2018年7月からTBSで日曜劇場『この世界の片隅に』が放送される。本作は、累計120万部を突破したこうの史代の同名漫画(双葉社刊)を原作に、太平洋戦争の最中、軍港都市・呉で懸命に前を向いて生きた北條すず・周作夫婦とその家族たちの日常を描いた物語。5月3日(木・祝)に行われた制作発表会見にてキャスト発表が行われ、北條すず役を松本穂香、北條周作役を松坂桃李が演じることが分かった。
このほか、黒村径子役に尾野真千子、北條円太郎役に田口トモロヲ、北條サン役に伊藤蘭と豪華で実力派の俳優陣が集結。スタッフも、脚本は岡田恵和(『ひよっこ』『ちゅらさん』『おひさま』)、演出は土井裕泰(『カルテット』『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来』)、音楽は民法連続ドラマ登板が24年ぶりとなる久石譲という強力な布陣となっている。
会見には、松本と松坂が登壇。まず、松本が「このドラマを観た方に何か大切な物を考えるきっかけになればと思っています。戦時中のお話ですが、すずさんのように明るく前向きに楽しんで最後までがんばりたいです」と挨拶。
松坂も「戦争を知らない僕らの世代がやることの意味は、本当に大事だと常々感じています。この世代でしか伝えられないことを、この時代にちゃんと生きて伝えていきたいです。すずさんの夫役ということでしっかりと寄り添って、支えながら小さい幸せをたくさん築き上げていけたらと思います」と意気込んだ。
約3,000人のオーディションにより、番組プロデューサー・佐野亜裕美、脚本の岡田、演出の土井、3人から満場一致で選ばれたという松本。それについて、松本は「正直、嬉しいというよりも信じられない気持ちでいっぱいでした。すずさんについて『もっと知りたい、本当にやりたい、すずさんをやるんだ』という気持ちでオーディションを受けさせていただいていたので、後からすずさんになれるという嬉しさがじわじわと湧き起こってきました」と喜びを振り返った。
松本と松坂は、本作が初共演。お互いの印象について、松坂は「僕が衣裳合わせする時に、松本さんが衣裳合わせした際の写真が置いてあって、それを見てピッタリだと感じました。それから、本読みの時にお会いして雰囲気がすごくすずさんにピッタリだと改めて感じました」と絶賛。
松本は「すずさんをやらせていただくと決まってから、周作さんには松坂桃李さんが本当に合うなと勝手に思っていたんです。お母さんとピッタリだよねと話していたので、ビックリしました(笑)」と裏話を披露。その言葉に松坂は「キャスティングしていただいてありがとうございます(笑)」と感謝を述べ、笑いを誘った。
昭和19年を舞台とした本作の役作りとして、松本は普段から下駄を履いているという。松坂から「もう完璧ですか?」と質問されると、松本は「正解がちょっと分からない(笑)」と思わず照れ笑い。すずの特徴的な言葉づかいにも、松本は「すずさんは『へぇー』とか『ほう』と言うのが多いんですが、毎回同じ言い方じゃないので、そこを色々と楽しみたい」と考えを明かした。
また、舞台が呉ということで、松坂は「僕は神奈川出身なんですけど、方言に高いハードルを感じるんです。それでも、方言と向き合うことで方言が自分の味方になる瞬間があって、お芝居の助けになるので、しっかりと方言指導の方と向き合っていきたいです」と答えた。続けて、「土井さんも広島出身だから、チェックが厳しいかも(笑)」という冗談も。
会見の写真撮影も行われた建設中のオープンセットは、昭和19年当時の雰囲気を再現するため、呉市の古民家を緑山スタジオへ移築したもの。松本は「オープンセットというものを初めて拝見したんですが、本当に住める家だと思いました(笑)」と驚きを見せた。
そのクオリティに、松坂は「家の作りや、木の植え方など、原作の再現度がすごい。美術スタッフの方が呉出身だから、作品への愛情の注ぎ方というものがすごく細かい部分にまで出ていて、自然とその世界に入っていけるような力をもらえますね」と感心した様子。
豪華で実力派の共演者・スタッフに対して、松本は「素晴らしい方たちと一緒にやらせていただくことで、どんなことが起こるんだろうとワクワクしています。上手くやろうとせずに、その場で皆さんのお芝居を受けて感じたことをがんばりたいです」と気合い十分。
松坂も「岡田さん、土井さんとは久しぶりで、お世話になっていて好きな方たちなので、またご一緒できることがすごく嬉しいです。プレッシャーも感じながら、いい緊張感で素晴らしい先輩方とお芝居をして、この作品をしっかりと届けていきたいです」と力強く語った。
日曜劇場『この世界の片隅に』は、TBSにて2018年7月 毎週日曜夜9:00から放送予定。
イラスト (C)こうの史代/双葉社
会見写真 (C)Paravi
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