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瀧口:なるほど。それが飼料のお話ですね。肥料に関してはどうですか?

流郷:肥料は宮崎大学の論文にも出ていますが、抗菌性というものが認められています。幼虫の消化酵素で分解されるというお話をしましたが、消化酵素がこの肥料にはかかっているんですね。その消化酵素が良い働きをしてくれているんだろうと言われているんですけど、例えばトマトやキュウリがかかりやすい病気があって、それを抑制する効果が出ているんです。

瀧口:イエバエさんが持っている消化液というのが抗菌作用を持っていると。

流郷:そうですね。幼虫自身に"抗菌タンパク質"というものが体内にあるので、それがこの肥料の方にもかかっているんじゃないかと言う仮説があります。それに対しての検証はまだできていない状態なんですけど、そこが検証できると非常に面白いなと。単なる肥料だけではなくて違う用途に使っていただいたり。肥料っていろんな段階があって、例えば農薬までいかないとしてもその下のレベルの物に展開できる可能性を秘めていたりします。どちらも機能性があるので、非常に面白いですね。

瀧口:昆虫について疎かったので、全然知らなかったです。今日は学んでいますね。

流郷:ちなみに私ももともとは昆虫に疎い人間でして・・・ハエ自体も好きではなかったんです。本当はハエ嫌いなところからスタートしてここにジョインしました。

瀧口:なんでまたここにたどり着いたんでしょうか?

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流郷:もともと株式会社ムスカの創業者は私ではなくて、串間(充崇)という者が創業しました。前身の企業から20年、ハエを愛し続けた男と言っても過言ではない、ハエの魅力に取りつかれた男と言っていいと思うんですけど、ハエの機能性やテクノロジーを成熟させていくというところに着目した方なんです。その方が創業者として立ち上げました。その方が熱いメッセージと共に、ハエって結構イメージ悪いでしょって。ある意味ゴキブリと同じくらい、ネガティブなイメージはありますよね。

瀧口:よく考えるとある意味かわいそうな。

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流郷:さっきの機能性を知るとかわいそうですよね。ただイメージが悪いので、そこに対してどうにかできないかなという相談から、私はジョインしました。もともと私はPR戦略だったりブランディングというのをフリーランスでずっと行っていた人間だったんです。

フリーランスの時に仕事を選ぶ基準があって、うちの子供たちが80歳になった時に"このプロジェクトが面白いか面白くないか"というもの。私関西人なので面白いっていろいろな意味合いがあって、それこそ役に立つって意味もあって。子供たちが80歳になってもういい大人で、自分の孫がいたりするかもしれない時に、面白いと思われているかもしれない事業って今私がやっていてすごく意義があるなと思って。なのでフリーランス時代もプロジェクトごとに選んでいたんですけど、ものすごくどハマりする企業だったんです。

瀧口:長い目で見るともしかしたら人類を救う技術かもしれない、というところでピンと来られたんでしょうか。

流郷:そうです。最初話をされた時には聞く耳も持たないくらい、「いや、ハエでしょ」というのは正直ありました(笑)。どちらかというとハエとか虫全体が嫌いな人間で、嫌悪感があって。でもちゃんと話を深く聞いてみて、串間自体の考えや以前からこの技術を支え続けていることに尊敬の念を抱き、ジョインしようと決めた次第です。

瀧口:先ほどおっしゃっていたように最初は広報だったと。

流郷:そうですね。広報戦略を練るメンバーとしてジョインしました。

瀧口:そして今CEOというのは、一体何があったんでしょうか(笑)。

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流郷:あまりにもネガティブなところをしっかりとパブリックに伝えられる状態にしようという観点で。今一番ムスカに必要なのは認知度を上げることだというのが大きくあって、代表取締役になることでしっかりこの事業を説明して、会社的に説明責任がある立場にいることで、この事業の魅力や将来性を含めて説明しようという決断をして、代表取締役になる打診を受けました。

瀧口:なるほど。たしかにゴミを微生物で分解するというのはなんとなく知っている。そういうものだよねって受け入れているのに、虫がその役割をするってことは受け入れられていなかったけれども、こうやって聞くと自然に受け入れられますよね。

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流郷:それこそ地球の中で彼らの役割は何ですか?って言った時に、ピラミッドの中では分解者の立場だったりするんです。ハエによって違うものを分解したり、いろんなゴミを分解したりするんですけど、そういった役割であること。私たちがおそらく嫌いなゴキブリもある意味そういった役割を担っている生物ということには変わりない。そこまでの話を大枠ですると、ある程度皆さんハエ自体を「ちょっと良い奴じゃん」という再定義ができるかなと。

瀧口:なるほど。かなりイメージ変わりましたね。

村山:相当変わりましたね。

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