秋元康氏とテレビ東京がタッグを組み、1年かけて「理想のクラス」を作るという、前代未聞の青春"生"放送バラエティ『青春高校3年C組』がスタートして早2ヶ月。企画を持ちかけられた当初は「?が頭を舞っていた」という三宅優樹ディレクター(テレビ東京)が、オンエア前から現在に到るまでの経緯、個性豊かな学生たちの素顔、さらには天才・秋元康氏と名物プロデユーサー佐久間宣行氏(テレビ東京/『ゴッドタン』ほか)の次元を超えた発想力の脅威?など、悪戦苦闘の舞台裏を聞いた。

――放送開始から約2ヶ月が経ちましたが、スタート前と今では、見える景色も変わって来ましたか?

序章というか、僕の中では、まだ始まっていない感じですね。今、まさに生徒を集めている段階ですが、相変わらずどこに向かっているかわからない(笑)。秋元さんのことですから、クラスを作った先のことを考えていらっしゃると思うのですが、これはガチで言いますが、本当に何も決まっていないんです。多分、集まった生徒たちの個性を見て、決めるんじゃないですかね。それがドラマなのか、バラエティなのか、歌なのか・・・。ただ、今の段階で「こういうことをやりたい」と発言すると、僕たちがその企画に寄せて生徒を集めてしまうから、何もおっしゃらないのだと思います。

――そもそも、どういう経緯でこの企画が始まったのでしょう。

最初は、秋元さんと組んで「何か面白いことをやりたい」という、フワっとした感じだと聞いていますが、そこから、「1年かけて番組の中で学校のクラスを作ろう」という一大プロジェクトが持ち上がったんです。その根底には、若い視聴者に向けて、ネット配信を含めた"新しいテレビ"として、「時代と向き合った番組を作りたい」という社の考えがあったようですが、私の中では、その方向性と「学校のクラスを作る」というプロジェクトがどうもしっくりこなかった。ディレクターとしてお声がけいただいたときに即答できなくて、「1日考えさせてください」と言ったんですが、意味が分からず、先も全く見えないけれど、新しいことに挑戦することに、だんだん好奇心が湧いてきて。とにかく飛び込んでみよう、そんな気持ちでお引き受けすることにしました。

――実際に企画を進めた時、オーディションなど順調に行きましたか?

告知も少なかったせいか、オーディション初日の応募は、たった2人しか来なかったんですよ(苦笑)。これはいかんということで、番宣などの力を借りて、それからはなんとか選考できるくらい集まってくれるようにはなりました。今も毎週オーディションをやっていますが、面接から始まり、合格した彼らがいきなり生放送のテレビに出る。「今週は一体何が起こるんだろう?」と、放送開始以来、ずっとワクワク、ドキドキの状態が続いていますね。僕自身も視聴者みたいな感覚です。

――選考の基準などはあるんですか?

かわいい、かっこいい、だけじゃなく、いろんな個性を探しているので、特に縛りはありません。僕は『YOUは何しに日本へ?』など、もともと素人さんを取材する番組を数多く手掛けてきたこともあり、その経験値を生かしながら「この生徒はこのMCと組むと面白くなるんじゃないか」とか、「学校に行けなかった子がここに来て何かを発散すると面白いんじゃないか」とか、いろんな企画や絡みを想定しながら、"個性を輝かせる"という観点で、毎回、選ばせていただいています。

――最近の10代はどんな印象ですか?草食系やゆとり世代など、優しいイメージがありますが。

これが驚くほど礼儀正しく、挨拶もできて、番組に対しても、すごく真面目に取り組むんですよ。耳を傾けて話を聞いてあげると、自分なりに意見をしっかり持っていて、ちゃんとコミュニケーションを取ろうと努力する。優しそうに見えて、実は"芯"が強い、という感じですね。

――「今の若者は」と突き放すのではなく、ちゃんと接すれば、ちゃんと応えてくれると。

番組が始まった当初、すごくピリピリしていたらしく、生徒から、「三宅さん怖すぎますよ!」って言われて反省しました(笑)。でも、ちょっと嬉しかったのは、「最初はテレビに出たいと思って来たんですが、制作現場を見ていたら、作る側にもすごく興味が出てきました」と言ってくれる生徒も出てきたこと。「あ、裏方の僕たちも見られているんだな」と、今は気を引き締めて現場に臨んでいます。

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――観ている側は面白いですが、実際、昨日まで素人だった若者が、突然、テレビの生番組に出るわけですから舞台裏は大変じゃないですか?

おっしゃる通り。毎日、反省会をやるんですが、大抵の生徒は、「ああ、今日も面白いこと言えなかった・・・」ってすごく落ち込むんですよ。だから「素人の君たちが、生放送で、しかもタレントさんがいっぱいいる中で、面白いことを言えないのは当たり前のこと。だから、そんなこと思わなくていいんだよ」って慰めるんですが、ほかの生徒が言ったことがたまたま爆笑をとるとそれが羨ましいらしいんですよね。なんか、変なプロ意識が芽生えてきて(笑)。常に笑いをとる芸人さんと接しているせいもあるかもしれませんね。

――日替わりのMC(担任)との絡みもだんだん面白くなってきましたね。生徒も毎週変わるし、企画内容も変わるので、観ていて飽きません。

MCは、一応、素人に対して「優しい」「いじれる」「回せる」の三原則を基に、佐久間Pと相談しながら決めました。月曜日のメイプル超合金さんは頭がいいので、きちんと生徒たちの個性を引き出してくれて、火曜日の小峠英二(バイキング)さん、千鳥さんは、自分の弱みをさらけ出しながら、生徒を包み込むように接してくれる。水曜日の三四郎さんは、生徒と同じ目線でトークを展開することができるし、木曜日のおぎやはぎさん、バカリズムさんは、優しいけれど、ちょっとトゲがあって上から行く、みたいな。最終日の金曜日は、合格者と不合格者が出る日なので、芸人さんの中でも特に優しい日村勇紀(バナナマン)さんにお願いしたんですが、皆さん、すごくいい感じで生徒の個性を引き出してくれていると思います。

――サブMC(副担任)の中井りか(NGT48)さんの機転のきいたアシスタントぶりや若手芸人コンビ・ノブナガさんの優しいサポートぶりもだんだん板に付いてきました。

今回は、全国的にあまり顔を知られていない子を「大抜擢する」という感じで新しさを出したかった。秋元さんも「あの子は結構うまいよ」とおっしゃっていましたが、MCの芸人さんが皆さん優しいので、何となく強めの子がいいかなと。彼女は毒舌キャラでネットの中ではかなり話題になっていて、キツイことを平気で言ったりするので、MCと面白い絡みができるかなと。初めてお仕事しましたが、非常に達者です。ノブナガは、青春高校のお兄さん的な存在で、生徒の楽屋へ行ってみんなを和ませたり、話を引き出したり、いわばMCとのパイプ役。彼らも生放送の帯番組が初めてなので、毎回、「うまくできなかった」と凹んでいますが、だんだん成長していると思いますよ。

――秋元さんは、どんな風に番組に関わっていらっしゃるんですか?

秋元さんは、放課後トークまで毎日観てくださって、観終わったあとのタイミングで、「誰々が元気ない」とか、「誰々はよかった」とか、必ず佐久間Pに長文のラインが届くんです。それを元に佐久間Pと諸々相談する、という感じですね。でも、今だに将来のプランについては何も触れない。このクラスが一体どこに向かっているのか、本当に決めてくれないんですよね。向かって行くゴールが決まっていると、いろいろ企画を考えようがあるんですが、それは最初に言ったように、予定調和を避けるためだとは思います。

――秋元さんと佐久間さんのタッグって、ある意味、最強だと思いますが、三宅さんが感じるお二人の印象は?

秋元さんの発想って天才的だと思います。そしてそれを解釈している佐久間Pはというと、これまた天才的なんですね。会社の先輩なので表現の仕方が難しいですが(笑)。一般人代表の私としては、「天才と天才が何か言っているなぁ」というのが正直な感想なんですが、一般人代表の私としては、天才と一般人の通訳者にならなければと、日々プレッシャーを感じています。

――どのあたりが天才的なんですか?

まず、生放送で「学校のクラスを作ろう!」なんて、凡人は発想もしないし、一瞬「?」が頭の中を舞いますよね(笑)。そこが、秋元さんのすごいところ。佐久間Pに関しては、同じ会社の人間なので、多少、手前味噌になりますが、ずっとお笑いやバラエティ番組を担当してきた経験からか、「こうすれば、絶対にウケる」とか「絶対にスベらない」とか"絶対"って言い切るんですよ。「絶対にスベらないとかあるのかな?」と思いながら、生でその企画をやると、ドッカンドッカンうけるんですよね。ここはすごい。芸人さんだって絶対なんて、なかなか言えないけれど、そういう自信を持っている。

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――反省点も踏まえて、ディレクターとして、今後、番組の中でどんなことをトライしていきたいですか?

僕が全ての台本をチェックしているんですが、今、思うのは、台本を書くとうまくいかないことが多いなと。ゴールデンウィークの時も、マイブームをプレゼンするという企画をやったんですが、みんな、プレゼンするという段取りが決まっていると、それに集中してしまい、その前後、ずっと緊張していて、真面目になっちゃうんですよね。そういう失敗を踏まえて、台本を一切なくし、とりあえず現場に来てもらって、その場で企画を伝える方法に切り替えました。あとは、MCに伝えて、うまく引き出してもらおうと。生徒たちも、ちょっとテレビ慣れというか、面白くしようという意欲が生まれてくるので、それをなるべく素の状態にしようと。そこを僕らがうまく引き出し、彼らを輝かせる企画を作って行きたいと思っています。

――ほぼ、ぶっつけ本番、という感じですね。

最初の頃は怖かったので、リハで固めて、本番という感じだったんですが、それだと、台本、段取り、練習しているのが見えて面白くなくなってしまうので。

――このプロジェクト、三宅さんならどんなゴールにしたいですか?

僕は「ちはやふる」みたいな青春ものが大好きなので、3年C組に来た若い子たちが夢に向かって成長していくみたいなことを番組の中で見られたら素敵だなと思っています。面接から立ち合って、合否があって、番組でいろんな表情を見せてくれるのがすごく楽しくて。彼らが悔しい思いをしたりとか、嬉しかったりとか、間近で接することができているので、僕らの想像を超えるような人になってくれるといいですね。漠然とではありますが、放送の枠に収まらないところまで、飛び出していって欲しいなと思います。

『青春高校3年C組』は、テレビ東京にて毎週月曜~金曜、夕方5:30~5:55に生放送中。

さらに、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも地上波と同時配信され、「Paravi(パラビ)」でしか見られない拡大版も配信されている。

【番組HP】http://www.tv-tokyo.co.jp/3-c/

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