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瀧口:ブラックロックのトップも財務だけじゃなくて社会貢献する企業じゃなければいけないという発表をしましたね。

水野:去年ですね。あれはすごく大きかったですね。世界最大の投資家がそういうことを言っているということで、よりESG投資、SDGs投資、インパクト投資という流れが増えてきていますね。

瀧口:その去年の発表で水野さんも風向きが変わってきたなと感じられますか?

水野:そうですね。いろんな大企業さんとのコラボレーションの中でそういったことをやりたいという企業さんが増えてきているので、やらなきゃいけないのかやりたいなのかは分からないですけど、風向きとしては変わってきているのを感じます。

神先:"ソーシャルIPO"というのは、具体的にはどういったスキームや手法なんでしょうか。

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水野:まず大事なのはインパクト評価。当期純利益という分かりやすい一つの指標があるからこそ評価しやすいので、そのインパクト版の数字があることが一つ。もう一つは議決権のところで、例えばロングターム証券取引所(Long-term Stock Exchange)という、これはアメリカのピーター・ティールが作ろうとしている新しい指標なんですけど、株主の黄金株ということではなく株主が株を持っている長さによって優先度が上がる。

でもそうあるべきじゃないですか。そのファンがずっと応援しているわけだから5年持っている人は2倍、10年持ってい人は3倍。そういう仕組みも面白いかもしれない。そうなってくるとガバナンスの問題が出てくるので、例えばアメリカだとB Corp(Bコーポレーション)など第三者認証の機関があるんですよね。先日ゴールドマンサックスが女性の取締役がいないと証券を引き受けませんよというのがありましたけど、そういったガバナンス側のところを第三者認証するような仕組み。この三つですね。株のところとインパクト評価とガバナンス。これが今の所考えていることではあるんですけど。

神先:インパクト評価で具体的な事例を挙げると、ライフイズテックさんのキャンプで学んだ利益をただ評価するのではなく、ライフイズテックさんで生まれた人材が次どこで活躍して、社会でどれくらい広がっていくかということを今定量化しようとしているという、その評価基準を研究されているということでよろしいんでしょうか。

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水野:おっしゃる通りです。僕らは何のために働いているかというと、子供たちが次の時代に幸せに暮らせるように良い社会を作っていくということをやっているわけなので、そのために仕事をしているわけなのでそれがちゃんと達成されるようなアルゴリズムであるべきだと思っています。

神先:本来創業者や社長ってそれをやりたくて事業を起こしていることが圧倒的多数の中で、それがマーケットからなかなか評価されづらいというジレンマもあったと思うんですけど、それが可視化されるとより一層社長がやりたいこととマーケットからの評価が一致してきますよね。

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水野:それでファンが付いてきて、一番いい状態じゃないですか。というのがすごく大きなチャレンジではあるんですけど、チャレンジすることに価値があるんじゃないかと。

瀧口:水野さんが提言されていることにもう一つ、ふるさと納税の教育版のようなものがあったらいいんじゃないかということなんですけど、それは具体的にどういうことでしょうか。

水野:そもそも日本というのは資産が人しかないというところからスタートします。今の選挙の仕組みが変わらない限り、少子化だから子供に対する予算がどんどん減っていくわけですよね。子供に対する予算が減るということは人に投資しない国になっていくということです。それを変えるためにはいかに民間を巻き込むかだと思っていまして、学校もどんどん作っていきたくて民営化もどんどんしていきたい。

その中で教育に対して企業なり人が寄付をすると控除ができるというふるさと納税の仕組みが教育の中に入ってくると、特に企業の場合だと自分たちの学校を持って自分たちのところに寄付をすることによってそれが控除されるのであれば、結果子供たちに投資する量が増えるということが可能になるんじゃないかなと思っていて。そういった仕組みの作り方ができるのであれば、今の選挙を変えなくても教育にお金が流れる状態が作れるのではないかなと考えています。

瀧口:税制を使って社会的なシステムを変えて行くというところですね。本当にできたらいいですよね。

神先:すばらしいですね。

瀧口:水野さん、新しい学校を作る構想もあると伺ったんですが。

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水野:そうですね。なぜIPOをしたいかというと次は新しい学校を作るということがやりたい。僕は教育を変える人物になりたい。オックスフォードって1249年からあるんですけど、800年弱続いている。そんな学校が作れたら最高だなと思っていて。調達したお金でみんながもっとこういう教育あったらいいよねっていうものに賛同し、そして学校を作りそこから地域が生まれる。オックスフォードってそこから地域が作られているんですよね。学校を中心とした地域作り。僕はデータがカギになると思っていて。

一人一人に合わせた教育をやりたいと思った時に、どういう能力を持った子が何歳の時にどういう人に出会ってどういう教材を使って、そこで人生がこういう風に変わっていきましたというのが一人一人ありますよね。それを一個一個データ化することによって、より最適化する。僕は一人一人の可能性を伸ばしたいんですよね。先生や家庭環境によらず、その子たちの能力が伸ばせるような環境を作れる研究施設を兼ねた学校、あとは先生の働き方もそうですし、お金の使い方もそうですし、OBとの関わりもそうかもしれないし。

例えばそういう学校が系列であって、1学期は東京で学ぶけど2学期は香港で学んで、3学期はフランスで学び、次の年は鳥取で学ぶ。いろんなダイバーシティを学べますよね。そんな感じのものがあってもいいし。学校にチャレンジしたいなと思っています。

瀧口:新しい在り方に挑戦していきたいということですね。

(C)Paravi