テレビ東京が動画配信サービス「Paravi(パラビ)」とタッグを組んだ新ドラマ枠「ドラマパラビ」の記念すべき第1回作品『天 天和通りの快男児』のマスコミ試写会(第1話)&記者会見が2018年10月2日(火)に都内にて行われた。会見には、主演の岸谷五朗ほか、古川雄輝、吉田栄作、的場浩司ら主要キャストが勢揃い。過酷な撮影現場を振り返りながら本作に懸けた熱い思いを、それぞれの視点から語った。なお、この日は、漫画原作者の福本伸行氏も登壇し、俳優陣による各キャラクターの再現率について、「ビジュアルも中身も素晴らしかった」と喜びを爆発させた。
「カイジ」「銀と金」などギャンブル漫画の第一人者・福本氏の伝説的麻雀漫画を初実写化した本作は、麻雀に命を懸けた男たちの手に汗握る心理戦をスリリングに描く人間ドラマ。無類の勝負強さと鋼の意志を持つ博徒・天貴史役を岸谷、天との出会いで麻雀の深みに没入していく若き雀士・井川ひろゆき役を古川、悪魔と恐れられる無敗の超天才・赤木しげる役を吉田、そして関西一の暴力団組長にして現役最強の代打ち・原田克己役を的場が演じる。
松本拓プロデューサー(テレビ東京)の挨拶から始まった記者会見。『銀と金』以来、2年ぶりとなる福本氏原作のドラマ化について松本プロデューサーは「1話から12話まで麻雀しかやらないドラマではありますが、その中にある人間の"欲"が激しく絡み合う心理戦として描かれているので、ぜひ期待してほしい。『ドラマパラビ』第1弾として今日から放送されますが、その名にふさわしい作品が完成した」と自信をのぞかせた。
そして、THE YELLOW MONKEYによる主題歌「天道虫(てんとうむし)」が流れる中、岸谷、古川、吉田、的場、福本氏の順で登場。本作の主演を務めた岸谷は「俳優にとって、完成した作品が公開(放送)される日を迎えることが、何よりも嬉しい夢のような時間です。『天』は麻雀を題材にした特殊な物語、美しい夕陽も、美しい海も出てきません。ただひたすら麻雀を打ち続けるドラマで、撮影もかなり大変でしたが、その分、非常にやりがいがありました」とコメント。
特に、朝から晩まで座ったままの現場に驚いたという岸谷は「4日間、同じ席に座りっぱなし、というシーンは初体験でしたね。ずっと麻雀牌を動かしているだけなんですが、1シーンで二百数十カット以上あるところもあり、"次はシーン◯◯番!"って急に言われてもわからないから、割本をいつも雀卓の引き出しに入れていました」と吐露。さらに、衣装についても「まさに苦境だった」という岸谷は「(気温が)40度近く、"熱中症にご注意ください"というニュースが流れる中、僕は革ジャンを着て撮影していましたからね。みんな冬服で、コートを着ている人もいた。何人かフラッとしていましたが、福本先生の原作があるので変えるわけにいかない。ロケ地が空調の効かない工場の時は、本当に過酷でしたね」と苦笑い。
また、天と赤木といえば、ドラマの中では雀士の2大巨頭。ところが天を演じた岸谷も、赤木を演じた吉田も麻雀未経験者。舞台で地方を回っている時、麻雀セットを一式借りて、手に馴染むようにずっと麻雀牌を握っていたという岸谷に対して、吉田は「最初は何度やっても麻雀牌が手につかなかった」と告白。これに反応した岸谷は「麻雀の先生に来てもらって教えていただいたんですが、吉田栄作がまぁ、下手で(笑)。天と赤木がこんな感じで大丈夫かな?と思っていたんですが、本番を迎えたら、ものすごくうまくなっていて。あの下手くそな吉田栄作は、そこにはいなかった」と脱帽する。
赤木を演じることで「"雀神"という言葉を初めて知った」という吉田は、「このキャラクターは、たくさんの人に愛され、尊敬されているので、未経験者であることが絶対に見えないように、とにかく猛練習しました。まさに、侍の役で殺陣を訓練するのと同じ。ヴィジュアルもここまで原作に近づけたのは初めてですが、その分、気持ちもかなり高まりました」と、撮影当時を述懐した。
一方、唯一の趣味が麻雀で11年のキャリアを持つという古川は「雀荘で福本先生の本を読みながら打っていたので、この作品に出られることが本当に嬉しいです」と満面の笑顔。「自分が出演した作品で、こんなに興奮したことは初めて。普段は反省点しか見えないのに、すごく面白いんですよ!確かに撮影は大変でしたが、男子校の先輩後輩みたいな感じで、僕は楽しかったですね。これを機に視聴者の皆さんも麻雀を知っていただけたら」と興奮気味に語った。
同じく麻雀経験者の的場は「麻雀を知らなくても、十分に楽しめるドラマになっている」と、あくまでエンタテインメント作品であることを強調。オファーを受けた際も、強面の原田役を「暗闇で生きている男だけれど麻雀に対して熱い愛を持っている男」と理解し、快諾したそうだが、唯一、金髪に染めることに躊躇したという。「俺、もう49歳だぜ」という思いと「ご近所の視線」が気になって抵抗を感じていたようだが、最終的には「いいドラマを作るため」と納得。
金髪でゴワゴワになっている的場を心配してか、吉田から「いい匂いのするシャンプーを2本プレゼントされた」と自慢げに語ると、横から岸谷が「俺ももらった」とニヤリ。「なんだ、そうなの?」とややガッカリした的場だったが、「女性だったら惚れるよね」と吉田を持ち上げていた。
なお、この日、俳優陣とともに登壇した福本氏は「漫画が全く売れない時、やっと火を着けてくれたのがこの作品で、単行本を続けて出せた初めての漫画でした。初期の頃に描いたものなので、至らぬ点がたくさんあったのですが、それを皆さんがフォローしてくださって、素晴らしいドラマにしていただいた。今日は感無量です」と募る思いをかみ締めていた。
ドラマパラビ『天 天和通りの快男児』は10月3日(水)よりテレビ東京系にて深夜1:35より放送開始。さらに、1話放送終了後にはパラビにて第1話~12話まで全話一挙配信される。
(C)Paravi
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