愛する男性とめぐり会い幸せな日々を送っていたのに、いきなり外見も性格も全く違う人間として人生をやり直すことになったらあなたはどうする?大ヒットコメディドラマ『私はラブ・リーガル』は、そんな女性が主人公だ。交通事故で命を落としてしまったブロンド美女モデルのデビー。天界でのある出来事をきっかけに再び生者の世界へ戻ってくるが、その魂が宿ったのは元の身体ではなく、地味で体型はビッグサイズ、仕事人間の女性弁護士ジェーンの体だった!
これだけ聞くと、いかにもドタバタ劇が始まりそうだが、実はこのドラマの醍醐味は、過去を言い出せない切ない主人公に毎回ホロリとさせられつつも、その前向きな姿勢に自分もがんばろう!という気になるところだ。
デビーの時には存在も知らなかったような苦境に立つクライアントに日々出会う新ジェーンは、人助けしてこなかった自分の人生を思い返す。また、ビッグサイズの女性が日頃どういう目に遭っているのかを身をもって体験し、外見で判断される社会に気づく。そして恋人のグレイソンや両親が自分をどう思っていたかを知り涙する。
新たな視点で世の中のことを改めて理解した元デビー/現ジェーンは、人生に仕事に奮闘。ジェーンとしての知識を持つ彼女はふとしたことで名案がひらめいたり、かっこいい最終弁論を繰り広げるなど、法廷コメディドラマとして知られる『アリーmyラブ』に似ているポイントもあり、見ていてスカッとする。
ただ、アリーは仕事と恋愛に成功を求めていたが、ジェーンはかつてデビーとして"欲しいものを手に入れ幸福な人生を歩んでいた"という大きな違いがある。現状に困惑しつつも過去を封印し、与えられた2度目のチャンスを生かそうと持ち前の明るさで徐々に乗り切っていくデビー/ジェーンの様子に毎回心を打たれ、自分も明日はもう少し頑張ろうと元気をもらえる。
そして、『アリーmyラブ』や『Glee/グリー』のように音楽が効果的に用いられている点も見逃せない。実はジェーン役のブルック・エリオットは、歌手アダム・ランバートと『ウィキッド』で共演経験もあるブロードウェイ出身の俳優で、歌やダンスはお手の物。ジェーンのライバル弁護士、キム役のケイト・レヴァリングもミュージカルの舞台でトニー賞にノミネートされた。
そんなキャストが織りなすパフォーマンスは最高にテンションが上がる。ジェーンの正体を知る数少ない人物、大親友の天然系モデル仲間ステイシーと、ジェーンのお世話係として地上に降りてきた天使のフレッドという、内情を知る人たちとジェーンのコミカルなやり取りも抱腹絶倒だ。ジェーンとステイシーの『SEX AND THE CITY』を彷彿とさせるファッショントーク、女性同士の粋なアドバイスにも心が弾む。
美も恋愛も諦めていないジェーンは、法律事務所の同僚として再会した元恋人グレイソンと新たな関係を築くことを夢見るが、このグレイソンがまた、こんなに完璧な人いるの!?というくらいイケメンで仕事もできてデビー一途で、王子様すぎるキャラだ。
ほかにも、お茶目な可愛い系男子の天使フレッド、こんなに有能な人欲しい!と思うほど仕事ができるけど毒舌なアシスタントのテリー、美人で嫌味な切れ者感満載のキムなど、キャラも個性的で粒ぞろい。ポーラ・アブドゥル、ライザ・ミネリといった大物のゲスト出演もある。笑って、ドキドキして、ホロリとして、今日がどうであれ明日は前向きなジェーンのように、自分と人のためにがんばろうと思える。そんな心を浄化する『私はラブ・リーガル』を、ぜひ一度ご覧になってみては?
なお、テレビ東京では8月3日(金)よりシーズン3を放送(午後0:40~1:35)。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、シーズン1、シーズン2を配信中。
(C)2009 Sony Pictures Television Inc.All Rights Reserved.
(文/Erina Austen)
- 1