2019年のエンタメを語る上で欠かせないのは、これからどんな新しいスターが登場してくるか。未知なるポテンシャルを秘めた新星が次世代のエンタメシーンを築いていく。

そこで、ライター・横川良明が、2019年の活躍に期待したいネクストブレイクアクター/アクトレスをピックアップ。ブレイク必至のホープから、これから一気に階段を駆け上がるであろうルーキーまで、その魅力を解説する。

今回紹介するのは、女優の志田彩良。『チア☆ダン』(TBS系)の好演も記憶に新しい美少女の躍進に期待だ。

いつだってテレビや映画を盛り上げるのは、時代を彩る美少女たち。その時々の世相を映し出すようなヒロインたちが、大衆の心を照らし、魅了し続けてきた。そんなネクストヒロインの最右翼が、女優の志田彩良だ。1999年7月28日生まれ。神奈川県出身の19歳。宮崎あおい、長澤まさみらを輩出したファッション誌「ピチレモン」で専属モデルを務め、2014年、短編映画『サルビア』で女優デビュー。そして、2018年に放送されたドラマ『チア☆ダン』で初の民放連ドラレギュラーを獲得し、フレッシュな魅力をお茶の間に振りまいた。

この『チア☆ダン』は主演の土屋太鳳を筆頭に、メインキャストだけで女子が8名。他にも伊原六花、堀田真由ら印象的な女優が多く、まさに次世代女優の宝庫と呼べる作品だが、中でもイノセントな輝きを放っていたのが、志田彩良だった。

志田が演じた蓮実 琴は、日舞の家元の娘という役どころ。由緒正しいお家柄らしく、控えめで大人しい女の子だった。内向的な性格から、みんなといても一歩引いたような立ち位置で、自分から目立つような役回りでは決してない。だが、その奥ゆかしさが粒揃いの個性派キャストの中で逆に光った。

特に注目なのが第6話。チアダンス部「ROCKETS」の顧問・漆戸太郎(オダギリジョー)が事故に遭い、部の存続が危ぶまれるというストーリーだ。そこで琴は、明るく振る舞う太郎が実は大怪我であることにいち早く気づき、不安に揺れる。みんなが明るく談笑している中、俯きがちに思い悩む表情が、画面の端にいてもすっと目に入ってくることに驚かされた。

そんな志田のこまやかな演技を味わえるのが、夜の公園でブランコに乗って藤谷わかば(土屋太鳳)と語らうシーン。「嬉しかった、わかばにチアダンス部に入らんかって誘われたとき」と告白し、すっとわかばを見つめたときの潤んだ目。「私、前より笑えてるやろ」と涙をこらえながら微笑む顔は、男性ならずともぎゅっと抱きしめたくなる繊細さに満ちていた。

ビジュアル的な魅力で言えば、何と言ってもその透明感。頬の赤さが映える白い肌は、リアル白雪姫。赤い"子猫リップ"もガーリッシュで印象的だ。身長は164cm。すらりと伸びた細い手足は、引きで撮ってもおさまりがいい。系譜で言えば、「ピチレモン」の先輩である宮崎あおいが近いだろうか。森の奥の静かな湖畔で佇んでいそうな、どこか幻想的な空気感をまとっている。

元気いっぱいの清純派女優が多い中、志田が一線を画しているのは、このちょっと寂しさや儚さを感じさせるところ。だから、ただいるだけで、つい気になってしまう。何かを胸の奥に秘めていそうな"影"は、見る者の目を惹きつける引力となる。女優としては、かえがたい武器だ。岩井俊二作品を彷彿とさせる淡い面影は、テレビでの活躍はもちろん、本格映画女優の予感も。

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、上述の『チア☆ダン』の他に、ゲスト出演した『東京センチメンタル』第5話を配信中。うなじの眩しいショートカットとセーラー服姿は、一見の価値がある。朝ドラヒロインからCM女王まで、無限の可能性を秘めた大器の2019年に注目したい。