2019年のエンタメを語る上で欠かせないのは、これからどんな新しいスターが登場してくるか。未知なるポテンシャルを秘めた新星が次世代のエンタメシーンを築いていく。

そこで、ライター・横川良明が、2019年の活躍に期待したいネクストブレイクアクター/アクトレスをピックアップ。ブレイク必至のホープから、これから一気に階段を駆け上がるであろうルーキーまで、その魅力を解説する。

今回紹介するのは、俳優の金子大地。社会現象を巻き起こした『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で俄然注目を集めた逸材の"役に溶け込む"力に迫る。

2018年を代表するヒットドラマとなった『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)。田中圭&林遣都が演じた「春田&牧」をはじめ、愛されキャラの宝庫となった同作だが、その中で意外な健闘を見せたのが、"マロ"こと栗林歌麻呂だ。当初はクレーム中にスマホをいじるなど規格外のモンスター新入社員ぶりで視聴者をかる~くイラつかせるも、次第にその素直さがニクめなくなり、中盤以降はすっかり視聴者からも"マロ"の愛称で親しまれる存在に。「アリよりのアリ」「俺史上空前の蝶子ブームきてんすよ」など名言を次々と生み出した。

そんなマロ役を演じたのが、俳優の金子大地だ。1996年9月26日生まれ。北海道出身の22歳は、「アミューズオーディションフェス2014」で俳優・モデル部門を受賞し、芸能界デビュー。以降、ドラマ・映画を中心に出演作を重ね、この『おっさんずラブ』で一気に知名度を高めた。

同作は田中&林の他にも、吉田鋼太郎、眞島秀和など硬軟自在の演技派から伊藤修子、児嶋一哉らインパクト大の個性派まで、腕に覚えのある役者たちが勢揃い。普通の若手ならば、達者な共演者たちに押されて、埋もれてしまっても無理のない話だ。その中で強烈な爪痕を残せたことこそが、金子大地の特筆すべき点。田中圭を相手に丁々発止のやりとりを繰り広げたと思いきや、中盤以降は年の離れた蝶子(大塚寧々)との恋にロックオン。ストレートな愛情表現に、視聴者も気づけば「マロがんばれ!」とエールを送るように。

役者にとって名誉のひとつに、自分の名前ではなく役名で覚えてもらえることがある。なぜならそれこそが、演じた役が視聴者に愛された証拠だから。そうした意味でも、金子大地はレギュラーキャスト最年少ながら見事に"マロ"を全うしてみせた。以降も『フェイクニュース』(NHK)では父親の炎上に巻き込まれる大学生役を、『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』(テレビ朝日系)を暴力事件の裏側を握るエリート大学生役を好演。今後は物語の中心を担う役どころがますます増えていくはずだ。

まず期待できるのが、少女漫画系恋愛映画の相手役ポジション。これまで山﨑賢人、竹内涼真らが担ってきたが、そろそろ次世代の登場が望まれていたところ。女子たちの乙女心を撃ち抜く"王子様"としてブレイクすれば、一気に若手俳優のトップに躍り出る可能性も。

だが、そんな"キラキラ系"とは真逆の活躍も期待できるポテンシャルが、金子大地にはある。その最大の強みは、目だ。鋭さの中に翳りと憂いがあるのが、金子大地の目の特徴。強気で自信家な王道ヒーローが似合う一方で、鬱屈や陰影をまとった文学青年的な役どころもイメージが膨らむ。その思考の深淵にあるものを覗き見たくなるような "物語力のある"目を金子大地は持っている。この目の力があれば、名匠たちがメガホンをとる静謐な邦画からダークなハードボイルドまで自在に溶け込んでいくことができるだろう。

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では現在、金子大地が出演した『下北沢ダイハード』(テレビ東京系)第9話「幽体離脱した男」を配信中。同作では、幽体離脱をした落ち目のアイドルを演じている。これから一気にスターダムに駆け上がっていくその前に、まだ初々しさの残る金子の演技をぜひチェックしてほしい。