「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

FiNC Technologiesの溝口勇児CEOは、生まれて1万日目までに起業すると決意して、FiNCを創業。創業から7年目となる2019年は、従来のソフト中心の戦略から、ウェアラブル端末やエクササイズ機器といったハードウェアにも参入。さらに米国など海外市場の開拓にも力を入れる。

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奥平:さて、一週間経ちましたけれども(笑)。

瀧口:そうですね。

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奥平:前回非常に良いところで終わってしまったんで(笑)。トレーナーになられて、あとご家庭があまり恵まれていなかったというお話を伺いましたが、どこで今のように好青年風に育ったんでしょうか?好青年風に育ったんですかって質問がひどいですけど(笑)。

溝口:実際はトレーナーとしてその会社に丁稚奉公した頃はまだ全然更生していなくて(笑)。あまり言ったことはないですが、1か月くらいで「あいつは絶対辞めさせた方がいい」という議論をされるような人間でした。

奥平:具体的にはどういう人間だったんですか?

溝口:まず敬語を使えなかったんです。なので年上の方にも全員タメ語で話していました。

瀧口:今から全く想像できないですね。すごく丁寧でいらっしゃるので。

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溝口:お客さまに対してもタメ語だったので、クレームが来るんですよね。

奥平:容姿も激しかったと伺いましたが。

溝口:すごかったですね。最初の面接は黒髪で行きましたが、受かって最初の出勤の時にはもう金髪に戻して。

瀧口:わざわざ戻したんですね(笑)。

奥平:面接の時だけ黒髪に染めていったと。

溝口:そうですね。

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奥平:トレーナーなりフィットネスクラブの経営ではスキルを積まれていたとしても、テクノロジーの会社を経営するというのは、例えばコードが書けるとか、スタートアップだと資金調達できるかとか、ある意味全く別の筋肉を動かす作業になるわけですよね。そこはどのようにしてあるべき姿とご自身のギャップを埋めていったんでしょうか?

溝口:私が24歳で経営をするようになった時に、とにかくまず会社が傾いていたのでコストをカットしなくてはいけなかったんですね。コストでカットしなくてはいけないのが、主に人件費とマーケティングコストです。マーケティングは広告代理店を使っていたんですが、代理店を使うとそれだけで(マージンを)抜かれるのと、その下請けも入ってくると実際の広告プロモーションでお客さまに届けられる人数に対して、どうしても余計にコストがかかる。

僕が何をしたかというと、代理店を切ってホームページの作成からデジタルのマーケティングから、実際に自分たちでマーケティング、それこそチラシを作ったりを含めて、全て自分で勉強してコストを抑えようと思ったんですね。それでIllustratorやPhotoshop、HTMLも書けるようになって。

奥平:コスト削減のためにまずはご自分でやったと。

溝口:そうです。そこでベースが詳しくなって、実際に社内のオペレーションシステムを人数が少なくてもきちんと回る体制に整えていきました。社内のシステムをオンラインのテクノロジーを使うことで変えていったんですね。それまでフィットネスって旧態依然とした業態だったんですが、私たちは先進的な取組みや施策をどんどん打っていきまして、それが結果として奏功したというところです。

瀧口:その経験を下地にFiNCを立ち上げられたということでしょうか。

溝口:そうですね。

瀧口:なぜ起業しようと思われたんですか?

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溝口:まず私たちの当時のフィットネスクラブというのは、店舗を増やさなければお客様も増やせない。店舗を増やすにあたっては非常に大きな借り入れが必要になる。借り入れをするのに私は責任を取れないんですよね。70歳を超えたオーナーが個人保証で5億円、10億円を借りなくてはいけない。でも70歳を超えて経営もそんなに担っていない人に対して、そんなリスクを負わせないといけないわけです。その方たちにも当然家族がいて、子供たちがいて、その人たちにも負債を負わせるのはなかなか難しいですよね。

奥平:今、事業承継とかでもよくある話ですよね。経営者が年を取ると設備投資ができなくなってしまう。

溝口:その中で、結局は自分がオーナーでなければ自分の責任でリスクを取りに行けない。そしてフィットネスクラブを運営している会社と、インターネットという会社だとあまりにもカルチャーが違いすぎて、これはゼロから自分でリスクを取りにいかなくてはいけない、ということを漠然と思っていました。これが創業につながったと言えます。

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瀧口:(溝口さんが)生まれてから1万日目の日に起業されたと伺いましたが、それは1万日目に起業しようと決めていたんですか?

溝口:そうですね、思っていました。年齢という概念は皆さんご存じじゃないですか。だけど日齢っていう概念はあまり知られていなくて。私自身も二十歳くらいの時にたまたま何かのサイトで日齢計算というものを知って、自分の日齢を計算してみたんです。そして2012年4月11日が生まれてからちょうど1万日目になるということを知って。

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溝口:その時から、1万日目以降に何か新しいチャレンジをしたいなと漠然と考えていました。それが起業という方向に思いが決まったのは実際に起業する1、2年前ですね。ですから私自身は前の会社も自分があらゆる意思決定をしていましたし、社員も含めて自分が採用した人たちばかりですから、決めなくてはチャレンジできないと。比較的今までの人生は、逆算してここまでにこうすると物事を決めて進めてきたということがあります。

瀧口:逆算して計画立てていたと。

溝口:そうですね。計画を立ててそれに向けて、というように考えていましたね。

奥平:その時立ち上げたのが、(それまで)対面でやっていたフィットネスのカウンセリングをスマートフォン経由でやるというサービスだったと。

溝口:はい。

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奥平:例えば採用や技術、ファイナンスなど、当然人を採用しなくてはいけないわけですが、どういう経緯でキーとなる人を集めていったんでしょうか。

溝口:最も私たちの転機になったと言えるのが、今のCTOの南野が私の会社に参画してくれたことですね。彼は(当時)自分で会社を2つ持っていて、エンジニアを抱えるメディカル系の会社の経営をしていました。私は当時、自分が技術者ではないので、自分の周りの技術者につながっていそうな人にコンタクトを取って、あなたが知っている最も優秀なエンジニアを紹介してくれと言いまくっていたんですね。その人と話していく中で出会ったのが南野です。

奥平:(知人の)紹介の紹介で知り合った。

溝口:そうです。

奥平:初対面でピンと来るのはあったんですか?

溝口:ありましたね。

奥平:ただ、向こうはもう会社を2つやっている。こちらは20代前半でフィットネスクラブを経営したとはいえ、スタートアップをするのはある意味素人ですよね。よく参画してくれましたね。

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溝口:非常に恵まれていたと思います。私自身フィットネスの世界ではそれなりに経験と実績があったので、ある程度名前が知られていた。近い業界だったこともあって、南野も私のことを多少知ってくれていました。そして話していく中で、お互い別々にやったら5年後10年後はあってもなくても誰も困らないような中小企業になっているだろうけど、一緒にやったらもしかしたら世界を大きく変革できる会社にできるかもしれないよね、と。そうして二人で何度も話し合いを重ねて、南野が参画してくれることになりました。

瀧口:南野さんは創業期に参画されたんですか?

溝口:そうですね。(創業して)一年半くらいですね。

瀧口:その後、取締役クラスの大人の方たちも一緒にジョインされたんですよね。

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奥平:(現副社長の)乗松さんとはお年はいくつ違うんですか?

溝口:36歳違いますね。

奥平:もうお父さんじゃないですか(笑)。

溝口:そうですね、もうおじいちゃんです(笑)。

奥平:おじいちゃんは言い過ぎですけど(笑)。でもお母さんが19歳で生んでいるので、おじいちゃんでもおかしくないかもしれないですね(笑)。

瀧口:どんなきっかけで出会われたんですか?そして一緒にやるとなった経緯はどんなことがあったのでしょうか。

溝口:私が起業前に孫正義さんの『志高く』という本を読んだのですが、非常にインパクトがあって。その中で孫さんがおっしゃっていたことが、今のソフトバンクがあるのは当時富士銀行の副頭取だった笠井さんの影響が大きいと。

奥平:ソフトバンクの「金庫番」さんですね。

溝口:私たちも掲げているビジョンや実現したい世界はソフトバンクにそう引けを取らないような大きな絵を描いていて、その中でいうと(実現には)銀行の頭取や副頭取のような方が必要なんだと思ったんです。そして孫さんが副頭取なら自分は頭取を連れてこようと思って、いろんな銀行の頭取の方に会ったんですけど、全く来てくれそうになくて。

奥平;ちょっと待ってください(笑)。こう言ってはなんですけど、草野球チームがメジャーリーガー取りに行くようなことしてますよね(笑)。

溝口:当時は無謀なことしてましたね。そして南野が参画してくれた時に、頭取は知らないけど常務だったら知っていますということになり、頭取は全然脈もないし、この際常務でもいいか、ということで会ったのが乗松さんです(笑)。

奥平:頭取全然会ってくれないから常務でもいいかって(笑)。

瀧口:それで乗松さんだったんですか(笑)。

溝口:乗松さんは話をしていたら、もともと日本興業銀行にいらっしゃって、それこそ日本を興すと書いた銀行にいらっしゃったので、非常にベンチャーマインドの高い方だったんですよね。今までお会いしてきた頭取の方とは全く違っていた。

他の頭取の方は一緒に働いているイメージが全く湧かず、ただ必要なんだと思ってコミュニケーションを取っていたんですが、乗松に関しては一緒に働くイメージがすごく湧いたんです。だからこれはもしかしたらご縁なんじゃないかと思って。今後確信しているのは当社の乗松やRIZAPの松本さんのような、重鎮でプロフェッショナル経営者のような方がベンチャー企業に参画することは非常に増えていくと思います。

奥平:シリコンバレーでも、Googleのエリック・シュミットさんが後見人として入ってきてCEOやるわけですから、そういったイメージが日本でも増えてくると。実際乗松さんがいたから乗り越えられた危機やプロジェクトなど、具体例はありますか?

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溝口:最初の資金調達は本当に乗松が中心になってくれて上手くいったということはありますね。私と南野は若かったこともあり、対外的な信用や信頼は薄いですから。乗松が我々の会社にもたらしてくれた信用、信頼は大きいです。(乗松が)自分が本当にこの会社に対して責任を持ってコミットしてやるということで、乗松のネットワークで金融機関から借り入れしたり、ベンチャーキャピタルに対してもコミュニケーションを取ってくれたことは、非常に大きかったです。

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奥平:今のところヘルステックの分野でいうと、国内ではフロントランナーだと思うんですが、世界に目を向けるといろいろな所が興味を示していて、ややiPhoneに陰りがあると言われているAppleも開発者会議をするたびにティム・クックさんはヘルスケアの話をしている印象があるんですが、そういった海外を含めた競合とどう戦われるのか、どんな将来像を描いていらっしゃいますか?

溝口:まずはAppleやGoogle、Amazonもそうですけど、全ての会社がヘルスケアに関心がある。私たちに強みがあるとするならば、この領域におけるソフトウェアにおいては、圧倒的に先に進んでいると思います。彼らはハードウェアに関して強みがありますが、ソフトウェアに関しては非常に地道な作業なんですよね。お客様のフィードバックを得て、実際にはソフトを開発して、という。この誰よりも早くチャレンジして失敗して修正して、またそれをお客様の元に出してまた修正して、というサイクルをどれだけ回せるかだと思っています。

奥平:ある種アプリでいうと(FiNCには)400万人の母集団があって、その人たちとのやり取りを日々行っているということが強みになると。

溝口:そうですね。ソフトウェアに関しては資金力やブランドで何とかなる世界ではないと思っています。ですから私たちはとにかく圧倒的に速いスピードでソフトウェアの改善を進めていくことに尽きると思っています。

瀧口:Apple Watchのようなウェアラブル端末、ハードの方で勝負するのではなくて、あくまでソフトウェアで勝負すると。

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溝口:そうですね。これからはモノとコトがつながります。Apple WatchもFitbitも素晴らしいデバイスですが、やはりソフトウェアに関してはまだ改善の余地があると思っていて、このソフトウェアでお客様にとって最適な、かつ素晴らしいプロダクトをお届けすることができたら、それとくっついたハードウェアに関しても市場において一定の存在感を発揮すると思っています。私たちはあくまでソフトウェアの発想でハードウェアを作っていくということを考えています。

奥平:Fitbitは一時期協力されていたんでしたっけ。

溝口:今も仲良くさせていただいております。

奥平:自分がハードウェアを作るというよりはハードウェアを持っているところとパートナーシップを組んでいく方向性でしょうか。

溝口:自分たちのところでもハードウェアも作っていきたいと考えています。私たちのソフトウェアを一番生かしやすいハードウェアというのは世の中に今存在しているわけではないので、自分たちの発想や考えを入れたハードに関してもこれら一つ一つ展開していこうと思っています。

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奥平:それは前回伺った55億円調達の使途の一つにハードウェア開発も入っていると。

溝口:そうですね。

奥平:それはいつ頃(市場に)出てくるんでしょうか?

溝口:早ければ来年(2019年)の春に。

奥平:あ、ではもう結構形になりつつあるんですか。手に巻くイメージでしょうか?

溝口:一つは手に巻くタイプですね。

瀧口:もう一つあるんですか?

溝口:もう一つは、私たちは家というのも大きなマーケットととらえておりまして、時間と場所の制約を取っ払ってどう運動するか。その中だと例えばエアロバイクや家にあるウォーキングマシーンなどありますよね。あれはほとんどの方がソフトウェア無しにただ歩いているだけですよね。私たちはその中にコミュニティやソフトウェアを入れていくことで、お客様が家でも楽しみながらエクササイズができるような世界を作っていきたいと考えています。

瀧口:ではエクササイズ用のデバイスも。

溝口:考えています。

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瀧口:アメリカでもFiNC Technologiesを作っているんですよね。そちらは今はどのような状況なんでしょうか。

溝口:エンジニアが常駐していて、ビジネスサイドの人間も何人かいるんですが、今はまだ海外向けのアプリケーションを作るのではなく、日本のものを英語化したり一部ローカライズしたり、現地のマーケットリサーチをしているところです。

奥平:いずれFiNCのアプリのUS版が出てくると。

溝口:そうですね。

瀧口:それは時間軸は見えているんですか?

溝口:来年中にはと思っています。

奥平:来年は大変ですね。マーケティングをやって、ハードウェアを出して、アメリカでアプリを始めて。

溝口:理想的には国内でしっかりと基盤ができてから次の展開というようにできるのが私たちにとってもストレスなくスムーズなんですけど、世界は待ってくれませんから。今は大きな資金をお預かりすることによって、使い古された言葉ですけど時間をお金で買って、国内が立ち上がる前に海外も同時に進める。これはグローバル企業も同じような考え方をしていますけど、私たちもそのためにそこから逆算して資金を集めて、人を集めて、とやってきているところです。

瀧口:どのくらいの割合の資金をアメリカに投下していくんでしょうか。

溝口:これからの事業の展開にもよるのでなかなか割合を明言しにくいんですが、それほど少なくはない金額をかけていこうと思っています。

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奥平:なかなか日本発のテクノロジー企業でアメリカで成功しているところはまだ少ないと思います。いろいろと事例も研究されていると思うのですが、何があれば成功すると思いますか?

溝口:一番は人材だと思っています。海外では圧倒的にいい人材を巻き込めない。ですので、日本のいろいろな、特にゲーム会社などを中心に、海外展開したけどうまく行かずに畳んで戻られてきた会社の現地のCEOも含めて、ご連絡させていただきましたけど。

奥平:具体的に顔が浮かんでしまいましたけど(笑)。

溝口:やはり今、海外では人材獲得競争において負けると。それは一つはインセンティブの設計、報酬面であったり、独自性といった観点でなかなか難しいと。私たちはインセンティブの設計は未上場のタイミングから上場後も含めて、報酬設計に関しては独自で面白いものを考えています。独自性という面で私たちがたまたま恵まれていたのは、日本の健康というのはとても世界でブランドがあります。そして世界でも尊敬されている領域なんですよね。

ですから日本のヘルスケアの会社で日本の圧倒的No.1というポジションを築くことができたら、そのブランドと実績を持って世界を席巻する会社を作りたいんだというコミュニケーションの中であれば、海外でいろいろな人にお会いしている中でも非常に協力的だったりするので我々は領域が恵まれていると思いますね。

瀧口:例えばメルカリさんなど見ていて、どう思われますか。

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溝口:メルカリは本当に素晴らしいと思います。メルカリさんが先に戦ってくださっていることで学ぶことも多いです。ある意味先人がいるからこそ、メルカリも先行投資をして気付いたこと、学んだこともあると思うんです。今のベンチャーコミュニティが素晴らしいのは先人たちが後人となる、後で付いてくる経営者に対してしっかりと情報を提供してくれているんですね。私たちもその中で彼らからしっかり学んで、メルカリも超えていくと。

奥平:メルカリはまさにアメリカでいうとFacebookのバイスプレジデントを務められたジョン・ラーゲリンさんをヘッドハントされましたけど、そういった感じの人材の取り方を考えていらっしゃるんですか?

溝口:それをしないといけないなと思っております。

奥平:当てはあるんですか?

溝口:当てはありますが、一生懸命やらないといけないですね(笑)。

奥平:なるほど(笑)。ちなみに今は何日なんですか、日齢で。

溝口:今は大体1万2000日強くらいですかね。

奥平:考えたことなかったです。今度調べてみます。

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瀧口:1万日目で創業されて、2万日目にはどうされていたいという計画はありますか?

溝口:抽象的な話をすると、私が人生をかけて実現したいと思っているのが、溝口勇児でしか救えなかった人、他のサービスでは救えなかった人が一人でも多くなれば後悔のない人生になると思うんです。私たちは今、市場原理の働く領域の中でビジネスをしています。つまり、ヘルスケアの領域の課題を解決することと資本主義が重なることをやっている。私たちの会社の価値が上がっていくことと多くのお客様を救うことは重なっています。

ただ残念ながら世界を見渡すと必ずしも市場原理が働いているところばかりではない。例えば未だに飢餓や栄養失調の方は9億人以上いて、年間1500万人という方が亡くなっている。当然そこにマーケットがあるわけではないので、課題があってもなかなか救われずに放置されてしまっている。私が2万日までのプロセスの中で大きな影響力や力を持つことができたら、そういった市場原理が回らないけど大きな課題があるところにおいて、解決の一助を担えるような、そんな人間になれたらいいなと思っています。

瀧口:社会課題を解決したいという思いが大きいということですか。

溝口:そうですね。それがある意味自分の満足感にもなるというか、私自身実際幼少期から高校生くらいまであまりまともな生き方をしていないんですね(笑)。ここで言えないようなこともたくさんしてきましたし。なので良いことをしないと息を引き取った後、来世で今のままだと虫とかになっちゃうなと思って(笑)。

奥平・瀧口:(笑)。

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溝口:生きている間に素晴らしいことをすれば、きっと来世も素晴らしい人生が送れるんじゃないかと思って。

瀧口:今のうちに徳を積んでいくということですね。

溝口:そんな懺悔を込めて、次の1万日は良いことをしようと思っています。

奥平:人は変われるんだなと、なんだか別の会社みたいになっていますが(笑)。ちなみにお母様は今お元気でいらっしゃいますか?

溝口:元気ですね。

奥平:金髪で肌を焼いてカラーコンタクトを入れていた息子が起業したことについては喜んでいらっしゃいますか?

溝口:喜んでいるというか、ちょっと自分の息子じゃないと思っているみたいですね(笑)。私の母もクレイジーなので、今は私よりちょっと年齢が上の彼氏と楽しい毎日を送っているみたいです。

奥平:なるほど(笑)。

瀧口:ありがとうございました!