独自の視点やこだわりを持って世界&日本を巡る"クレイジージャーニー"たちが、その特異な体験を語る伝聞型紀行バラエティ『クレイジージャーニー』。2015年に放送開始以来、絶大な支持を集め、数々の有名人を輩出している。今回は、これまでになかった全く新しい視点から番組を展開する同番組の演出を担当する横井雄一郎氏に話を聞き、番組を企画した思いから、制作の裏話まで、『クレイジージャーニー』の世界を深堀りした。

――まずは、『クレイジージャーニー』をどのようなコンセプトから番組が始まったのですか?

当時は、企画書が通らなくて悩んでいた時期で、その時の部長から「好きなものを突き詰めて考えてみろ」と言われて思いついたのがこの企画でした。学生時代、バックパッカーで、一人旅でいろいろな場所に旅行していたということと、中高時代から大好きだったダウンタウンの松本人志さんと一緒にお仕事がしたいという思いが最初にあって。松本さんは長時間の飛行機が嫌いで、好奇心はあってもあまり旅をされないとお聞きしていたので、僕が大好きな「怖いけどダッシュで見てみる」みたいなインドの路地裏とかを見たらどう思うかな・・・と、そんな発想からの企画です。

――バックパッカーをされていた当時は、番組に近いような、かなり危険な地域にも行かれていたのですか?
ジャーニー(同番組の出演者)の人たちほどじゃないです(笑)。アンコールワットに行く時、タイからカンボジアの国境まで電車で行って、そこからトラックに乗せてもらって向かうとか、その程度。往復の航空券だけを持って旅にいくということに凝っていたぐらいで、それほど危険な地帯には行ったことはないです。

――先ほど、松本さんへの思いが語られましたが、『クレイジージャーニー』はジャーニーの方はもちろん、MCの松本さん、バナナマンの設楽統さん、小池栄子さんのトークも非常に魅力的です。

MCの3人は、すごく人に興味があって、1つのこと突き詰めてる方に対してリスペクトの気持ちをまっすぐに表してくださる方たちです。ジャーニーの方たちは、突飛な方も多いので、時に色モノとして扱われてしまったり、一部だけを切り取って放送されてしまったりしていて、テレビに不信感を持っている方もいらっしゃるのですが、収録が終わると、皆さん、「MCの3人がリスペクトして興味を持って話を聞いてくれるから楽しかった」と言って帰って行きます。

――設楽さん、小池さんはそういった観点で選んでMCをお願いされたのですか?

そうです。本音で話していただけそうな方たちだと思って、オファーしました。小池さんはジャーニーの方に「飲みに行きたい」なんておっしゃるような自然体で嘘のない方ですし、設楽さんはいろいろなことに興味を持たれて、人そのものにも興味のある方です。松本さんと普段から一緒にいるというイメージがないのも、違和感があって面白いんじゃないかと思いました。

――番組の企画を出した当初から、すでに出演をお願いするジャーニーの方たちに目星はついていたんですか?

はい。もともと、僕がプライベートで本を読んで好きだった方たちや、いつかチャンスがあったらお会いしたいと思っていた方たちに声をかけました。

――出演するジャーニーの方を選ぶ基準は?

どれくらい強い思いを持っているかという、思いの強さを第一にしています。誰に何を言われようと、生活が苦しかろうと、やりたいことをやるというか・・・。会いに行ってお話しすると、(出演したジャーニーは)皆さん、とにかく面白いですよ。

例えば、洞窟探検家の吉田勝次さんは、「なんでみんなが洞窟に行かないのか本当にわからない。あんなに楽しいのに!」って本気で言うんですよ。「僕しかやっていないから、僕は幸せ者だと思います」って語ってくれるんですが、ちょっと僕たち凡人には理解できないですよね(笑)。思いが強ければ強いほど「世間の常識」とはずれてくるのかもしれませんが、番組に出演していただこうと思う、一番の基準はその思いの強さです。

――数多くのジャーニーの方をご紹介されていますが、どのように輪を広げていったんですか?

Webも本も使いますが、最近はジャーニー繋がりで紹介いただくことが多くなってきました。ジャーニー同士は探検界で知り合いだったりするんですよ。1回、出演してくださった方は番組にいい印象を持ってくれているので自信を持って紹介してくれるんです。「悪い人たちじゃないし、変な形で取り上げるようなことはしないよ」と、ガードを下げた状態で紹介してくれるので、僕らが好奇心を持って話をすれば安心してくださいます。やはり、ジャーニーたちのパイプが一番すごいですね。

――『クレイジージャーニー』にしか出演されていない方も多くいらっしゃいますよね。

そうですね。発掘もしてますし・・・。爬虫類ハンターの加藤英明さんも、もともとは『クレイジージャーニー』に出演されたのがきっかけで、今はゴールデン帯の人気番組に出演されていますからね。今や、すごい人気者です。

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――ところで、密着取材のときは、ジャーニーからどこに行くという提案があるんですか?それとも番組からお誘いするんですか?

時期やタイミングを合わせることについては相談しますが、行き先は100%、ジャーニーの行きたいところに行きます。ジャーニーのテンション上がらないと意味がないので。それに、ジャーニーから提案していただかないと分からないような場所に行っているので、僕たちから提案するのは難しいですね。(「奇界遺産」のフォトグラファーの)佐藤健寿さんが行かれる場所などは、Google検索しても出てこないようなところがほとんどですから(笑)。

――では、ジャーニーに完全にお任せするようなことも?

あります。フォトグラファーのヨシダナギさんも、番組に出演していただく前からアフリカなどに行かれているので、コーディネートしてくれる現地のガイドにも仲良しの人がいる。だから、僕たちはそのガイドの方も込みでお世話になっています。ナギさんは、現地でガイドの方と「久しぶり~」なんてハグしてますよ。そういうつてがあるからこそ、普通なら行けない場所にも行くことができています。


――番組を作る上で横井さんが一番大切にされていることはなんでしょうか?

ジャーニー、そして行く国の文化へのリスペクトを絶対に忘れないことです。文化や民族的なことを馬鹿にして笑いに変えるようなことはやりたくない。もちろん、取材をしていれば、汚い場所もあるし、きつい環境もあります。丸山ゴンザレスさんが取材した「マンホールタウン」もまさにそうですよね。でも「なぜそうなってしまったのか」ということも、番組内できちんと紹介していきたい。その国、その地域ではそれが普通なんだということもあるので、僕たちが「それは変だよ」と指摘するようなことは意識して止めるようにしています。とはいえ、日本人が見たら笑っちゃうようなこともあるので、それを笑わないというのは無理なことですが。でも、そこにはどういう意味があるのか、それこそが伝統なんだということは、番組として伝えるようにしています。

後編に続く―。

『クレイジージャーニ―』の過去回が、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて配信中。

(C)Paravi