6月15日(金)配信のテーマは『山田洋次を語る。』、サンキュータツオさん、春日太一さん、松崎健夫さん、池田裕子さんでお送りしました!
この日から新動画プラットフォームParaviとのコラボ企画「パラビの金曜日」が本格スタート!第1弾は監督、山田洋次について『男はつらいよ』シリーズではない、他の作品をメインに語っていきました。

山田監督の代表作と言えば『男はつらいよ』ですが、「この作品により喜劇の面白い監督だと誤解されがちなため、期待して見ると"アレ?"と思うことも事もあるのが、山田監督。そのフィルターを外してみると、また違う見え方がする。なので、喜劇の監督ではなく、むしろ向いていない。『男はつらいよ』は渥美清という才能を持った俳優がいるから喜劇として成功した部分がある。」と春日さん。『男はつらいよ』を抜いた喜劇ではない作品群を見ると、作家としての山田監督が見えてくるとのこと。

特徴としては、「今、日本で1番有名な監督で、おそらく日本の全ての映画監督の中で、1番稼いだ監督だと思う。それは本数も多いが監督も脚本もやっている事も含め。さらには1950年代から60年代まであったスタジオシステムが70年代になり無くなったが、未だに1つの会社の元でほぼ仕事をしている監督は、なかなかいないのではないか」と、健夫さん。

山田監督は1931年生まれで、満州で青春時代を過ごしています。戦争が終わり日本へ戻ってきますが、満州に財産を全て置いてきてしまったため、幼いころから働いています。インタビューで山田監督はアルバイトしていた頃を振り返り「汗だらけの体が真っ黒になる」と答えており、汗をかいて働く、貧しい人たちと汗を一緒にかくという所に山田監督の原点があります。

その後、東京大学に進学し、そこで映画研究部に入ったことをキッカケに、卒業後は松竹に就職。上には篠田正浩監督、同期には大島渚監督、吉田喜重監督がいます。
松竹で松本清張作品を制作している野村芳太郎監督と、脚本の橋本忍さんに付いて仕事をすることで、松竹流の脚本術ではなく、橋本流の重くて重厚な脚本術が山田監督のスタートですが、ここから脱却していくのだそう。

山田監督の作品は、シネマスコープサイズがほとんど。テレビ全盛になろうというのが1950年代以降。1960~1970年代になると、テレビでの放映が想定され、テレビサイズを気にしなければなりません。シネマスコープは横長のため、ヘタをすると画面構成がカスッカスになってしまうこともあるのだとか。ですが、日本の家族のワイワイしている所が撮影しやすいとも、監督自身が話しているとのこと。

監督のデビュー作品『二階の他人』は50分弱の中編喜劇映画で、後の山田監督のスタートになっている作品。コメディには"軽妙さ・スタイリッシュ・ポップな感覚"などが大事になってきますが、山田監督は"泥臭い・生真面目・重い"ビターな感じのため喜劇としては楽しめなくとも、人間ドラマとして見るとグッとくると語られました。

『男はつらいよ』の監督から、"巨匠・山田洋次"へ変わるキッカケになった作品が『幸福の黄色いハンカチ』。この作品では、それまで他社に出演していなかった高倉健を口説き、松竹大船撮影所も使用せず、ほぼ北海道オールロケで撮影。この作品は大ヒットを収めました。

まだまだ序の口ですが、他にも『馬鹿が戦車でやって来る』『吹けば飛ぶよな男だが』『家族』『故郷』『同胞』『遙かなる山の呼び声』『ダウンタウン・ヒーローズ』など2時間越えで語り尽くしていますので、ぜひアーカイブからチェックしてみて下さい!

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