔しいです!!」を披露してくれて・・・。それを見て僕は思いましたね、一番悔しかったのは、みんなが昼飯に行ってる間、一人ポツンとロッカールームに残されて、飯も食えず途方に暮れていた僕じゃないかと。森田、俺だって本当は飯食いたかったんだよ! 悔しいです!!(笑)

●「人間は誰でも死ぬんだ。残された時間を燃焼しろ。そこにお前の命の輝きがあるんだ!」

第12話「愛は死線を越えて」では、川浜高校ラグビー部随一の努力家、イソップこと奥寺(高野浩和)が、脳腫瘍を患い余命いくばくもないことを悟り、自暴自棄に。現実から逃避するため、トルエンにも手を出してしまったイソップに、賢治はラグビーを人生に例えて、教え諭す。「俺はあえて言う。人間の運命とは生きることだ。そして何のために生きるか、それは愛すべき者を愛して戦うためだ。だから俺は一生懸命生きる。負けると分かっている戦いでも、最後まで戦う。イソップ、人間は誰でも死ぬんだ。残された時間を燃焼しろ。そこにお前の命の輝きがあるんだ!」。賢治の言葉はイソップの心に突き刺さり、イソップは忘れていたラガーマンシップを取り戻し、"死線"を越える最後の瞬間まで戦い抜くことを誓うのだった。

20190821_sw_06.jpg

山下:死を恐れて道を踏み外しそうになるイソップを説得するシーンは、夜に撮影されました。頭に包帯を巻きながら渾身の演技を見せてくれたイソップの姿は、今でも強く印象に残っています。でも、最近よく思い出すのは、「人間は誰でも死ぬんだ。残された時間を燃焼しろ」という自分のセリフ。今の自分に、ものすごく刺さるんですよ。僕も「あと何年生きられるんだろう」と思うような年齢になりましたからね。だから、「残された時間を燃焼しろ」と今では自分に言い聞かせています。命の火が燃え尽きるその日まで、頑張れ、賢治!...いや、真司!(笑)

●「ラグビーは人生そのものだ。ボールに対する執着心が勝利を呼ぶように、最後まであきらめない執着心が、人生には必要なんだ」

第22話「勝ってから泣け」では、"川浜一のワル"から更生し、ラグビー部キャプテンを務める大木(松村雄基)の後任として、2年生部員の平山(四方堂亘)に白羽の矢が立つ。しかし、少々独善的なところのある平山は、自分の腕を磨くことに集中したいからと、キャプテンの座を辞退。そこで賢治は、ラグビーの真理を、改めて語って聞かせる。「ラグビーは人生そのものだ。ボールに対する執着心が勝利を呼ぶように、最後まであきらめない執着心が、人生には必要なんだ」。その後、先輩部員たちの後押しもあり、平井はキャプテンに就任した。

20190821_sw_07.jpg

山下:「最後まであきらめない執着心が、人生には必要なんだ」。このセリフも、僕は今、心の中で自分自身に向かって何度も叫んでいます。「最後まで人生をあきらめるんじゃないぞ。そうすれば必ず、自分の人生に勝利することができる」と。結局は、何事もあきらめないということが生きていく上で一番大切なんだと、自分の胸に刻みながら、毎日を粛々と生きている次第です。あきらめるな! 真司!!・・・しつこいね(笑)。

あと、全くの余談ですけど、この前、散歩していたら、平山役の四方堂亘くんにばったり出くわしました。元気そうでうれしかったです。

■山下真司が自己分析! 『スクール☆ウォーズ』の人気の理由

『スクール☆ウォーズ』の思い出の名ゼリフを、楽しく解説してくれた山下真司。最後に、このドラマが、本放送から35年経った今でも、幅広い層の間で人気を博している理由を、改めて分析してもらった。

20190821_sw_08.jpg

山下:ありがたいことに、いろんなところで、いろんな方々から「僕、『スクール☆ウォーズ』を見て育ったんですよ」って声を掛けていただくんですよ。中には、涙を浮かべながらドラマの思い出を話してくれる方もいて。『スクール☆ウォーズ』って、"いいものは何年経っても人々の心の中に残るんだ"っていう、モデルのような作品ですよね。

出演者の僕でも、見るたびに泣いちゃいますからね。でも、なんで泣けるんだろうって、いつも考えるんだけど、うまく言葉で言い表せないんですよ。周囲に対する思いやりだったり、人を信じる強さだったり、いろんな要素があると思うんだけど、あえて言うなら、"あったかさ"ってことになるのかな。やっぱり、いつの時代も、生きていくっていうのは大変じゃないですか。楽しいことよりも、つらいことの方が多いし。そんなときに、そのつらさを分かってくれて、優しく温かく抱きしめてくれるような人が、そばにいてくれたらなぁって、誰もが思ってるわけでしょう。で、僕は『スクール☆ウォーズ』というドラマが、まさにそういう存在だと思うんです。そのあったかさが画面から伝わってくるから、泣けちゃうんだよね。

賢治のモデルになった山口良治先生(※元京都市立伏見工業高校ラグビー部の監督。かつて全く無名だった伏見工業高校を、わずか数年で全国優勝を果たすほどの強豪チームに育て上げた)にしても、原作の本(※伏見工業高校ラグビー部と山口先生の奮闘を記録したノンフィクション『落ちこぼれ軍団の奇跡』)を手掛けた馬場信浩さんにしても、日本のこれからを担う子どもたちを育てるために、力を尽くしていたわけで、そこにも、あったかさはちゃんとあると思うんですよね。

だけど、こうやって話してると、"あったかさ"っていう言葉でも、まだ言い表せていない気がしてきました(笑)。もっと大きくて強い何か・・・空気とか食べ物と同じくらい、人間が生きていく上で一番大切なものを与えてくれるドラマなんじゃないかと思います。

20190821_sw_02.jpg

【番組情報】
『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ』
9月1日(日)から動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて配信開始予定
DVD-BOXが9月4日(水)に発売予定
(C)大映テレビ
(C)Paravi

【山下真司インタビュー前編】『スクール☆ウォーズ』"泣き虫先生"・山下真司が思い出語る「毎日が戦いだった」