原作・寺嶋裕二による、王道にして斬新。感動と興奮の高校野球漫画として大人気の『ダイヤのA』(講談社)。現在も続編となる『ダイヤのA actⅡ』が週刊少年マガジンにて大好評連載中だ。アニメ版も2013年に『ダイヤのA』(以下、1stシーズン)、2015年から『ダイヤのA -SECOND SEASON-』(以下、2ndシーズン)として放送されて好評を博し、そしてアニメ最新シーズンとなる『ダイヤのA actⅡ』(以下、actⅡ)がついに4月2日(火)よりテレビ東京系列にて放送スタートとなる。
東京の強豪・青道高校野球部を舞台に、主人公・沢村栄純ら熱い高校球児たちの成長と甲子園出場を目指した戦いを描く本作。インタビュー前編となる今回(後編はこちら)は、青道でエースピッチャーを目指す沢村栄純を演じる声優・逢坂良太にactⅡの見どころや過去シーズンの思い出などを語ってもらった。逢坂のインタビュー動画は「パラビ」で見ることができる。
――最新シリーズの放送がいよいよ間近に迫ってきていますが、今のお気持ちは?
『ダイヤのA』という作品は、僕が今まで関わってきた中でたぶん一番長い作品になるので、思い入れがすごく強いんです。2ndシーズンのアニメが終わった後も、原作同様にアニメもずっと続くと個人的に言い続けてきました。イベントもたくさんやらせて頂く中で「皆さんの応援があれば、actⅡのアニメ化もきっと実現できると思います」という話をさせて頂いていました。昨年の『オールスターゲームⅢ』の時にようやくactⅡのアニメ化を発表ができたのですが、皆さんの反応がすごく大きかったので、改めてがんばってきて良かったなと思いました。いろんな思いが混じって、今、感慨深くこの時を迎えています。
――念願叶って、という感じでしょうか。
そうですね。長かったですね。2ndシーズンの放送終了から、3年ほど空きましたから。僕自身、この業界に入ってからそれほど長くないので、3年ってすごく大きいんですよ。だから、自分の成長も見せられるかなと思いつつ、あんまり間は空けたくなかったなと思う自分もいるんですけど(笑)。なので、actⅡ第1話のアフレコの時は、気合いを入れ直して時間をかけて収録させて頂いたので、いいものができたかなと思っています。
――actⅡの見どころはどんなところですか?
actⅡでは、最初に栄純が出てきた後は、どちらかというとライバルピッチャーの降谷に焦点が当てられるんです。『ダイヤのA』では主人公の沢村栄純だけでなく、たくさんの選手が登場してその選手ほぼ全てにスポットが当たります。青道だけでもいろんな選手がいて、「この選手はこういう性格だったんだ」とか、「こういう良いところがあるんだ」とか、「すごく冷静に見えても熱いものを持っているんだ」とか、細かい部分まで見えてきて、青道のいろんなキャラクターの深いところが分かると思います。
――魅力的なキャラクターが数多く登場する作品ですが、その中で気になるキャラクターはいますか?
actⅡでは栄純たちが2年生になり1年生の新入部員が入ってくるんですよ。新しいキャストの子たちがどういった芝居でくるのか、どう絡んでくるのかという部分が個人的に楽しみで気になっています。キャストの年齢も、作品と同じように、2年生のキャストは僕と同年代だし、先輩は本当に先輩だし、1年生は本当に後輩が演じるので、気持ちが作りやすくてすごくいい現場だなと思います。
――2ndシーズンのラストで沢村たちがついに甲子園にたどり着いて、そこからactⅡが始まるわけですが、actⅡの最初のアフレコには感慨深いものがありましたか?
actⅡの冒頭はこれまで見ていなかった方にも分かるように今までのあらすじみたいなものが流れて、その後に甲子園での栄純のひと言が入るんです。アフレコ前に、台本とリハーサル用の映像を頂いて家で練習するんですけど、その台詞を言う時に、すごい涙声になってしまいました(笑)。自分でも気づかなかったんですが、何かこみ上げてくるものがあったんだなと。改めてこの『ダイヤのA』という作品が好きなんだなと思いましたし、自分の想像以上に思い入れのあるものになっていたんだなと感じました。改めて自分の気持ちに気付いたことで、さらに気合いが入りました。
――2ndシーズンのアニメ放送から3年の間がありましたが、actⅡで演じていて変化や難しさを感じるところはありますか?
2ndシーズンの終わりが春の選抜の甲子園で投げる前に終わったので、actⅡは本当にその続きなんですよ。だから、あの頃から沢村自身には大きな変化はないんですが、僕にとっては3年という時間が経っているので、前の流れを自分の中に戻さないといけないという大変さはありました。
選手たちは早く起きてアップをして試合に臨みますよね。今回のアフレコの一言目は、それと同じように、アップ後から試合に臨むまでの気持ちを入れなきゃいけないという状況だったので、そこの気持ちに持っていくのはすごく大変でした。
――アフレコでも、野球選手のようにアップされたりとかはあるんじゃないでしょうか?
アフレコはテストをやって本番という流れで行うんですが、そのテストがある意味で野球選手のアップなのかなと思います。もちろん、アフレコのテストでも全力は出すんですけど、そこで皆さんの芝居を聴いて「こういう感じで来るなら、本番はちょっとこうしてみようかな」みたいな再発見をすることもあるんです。その調整したものを本番にぶつける、という感じですね。
――actⅡでは1stシーズンからの沢村の成長ぶりが見どころでもありますが、今までの沢村を振り返ってどうですか?
昔はいろんな人に噛みついたり、強豪としてチームで戦うというのがどういうことなのか分かってない状態で青道に入ったので・・・言うなれば、半分常識がないというか、野生のまま入ってきた感じがありました。けれど、チームメイトや片岡監督に支えられて、チームの1人、仲間の1人、選手の1人として、少しずつ自覚していくんです。少しずつ、練習や試合を重ねて成長していく。本当に少しずつなので、やっている時は(成長を)あまり感じないんですよ。もう一度最初から通して見た時に「こいつ、ここまで変わったんだ・・・」ということに気付かされるんです。
actⅡの収録に臨む前に原作を読み返したんですが、「47巻の間でここまで大きくなりましたか・・・」と感じました(笑)。ただ、まだ荒いところはあったりするので、そこがこれからどうなっていくのか楽しみですし、沢村栄純役として、栄純と一緒に成長していきたいなと思っています。
――そういう思いから、沢村の成長と自身の声優人生で重なる部分はありますか?
『ダイヤのA』を初めた頃は僕も新人だったので、一緒に成長した感じはすごくありますね。だから、この3年空いたことによって、何も変わっていないと逆にダメだなと思いますし、成長した姿は見せたいなと考えています。ただ、根本的なものは変えちゃいけないという難しさとして、成長したものは入れなきゃいけないけれども、変えちゃいけないものもある。そこのせめぎ合いと言いますか、うまく混ぜ合わせてやっていくという意味では、まだまだこれから僕も成長していくとは思っているので(笑)。改めて、栄純と一緒に歩んでいきたいです。
――1stシーズンと2ndシーズンを振り返って、ベスト場面はありますか?
これは、初めて見る方には本当に申し訳ないんですが、1stシーズンの収録をしている最初の頃はベスト3を選べたんですが、やっていくにつれて思い入れが強くなって・・・選べなくなっちゃいました(笑)。なので、途中から「ベスト場面は全部!」って言っているんですよ。申し訳ないですけど、全部です(笑)。全部を見て頂いた中で、皆さんのお気に入りシーンがあれば、こちらとしてはすごく嬉しいなと思います。
――逢坂さんとしては全てが名場面ということですね(笑)。
やっぱり一緒に歩んできたものがあるので、どれも外せなくて。どれがなくても成立しないという感じですね。
――少し話はさかのぼりますが、沢村役に決まった時はどんな気持ちでしたか?
実はオーディションを受けて、「まあ、俺だろうな」と思っていたんですよ(笑)。と言うのも、もともと原作を読んでいて、すごく面白い作品だなと思っていたんです。その1年後ぐらいにオーディションのお話をいただいて。最初はスケジュールが取れていないこともありオーディション自体が受けられなかったんですが、「どうしても受けさせてください」とお願いをしていたら、スケジュールが取れるかもしれない状況になり受けさせてもらえたんです。そうして当日行ってみたら、スタジオに僕以外にオーディションを受ける人が誰もいなかったんですよ。オーディションって1日に何十人単位で受ける時もあるので「あれ・・・?」と思って。それで、終わってから音響監督の高桑一さんに「今日、他にいないんですか?」と尋ねたら、「君1人だよ」と言われたんです。後から詳しく聞いたら、さんざんオーディションをした上で「逢坂良太というやつがいるぞ」という話になって、わざわざオーディションに呼んで頂いたそうなんです。
だから、運命を感じたというか、このキャラクターを見た瞬間に「今の若手でこの役をできるのは俺しかいない!」と思っちゃったんですよね(笑)。普段はオーディションで「これは絶対に受かったな!」と感じることはないんですが、『ダイヤのA』だけは違ったんですよね。妙な自信があって、結果、やらせて頂けることになって。ここまで長いシリーズになるとは思ってなかったので、とてもありがたい話だなと思いますね。
――「俺だろうな」や「俺しかいない」というのは、沢村が言いそうな言葉ですね(笑)。
初期の沢村なら言いそうですね(笑)。でも、本当に運命を感じました。
――そこから1stシーズン第1話のアフレコに臨んでどうでしたか?
1stシーズン第1話の時は、初めてお会いする方も多かったです。その中に、青道OBで東清国役として大先輩である檜山修之さんがいらっしゃいまして。全力で声を出すキャラを多く演じている方なんですが、栄純もすごく大きな声を出すキャラなので、どうにかしてこの方に追いつこうと思って全力で演じていました。それから、第1話のアフレコが終わって飲みの場で、檜山さんといろいろお話をさせて頂いた中で、「大声を出すって辛いですね」とお話したら、「お前、そんなのまだまだ甘いよ」みたいなことを言われまして(笑)。でも、その厳しい言葉によって逆に自分の中で火がついて、「これぐらいで辛いとか言っていたら、この先やっていけないんだ!」と、第2話からさらに全力でやらせて頂きました。ある意味、檜山さんのお言葉がなければ、今の沢村栄純はなかったのかなと思うぐらいものすごくありがたいお言葉を頂いたなと思います。
(後編に続く)
後編はこちら:『ダイヤのA actⅡ』沢村栄純役 逢坂良太に聞く(後編)「自分の中には栄純がずっといる」『ダイヤのA actⅡ』はテレビ東京系列にて4月2日(火)夕方5時55分から、BSテレ東にて4月4日(木)深夜0時30分から放送スタート。
動画配信サービス「パラビ」では見逃し配信が決定!「パラビ」では「FIRST SEASON」「SECOND SEASON」も全話配信している。
(C)Paravi
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