綾瀬はるかが主人公を演じる火曜ドラマ『義母と娘のブルース』は、業界トップシェアの金属会社・光友金属で働いていたバリバリの元キャリアウーマン岩木亜希子と、再婚相手の娘との愛と成長を10年に渡って描くハートフルな物語。

このドラマで、亜希子が名刺を差し出すポスタービジュアルをプロモーションと連動させた"名刺交換企画"が実施され、ネットを中心に話題となった。この企画の担当者であるTBS宣伝部の川鍋昌彦氏に、この企画が生まれたきっかけや実現までの苦労について話を聞いた。

20180813_gibosenden_04.jpg

企画立案から実現まで約3週間 偶然と人脈の力で難企画を実現

――まずに、どのようなきっかけでこの"名刺交換企画"が生まれたのか、経緯をうかがえますか?

綾瀬はるかさんが演じる岩木亜希子が名刺を差し出すシーンは、原作の中にも登場する象徴的なシーンであることと、電通のクリエイティブチームからあのポスターが上がって来たのを見て、いつもご一緒しているコミュニケーションディレクターの梅田悟司氏と一緒に「ドラマの内容と連動させた宣伝で、面白い事が出来るのでは?」と考え、名刺アプリ"Eight"とのコラボを企画しました。もしもドラマの中で名刺のシーンが描かれていなかったり、ポスターがあのビジュアルじゃなかったら、名刺交換企画というインタラクティブ(双方向)な企画は思い浮かばなかったでしょうね。

――名刺に記載されているアドレスにメールを送ると返信が届き、電話番号にコールをすると綾瀬さん本人や竹野内さんの声でメッセージが流れ「はい」「いいえ」などの返答に応じて違った会話が楽しめるなど、まるで岩木(宮本)亜希子が実在するかのような仕掛けが視聴者にも好評なようですね。

ありがとうございます。実はこの企画、立案から実際に稼働するまで、約3週間しか準備期間がなかったんです。

――そんな短期間でよく実現できましたね・・・!

この企画に賛同し、関わって下さった皆様のお陰です。
通常のスケジュールで動いていると、ポスタービジュアルが決定したところから着想し、企画を動かすとなると、オンエアまで数週間、なんてことは他のドラマでもよくある話で。アイデアが浮かんでも「システム開発はどうするのか」、「個人情報の管理は万全か」など、付随する様々な問題を放送までにいかにクリアするかが一番のハードルになっていましたが、今回は"Eight"を提供するSansan株式会社様との縁もあり、スムーズに話が進み、音声メッセージも式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズの「Twilio(トゥイリオ)」を使った自動応答システムを使用できたことで、通常では考えられないスピードで実現させることが出来ました。

20180813_gibosenden_02.jpg

――当初、番組的にはどのような方々をターゲットにイメージしていたのでしょうか?

家庭用プリンターの普及で学生でも普通に名刺を持っていますが、名刺アプリを使用するという時点でメインターゲットは"勤め人"です。火曜ドラマは女性が主演のドラマが多く、今回は物語のテーマや綾瀬はるかさん主演ということで働く女性の共感が得られるだろうと予測はしていましたが、「そこに男性視聴者をどうやって巻き込むか」というのがポイントでした。放送スタートから2週間が経過したところで既に2,000人を超える登録があり、パッと見た感じ男性の比率が非常に多いです。Eightのアプリを通じてメールを送ると、定型文ではありますが亜希子から返事が来るので、「綾瀬さんから返信が!?」と驚いて何度も送ってくる方もいらっしゃるようです。

――登録ユーザー数が200万人超えのアプリとなると、やはりその分反響も多いんですね。

皆さんビジネスで日常的に使っているアプリということもあり、身近なんでしょう。そして実際につながっている人からそれ以外の人にシェアされていくなど、効果は非常に大きいと思います。私がEightで登録している人数は約600名ですが、その600人からさらに広まっていくと考えると、どれだけ多くの人の目に留まるのか分からないですね。

――反響としては、予想通りの成果を得られていますか?

出だしとしてはいい感触だと思います。ドラマの内容と連動しているという事からも、今後相乗効果で名刺交換企画の盛り上がりに期待したいですね。そういえば、1万部刷った名刺が7月下旬にはもうなくなってしまったんです。ドラマの第2話で亜希子は宮本良一と結婚して宮本姓になったので、今後刷る名刺はすべて"宮本亜希子"になります。なので最初の"岩木亜希子"の名刺を持っている方は貴重ですよ(笑)。

20180813_gibosenden_03.jpg

(プロフィール)
川鍋昌彦(TBSテレビ 編成局宣伝部・宣伝プロデュースグループ 兼 総合戦略局総合編成部)
CG(コンピューターグラフィックス)関連の仕事を経て2012年に宣伝部に配属。
日曜劇場『半沢直樹』(2013年7月)、『LEADERS』(2014年3月)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(2014年4月)、『天皇の料理番』(2015年4月)、『下町ロケット』(2015年10月)、『99.9刑事専門弁護士』シーズン1(2016年4月)・2(2018年1月)、『A LIFE~愛しき人~』(2017年1月)、『LEADERSⅡ』(2017年3月)、『陸王』(2017年10月)ほか、現在放送中のドラマ『義母と娘のブルース』などを担当。

火曜ドラマ『義母と娘のブルース』は、毎週火曜夜10:00よりTBSにて放送。

(C)TBS