TBSで毎週火曜夜10:00から放送中の石原さとみ主演ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』。1999年から2003年まで「週刊スピリッツ」(小学館)にて連載された、佐々木倫子による漫画「Heaven? ご苦楽レストラン」が原作で、「ロワン・ディシー<この世の果て>」という名のフレンチレストランを舞台に、風変わりなオーナー・黒須仮名子(石原)と個性的な従業員たちとの間で繰り広げられる、"至極のフレンチレストランコメディー"を展開している。

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でもスピンオフドラマが配信され注目を集めている本作。石原演じる仮名子を筆頭に個性的な従業員たちに振り回され気味なシェフドラン(上級ウエイター)・伊賀観を演じる福士蒼汰が、役作りや石原ら共演者の印象、撮影の苦労などを語ってくれた。

――福士さんが演じる伊賀観というキャラクターの人物像を教えてください。

伊賀は感情を表に出したり、笑うのが下手というキャラなんですけど、優しい人かなと。何に対しても優しい目で見ていて、自分がちょっと引けば引いて幸せになるならそれでいいよっていう心構えを持った青年だなと思います。

"諦観"というのがドラマで出てくるんですけど、期待することを諦めつつも、オーナーのように猪突猛進に突き進んでいる人に対してサポートできるというのが、僕にはできないのですごいなと尊敬しています。

――もし身近に仮名子さんのような方がいたらどう思いますか?

漫画のキャラクターなのであまり仮名子さんのような方はいないと思うんですけど(笑)、もしいたら・・・あまり関わらないようにするかもしれないですね。あそこまでグイグイ来られるのはちょっと苦手です(笑)。

――そんな仮名子さんを演じる主演・石原さとみさんのご印象は?

本当にまっすぐな方なので、ある意味オーナーという役にぴったりで、みんなで付いていこうと思える空気を感じる方だなと思います。すごくナチュラルなんですよね、かっこつけたりしないし。

石原さんと仮名子さんは似ているなと思うところもあります。でも、オーナーは我が強すぎるんですけど、石原さんの場合は論理的にお話をされることが多いので、そういう意味で似ている部分も相反している部分もあるなと思います。

――現場の雰囲気はいかがですか?

とてもいいと思います。みんな揃うシーンが多いので、すごく和気あいあいとした雰囲気になっています。

――伊賀を演じる上で大変なことはありますか?

物語がコミカルでコメディーの要素が多いんですけど、その中で自分は笑ってふざけたりすることができないというのが・・・「ふざけたい!」と思ったりしますし、表情に出ないというのを表現しないといけなくて結構難しいですね。いつも以上に細かい表情筋を使っています。

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――では、常に感情を表に出している川合くん(志尊淳)が羨ましかったり?

彼の役は本当に素晴らしいなとみていて面白いなと思います。伊賀とは真逆のタイプなので、その対称的な感じを見せていけたらなと思います。

現場で率先して空気を作ってくださるのは勝村(政信)さんと志尊くんで、2人がボケて突っ込んでみたいなやり取りを現場でやってくれているので、僕も笑ったりスタッフさんも和やかな雰囲気なったり、すごく助かっています。勝村さんが「これ次やってみな」って志尊君にコソコソ言って、実際にやったりとかしていて、それで笑いが起きています。いつの間にか、志尊くんが自分から率先してやるようになっていて、すごくいい傾向だなと思って。

伊賀は冷静な突っ込みとかはするんですけど、絡んでいくことはできないので羨ましい気持ちも・・・見ていて楽しそうですし、いい経験だろうなと思います。

――本番で思わず笑ってしまうことはないんでしょうか?

川合くんとかがアドリブをやっている時にみんなが笑っちゃうんですけど、僕は絶対に口を開けて笑ったりしちゃだめだからそういう時は大変ですね。笑っちゃいけないという状況の笑いが一番辛いです。それが毎日あって・・・一人で"笑ってはいけないロワン・ディシー"みたいになっています(笑)。

――本作では、パラビで独占配信されているスピンオフドラマがありますよね。

面白いストーリーが原作にいっぱいあるんですけど、本編で描き切れなかったものをスピンオフドラマで出来ているのでよかったなと思います。みんなも楽しそうにやっていましたね。僕は5話が特に好きですかね。川合くんと伊賀くんの2人だけのシーンがあるんですけど、二人の関係性がすごく見えてよかったなと思います。

――福士さんが現場で常に歌を歌っているとお伺いしたのですが・・・。

そうですね、事実です(笑)。他にやることがあればやるんですけど、他になければ歌う・・・という。石原さんから「あれ歌って」ってリクエストされたりします(笑)。最近だとゆずさんの曲を歌ってほしいと言われました。

――印象に残っているシーンは?

僕は毎話、最後の方のシーンが好きで、深く人に迫るようなセリフがあったりするんですけど、それを仮名子さんがぶった切るんですよね、「そんないい話じゃないから」みたいな感じで。それがコメディーとしての面白さになっているし、言葉自体は核心を突いていたり、ちゃんと深い思いがこもっているので、見る人によって感じ方が違って、両方楽しめる作品なんじゃないかなと思います。

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――今回はシェフドランという役どころで、テーブルマナーなども学ばれたとお伺いしました。特に大変だったことは?

アイスクリームをスプーンですくってキレイな形で提供したりお皿を3枚持ちしたり、すごく難しいんです。特にワインボトルのオープンが難しかったです。本編ではやるシーンがないんですけど一応練習をしていて、それが一番大変でした。撮影の数日前から練習させてもらうのですが、本番でキレイにできた瞬間、練習してよかったなと。レッスンする上での苦しみ、成功したときの楽しみがあると思いました。ちなみに一番得意なのはスプーンとフォークでパンを持つことです。

僕はバイト経験とかが全くなくて、サービスをしたりレストランで働くということもなかったんですけど、お客さんが入ったとか、料理を食べて喜んでくれたシーンを通しながらこの仕事の楽しさはこういうところかなと分かってきました。

――最後に、ドラマの見どころ、ご自身の役で注目してほしいところを教えてください。

気楽に見ることができる作品なのですが、人の心に響くセリフも散りばめられていて、見る人によって感じ方が違うドラマで、全体的には明るい仕上がりになっています。気軽に「ロワン・ディシー」に来られるような気持ちで観ていただけたらうれしいです。

この作品の中で、伊賀が唯一、成長や変化があるキャラなのかなと思います。みんなは自分という個性があって、それをずっと貫いているんですけど、伊賀はロワン・ディシーに来て「自分がまとめなきゃいけないんだ」「川合君は自分が教えなきゃいけないんだ」とかそういう責任感が芽生えたり、成長していく部分があるので、そんな伊賀を見守っていただければと思います。

【番組情報】
『Heaven?~ご苦楽レストラン~』
毎週火曜 夜10:00-10:54
放送終了後に動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で本編とスピンオフドラマも配信中。