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流郷:そもそも環境教育が入ってきた世代だと思いますね。それ以前の教育には環境という文字が無かったに等しいので、環境教育がそれこそ小中学校からストンと入ってきたような、それがテストに出てくるような世代なのかなと思います。今のZ世代の子たちはもっとテストに出てきたりするので勉強せざるをえなくて、ある程度知識が付いた状態が今なんじゃないかと思います。教育を変えることによって少しずつ下の世代が変わってきているので、どうやって上の世代はそれに対応していくのか、その対応力が企業の経営陣の方にとって重要になってくるんじゃないかと思います。

瀧口:ムスカの事業は下の世代に応えていくというところでもあると。

流郷:と思っています。採用という意味で考えてもそういう社会貢献を考えていない、SDGsをまったく意識していない企業は、入社もしたくないと思われると思うんですよね。今の時代の子たちは、企業が社会にどういう貢献をしているのかという目線を持つようになってきている。その子たちが新卒になる時を大企業さんたちはより考えなくてはいけないんじゃないかと思います。

瀧口:カッコいいとかダサいとかいう感性の部分にまで落とし込まれてきているような感じはありますよね。そして伺いたいのは今後についてなんですけど、どういった計画を考えていらっしゃいますか?

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流郷:現時点では、というところを強調しますけれども(笑)。何分スタートアップなので資金調達との兼ね合いによって大いに事業計画が振れてしまったりするんですが。現時点での計画で言うとパイロットプラントというものをまず建設しようと考えています。「今プラントないの?」っていう話になるんですけど、ないですというのが答えです。

研究所はあってそこである一定の飼料、肥料というのはできているので、そこでサンプル販売というものは今年行っていきつつあります。自動化ではなく手作業でずっと行ってきた施設になっているので、それをオートメーションに近づけて自動化できる部分を自動化していくというのをパイロットプラントでのチャレンジとしてやっていこうと思っています。

あと一つはサプライチェーンをつなげるということ。薄くてもいいので、畜産農家さんから出てくる排泄物を我々の技術を通すことによって飼料と肥料ができて、その飼料を鶏や魚に食べてもらってそれを加工するなりそのまま食べるなりで消費者までつなげていく。肥料に関してもそうです。それで育った作物を消費者までつなげていくそのひとつのサプライチェーンをつなげるということが今年のチャレンジだと思っています。

瀧口:そしてインセクトテックという新しいものだと思うんですけど、今後の可能性というのはどうご覧になっていますか?世界的にも注目されていると思うんですが。

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流郷:やはり世界で注目されている部分は日本と同じで、プロテインの部分だったりするんです。畜産の排泄物をどうにかしようというところに注目するわけではなくて。世界共通で注目されている部分はプロテイン、エサの部分ですね。幼虫に含まれる成分やその成分をどう転用させてライフサイエンスであったり、創薬であったり、いろんな考え方ができるんじゃないかと期待をされている部分かなと思います。

瀧口:昆虫が持つ高タンパク質をどう使うか。

流郷:食料としてもそうですし、サプリメントとしてもそうですし、我々は今エサとして家畜や魚に食べてもらおうとしてますけど、そうじゃなくてその幼虫の中に含まれる成分をどう人間にということも含めて、いろんな分野で可能性があるかなと思っています。

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村山:インセクトテックといっても本当に今お話があったように幅の広いジャンルだと思うんですね。でもまだまだ開拓されているのは一部というイメージだとすると、今日伺っているようなお話のこういう新しいタイプの企業が出てきて、どんどん相乗効果というか、そういう切り口もあるのか、というようにスタートアップ同士もそうですけど、大企業もそういうプレイヤーがいるならうちのプラント技術を使って、みたいな広がりも出てくるでしょうし。

こういうスタートアップの面白さはスタートアップ自体がものすごく伸びて行って興味深いというのもありますし、そういう人達がもたらす波及効果、横の広がりというのがものすごくいろいろな分野で起こってて。こういう昆虫関連分野でも起こってきているのが非常に面白いなと感じますね。

瀧口:大企業も含めてインスパイアしていくと。

村山:大企業の幹部も虫好きは相当いると思いますしね(笑)。そういう切り口でぜひ輪が広がっていったら。

流郷:それこそSDGsにパートナーシップという項目がありますけど、まさにスタートアップというのはそういう役割を担えるんじゃないかと感じます。

瀧口:今後のいろいろなコラボレーションも楽しみにしています。今日はありがとうございました。

流郷:ありがとうございました。

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