第二芸能界という言葉を聞いたことがあるだろうか?
芸人マキタスポーツが提唱している「好感度をもとにした広告モデルとしての芸能界を第一芸能界、ライブなど自立採算によって自由に活動可能な芸能界を第二芸能界」つまり派手にテレビのバラエティやドラマで活躍している芸能人とは一線を画し、地味だが自分の好きな表現方法や活動の場で食っていく芸能人のこと。それを売れない時代からブレずにやってきたのがラジオ番組「東京ポッド許可局」の3人。
マキタスポーツは芸人と好きな音楽をベースに俳優業でも評価され、プチ鹿島はおじさん的な切り口からニュースを見立てる時事芸人として活躍、サンキュータツオは大学の非常勤講師(専門は日本語)を務めながら、落語のキュレーター的な活動も行っている。それぞれが自分のフィールドで自分の仕事を見つけている。まさに第二芸能界的な生き方の手本のような存在だ。
<マキタスポーツ>
1970年生まれ。第55回ブルーリボン賞俳優で音楽研究家でもある。自著も数多くあり、水道橋博士が「才能が渋滞を起こしている」と評した。
そんな3人のアイデンティティーが詰まったラジオ番組が今年10周年を迎えた。
喫茶店で収録していた自主制作番組「東京ポッド許可局」
2008年、売れてない芸人3人で始めた自主制作ポッドキャスト番組。
当初はスタジオではなく喫茶ルノアールやカラオケ店などで収録をする流浪の番組だったが、着実にファンを増やし、2013年にはTBSラジオへ進出。
「インターネットの片隅で生まれた番組がTBSラジオに拾ってもらって全国のみなさんに聴いてもらえるようになり10年も続いた。これをもう一回やろうとしても無理」(サンキュータツオ)
地上波に進出した後も、喫茶店で収録していた雰囲気を出すために、BGMで喫茶店のしゃべり声を流している。それはリスナーに話しかけるというより、まるで喫茶店に入った時に、隣のテーブルで興味深い話をしているのが聴こえてくるような感じだ。小さなこだわりだが3人の雰囲気を大切にするスタッフと作りあげてきたものが大きいのではないだろうか。
<プチ鹿島>
1970年生まれ。得意ジャンルは時事ネタとおじさんネタ。タブロイド紙報道から世相を読む。ニュース番組などで新聞ウォッチーとして活躍。
エグザイルの映画「ハイロー」を友人などに勧めることを"布教活動"というらしい。"布教活動"と称して飲みに行き、ハイローの面白さを滔々と語るらしいのだが・・・。
許可局は布教活動にはあまり向かないコンテンツかも知れない。まずはこの世界観を理解できて、同じにおいがする人を探さなくてはならない。なんせイケメンが出ている訳でもない。出ているのは
「お笑い界の裏側を通り過ぎちゃったおじさん」(プチ鹿島)
そして、爆笑につぐ爆笑の番組かと言われればそうでもない。ところが、聴いてみるとすんなりと入り込めてしまう魅力がこの番組にはある。
局員(リスナーのこと)たちは・・・
・3人とも誰やねん!という状態で聴き始めたが、気がついたら夢中に
・「すあま」・・・この番組を聴かなければ一生出会わなかった
・芸人が語る「M-1グランプリ」論、新鮮だったなぁ
(オレたちと10周年と東京ポッド 許可局パンフレットより)
思わず聴いてしまう魅力
1970年生まれのマキタスポーツとプチ鹿島。サンキュータツオは6歳下1976年生まれ。日本が浮かれていたバブルの80年代から失われた10年の90年代に青春を過ごした3人。アイドル時代の宮沢りえの話、プロ野球が元気だった頃の話、プロレスがゴールデンで放送されていた頃の話を持ち出しては持論を展開、とても懐かしく思わず吹いてしまうおしゃべりが止まらない。
どうでもいいことをこれまでの経験と肌感で語ることの愉快さ。何気ないことでも、見方を変えれば面白くなる。しかも白黒はっきりつけない。いろんな目線があっていいじゃないか!が基本。第二芸能界的な肩の力の抜き方、つまらない日常を面白くする方法を教えてくれるおじさんたち。
<サンキュータツオ>
1976年生まれ。広辞苑の執筆に参加した日本語のスペシャリスト。大学の非常勤講師も務める自称・日本で唯一の学者芸人。
チケット即日完売!10周年記念トークイベント
2018年4月14日(土)に、東京ポッド許可局の開局10周年記念イベント「オレたちと10周年と東京ポッド許可局」が行われた。場所は港区芝のメルパルクホール。1,000人以上収容できる会場のチケットは即日完売。開場30分前にはすでに長蛇の列。そして局員たちは熱狂的というより近所の寄り合いに参加しにきたような雰囲気なんせお行儀が良い。
「作業着を着たおじさんたちがゴキゲンに喋っているだけ」(マキタスポーツ)
・オープニングトーク
・許可局10年の歩み 年表トーク
・局員3人がそれぞれのことを語る
・第1回「論」総選挙
・1位に選ばれた「論」を改めて3人が語る!
そして、会場に行けなかった人も"動くおじさん"が観られる。
最初から最後までおしゃべりだけ!おじさんたちの屁理屈をたっぷり楽しめます。
『オレたちと10周年と東京ポッド許可局』 動画配信サービス「Paravi(パラビ)で2018年5月14日から5回に分けて独占配信開始!楽屋トーク&#1オープニングトークは無料公開! TBSラジオ 東京ポッド許可局は、毎週月曜深夜24:00より放送中。
(C)Paravi
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