奥平:先ほど伺ったお話ですが、イスラエルの企業はM&Aが多く、しかも買い手は外国企業が多くて、いろんな国から買いに来てると思いますが、どこの国に買われたい、どこの国はあまり買われたくないというのはあるんでしょうか?
ラモト:イスラエル人はどこの国と一緒にビジネスをやりたいかということですか?多分彼らが一番よく知っている国はアメリカとヨーロッパです。最近中国と韓国も入ってきましたが、日本に対しては非常に興味があるものの、経験が少ないです。日本企業との連携がまだまだ少ないので、すごく興味深いのですが、(日本のことを)まだあまり知らない状況です。
奥平:日本については、良い悪い以前にまだあまり情報が無いと。
ラモト:日本はすごく良い国というイメージがすごく大きいと思います。良い意見ばかりなのですが、具体的に経験の無い人がまだ多いですね。
瀧口:先ほどのVTRでも日本側はサポートしますとか、相手の邪魔をしないでやります、という言葉が目立っていたので、夫婦みたいな感じだなと思いました(笑)。イスラエルの企業が革新的にイノベーティブにいくところを、日本の企業は邪魔しないでサポートしていくという。関係性としては歯車が上手く合えばすごく良いですよね。
奥平:夫婦でも意見をぶつけ合わないとなかなか関係は深まらないですからね(笑)。
瀧口:だからコミュニケーションが大事ということなんですね。
ラモト:あとは言語の問題ももちろんあります。日本企業の中で英語のできる人は比較的少ないです。ですので、基本的なコミュニケーションができていない部分もまだ時々ありますね。
奥平:でも非常に興味深いのは、(イスラエルには)やはりあれだけスタートアップを起こす環境があって、かつ実際できていて、しかも彼らが(会社を)買ってもらいたがっているという、こんな良い話は無いわけで。
日本企業もオープンイノベーションという話を盛んにするようになってきて、更に良いことには日本企業はお財布の中には過去最大級の内部留保を持っていますから、上手く組み合わせればチャンスはあるんじゃないかなと感じました。
ラモト:また、イスラエル企業は買収されたい企業だけではなくて、アジアの市場に入りたい企業もたくさんありますので、こういう企業と日本の大企業がパートナーシップになると、いろいろな新しい市場に進出することもできるというチャンスもあります。
奥平:いろいろと発見がありましたね。イスラエル企業の実態に加えてシステムの部分でいうと、基本的に地政学的に厳しい所にあるという、ややもすると弱みになりそうなことを強みに変えているということと、ある意味日本の全く逆の不平等な教育というんですか。つぎ込むところには惜しみなくつぎ込む。
すぐ真似をするかは別として、そういう世界もあるということを知っておくのは損が無い、というと怒られてしまいますので、知っていて得なのかと(笑)。今日は大変興味深く伺いました。
瀧口:ということで、ヨアブ・ラモトさんにお話を伺ってきました。ありがとうございました。
ラモト:ありがとうございます。
瀧口:さて、日経CNBCではイスラエルの特番を作りました。以前TechLiveXにご出演いただきました、東京大学特任准教授でいらっしゃる松尾豊さんと私で司会を努めさせていただきますので、こちらもどうぞご覧ください。
さて次回のTechLiveXは『経験は力なり シニア起業家が挑む技術革新』と題してお届けします。どうぞお楽しみに。