動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信中のSPECサーガ完結篇『SICK'S 恕乃抄(じょのしょう)』に続く3部作として、『SICK'S覇乃抄(はのしょう)』『SICK'S厩乃抄(きゅうのしょう)』が制作されることが明らかになった『SICK'S』シリーズ。

11月13日(火)には都内にて囲み会見が行われ、主演の木村文乃、松田翔太、竜雷太、プロデユーサーの植田博樹、監督の堤幸彦が出席。完結篇となる本シリーズに懸ける意気込みを熱く語った。
なお、この日はサプライズゲストとして、『ケイゾク』柴田純役の中谷美紀、『SPEC』当麻紗綾役の戸田恵梨香が映像で登場し、激励あり、恨み節ありの爆笑コメントを寄せた。

連日、過酷な撮影に追われる中、会見に駆けつけた御厨静流(みぐりしずる)役の木村は「完結篇ということで、昨年、お話をいただいた時から身に余る大役だと思い、今でも緊張しながら撮影に臨んでいます」とプレッシャーを口にするも「堤監督をはじめとするこのチームとご一緒できるということで、どのシーンを撮影していても希望があり、毎日やりがいを感じています」と、本作への思いを真摯に語る。

一方、高座宏世(たかくらひろよ)役の松田は「(『SICK'S恕乃抄』の撮影は)去年のことですが、まるで先週終えたかのような感覚でまた撮影に入ることができました。かなり馴染んできたというか、当たり前の現場になってきていることがすごく幸せです。今回もよろしくお願いします」と笑顔でコメント。

唯一『ケイゾク』から出演し続けている野々村光次郎役の竜は「私だけとんでもないジジィなので(笑)、二人の足を引っ張らないようにうまく収まりたいと思っています。このシリーズをやっていると、幸いなことにボケませんので、いつ来るかわからない堤監督のツッコミも楽しんでいきたいです」と語り、会場の笑いを誘った。

「皆さんのおかげで(シリーズ)の中心部となる『覇乃抄』『厩乃抄』がクランクインすることができました」とファンに感謝を述べる植田プロデューサーは「3部作の構想は『SICK'S恕乃抄』の制作段階からありましたが『スター・ウォーズ』だってあとから足していったと思うので、このシリーズも続けてもいいかなと思っています」とこの2作で完結させたくない気持ちを吐露。
これに対して、堤監督も「人生の多くの時間を『ケイゾク』から始まったこのシリーズと共に過ごしているわけですが、『SICK'S』という最新版に関しては、自分の中ではいつ終わるのかわからない感じがします。台本を何度もらっても、まだ紹介の段階のような気がして...。これはきっと、この作品の結論を見たくないからなんだと思います。私も63歳ですが、命続く限りやっていきたいです」と熱い思いを明かした。
今回の役づくりについて苦労した点を聞かれた木村は「むしろ、大変じゃないところがないんじゃないかと。『今、堤組に入っています』って周りに言うと、『大変でしょ?』って返ってくるくらいですから(笑)。特にこの役は、人格がどれだけあるのか誰もわからない中でやっていて、テンションによって会話の語尾が「です」だったり、「なのよ」だったり、「こうだ!」と言い切るときもあったりしますし...。『これが一人の人間なんだ』と理解しながら演じているので、とにかく大変です」と定まらない人格に苦戦していることを告白。
さらに、堤監督のムチャブリにも困惑しているという木村は「もし高座さんがいなかったら、家に帰っても引きずるくらい凹むなぁという毎日。彼の役どころが、まっすぐに伝えてくれる人なので『ここにこういう人がいてくれたら』の代表がそばにいてくれて、本当に助かりました」と感謝。
これを隣で聞いていた松田は「ああ、俺じゃなくて、高座の方ね...」と苦笑いを浮かべながらも「堤組の映画『イニシエーション・ラブ』で木村さんとご一緒したんですが、あの頃から比べるとかなり仲良くなれたと思います。人見知りで距離感がずっとあったんですが...ここまで来るのに5年くらいかかりました(笑)」と嬉しそうに語った。

会見が盛り上がりを見せる中、ここでサプライズゲストの中谷と戸田がVTRで登場。二人とも声を揃えて「20周年おめでとうございます」と祝福しつつ、当時の過酷な撮影を振り返った。
中谷は、現在進行中のドラマの話や趣味の話に脱線したりしながら「そういえば、『本番!』って声がかかってカメラが回ったあとに、堤監督がセリフを変更にいらしたことが100回ぐらいあったような...」と当時、堤監督から受けたムチャブリを暴露。「竜さんも結構お年ですよね?松田さん、木村さんはまだお若いので柔軟に適応なさると思いますが、どうか竜さんのセリフだけは、本番直前に変えるのはお控えいただいたら嬉しいです」と冗談交じりに竜を思いやった。

一方、当時の衣装に身を包んだ戸田は「連ドラの時に、ニノマエ(神木隆之介)と戦うシーンがあったと思うんですけど、撮影が朝まで続いたりして...。なんでこんな朝まで撮影の日々が続くんだろう...寒いし...という思い出が一番印象に残っていますね」と中谷に続いて暴露。さらに、堤監督の嗜好について「しょっちゅうキンカンの匂いを嗅いでいて、そんなにキンカンが好きなのかと。あれはもう、忘れられない光景でしたね」と、苦笑しながら感想を漏らした。

シリーズの先輩である中谷と戸田の愛のこもった(?)辛口コメントを大爆笑しながら観ていた木村は「私はまだ、お二人のように『もうやりたくない』というぐらい出し切れていなくて、それが悔しいですね。いつか堂々と堤監督に愚痴が言えるようになりたいです(笑)」と、静かに闘志を燃やす。
また、戸田、中谷それぞれに思いを秘める木村は「一度、戸田さんと飲み明かしたことがあり、業界の様々なお話を聞いたのですが、その時から『一生、尊敬する人』と思っていて。いつかこの人と肩を並べられるようになるまで絶対に連絡は取らないって勝手に自分で決めているところがあるんです(笑)」と告白。
中谷とは実際に会ったことはないそうだが「柴田純という名前にとても思い入れのある植田プロデューサーが、愛蔵版ともいえる『ケイゾク』のDVDボックスを私に預けてくださって。そのただならぬ思いを感じながら撮影に臨んだ思いがあるので、画面越しではありますが、今日(中谷さんに)お会いできて光栄です」と思いを語った。
SPECサーガ完結篇『SICK'S 覇乃抄』は2019年春より「Paravi(パラビ)」にて独占配信される。
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