TBSテレビ制作『ケイゾク』『SPEC』に続く待望のシリーズ最新作「SPECサーガ完結篇『SICK'S 恕乃抄』~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~」が、「Paravi(以下パラビ)」にて独占配信される。キャスト&スタッフインタビュー第3弾では、監督の堤幸彦に話を聞いた。

これまでも『ケイゾク』『SPEC』を手掛けてきた堤監督。常にファンをあっと言わせてきた堤監督は、最新作でどのような考えを巡らせているのだろうか。

――最新作、始まりましたね。

『ケイゾク』という作品から始まって『SPEC』と続き、そして今回のシリーズということで、かなり長きに渡って携わっている作品ですね。私は、元々20代前半にTBSのADからディレクターになった、言わばバラエティ出身なんです。その後しばらくTBSを離れていて『ケイゾク』という作品で、満を辞して戻って植田博樹プロデューサーと勝負を賭け、それが自分の中での生涯忘れられない作品になりました。

――本作にかける意気込みを教えていただけますか?

還暦を超えて『ケイゾク』が作り出した地平をずっと走り続けていけることは、本当に幸せなことです。しかも、同じことをずっと繰り返しているわけではなく、作品ごとにどんどんと進化発展している。『ケイゾク』で出した独特の暗めな世界観、『SPEC』でのSPEC HOLDERと人間との対峙、あるいは共鳴・・・。そして今回、地上波ではできないことに挑戦しているという意味で、還暦を過ぎてやるドラマとしては、こんなにやりがいのある作品はないな、と思っています。

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――地上波ではできないことと言いますと?

やはり地上波でドラマを作ろうとすると、色々な制約が生まれてくるんです。簡単に言うと"やっちゃいけないこと"が結構あるんですよ。もちろん、人の心を傷つけたり、ひどいことをしたりはダメですが。制約から解き放たれるということは、テレビに関わって早40年、初めてのことであり、ある意味、精神的に気持ちが楽ですね。

――配信の利点とは何でしょうか?

人間的な常識の範囲において、やれる表現が全部できることが1番の醍醐味ですね。毎カット毎シーン、自分自身が自由になっていく感覚を、皆さんにお届けできるのではないでしょうか。その積み重ねを「とんでもねえフリーなドラマだ」と楽しんでいただけるまでになればと思います。

――どんな部分にその「自由」さは表れていますか?

戦いのあり方や、SPEC HOLDERのスペックの中身、それから言動、私が好きで作るギャグの部分だったり、あるいは世相に対するある種のパロディなど色々な形で表れています。

――今回はどのようなテーマでストーリーを進めていくのでしょうか?

形として突き抜けているけれど、いかんせん私も歳ですので(笑)。人間の深みのような部分に、とても興味がありますね。なので、『ケイゾク』『SPEC』でもずっと追求してきた、主人公たちの持つ内面的な悲しみや、より深い人間ドラマも描きたいなと思っています。『ケイゾク』で作ったダークサイドの部分も奥底には流れているし、『SPEC』で作った、突き抜けたSPEC HOLDERとの関わり合いみたいなところもあります。ある意味で突出している、色々な方面に制約なく羽ばたけるものにしたいな、と思います。

――松田翔太さんとは久しぶりのお仕事ですね。

実は松田くんが中学生の時に、彼のデビュー映画を私が撮る予定だったのですが、色々な事情でダメになってしまい、結局『イニシエーション・ラブ』という映画で、初めて仕事をさせてもらったんです。松田くんには、まさにファミリーのDNAの強さもありますが、それよりも一表現者として成長したことにびっくりしたのをよく覚えています。

――松田さんの演じるキャラクターの役柄を教えていただけますか?

簡単に言うと、たった一人の真人間です。つまり普通の人。松田くんの演じる役どころは、肉体で情勢を切り開いていくすごいパワーを見せつけてくれるんじゃないでしょうか。そういう意味で、すごく成長した松田くんに期待していすね。何しろ顔がいいですし(笑)!

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――木村文乃さんはいかがですか?

「いろいろな顔ができるな人だな」とひしひし感しました。いいカットがゲットできた、という意味では、ほぼ100%に近い撮れ高。これからチームの中心として、がんばってくれると思います。30歳になったばかりなので、女優として成長する踏み台にしてくれたらいいと思いますし、彼女のちょっと独特な、見たことのない表情や動きと共に、このドラマは前に進んでいくことになるんじゃないでしょうか。

――木村さんの演じるキャラクターの役柄を教えていただけますか?

ストーリーをぐいぐいと進めていくストーリーテラーのような立ち位置でありながらも、異常に困った感じの人でもある役柄ですね。しかし、いろいろな運命を背負っていて、最終的に、視聴者の皆さんの興味の中心に存在する役なので、とてもやりがいのある仕事だと思います。何を言っているのかまったく分かりませんね(笑)。

――木村さんのインタビューによれば、撮影の中で、元々言われていた「三重人格」が「四重人格」になったらしいですが。

毎度(言ったことを)忘れているんですよ、私(笑)。こちらからの要求に必死に食らいついてきて、答えてくれる人だというのは、重々知っているので、さらにもっと高いところへ行ってもらおうかなと思っています。

――最後に、ドラマの見どころを教えてください。

表面的なことも内面的なことも、表現も手法も、映像の質としても、地上波じゃできないことをガンガンやろうじゃないかと、チーム一丸となって一緒に高いレベルへ突き進み、役者も熱がどんどん上がっていますので、ぜひ最後まで・・・最後というのもよく分からない言い方ですね。どこが最後になるか分からないくらい、永遠に続けていきたいです。簡単に言えばライフワークにして、墓場まで持って行こうかなという覚悟ですので、ぜひお付き合いいただければと思います。

「SPECサーガ完結篇『SICK'S 恕乃抄』~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~」は、動画配信サービス「パラビ」にて独占配信中。

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