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瀧口:そもそも水野さんがプログラム教育に興味を持たれたきっかけは何ですか?

水野:僕はもともと非常勤講師として高校生に物理を教えていたんです。開成高校と早稲田高校で教えていたんですけど、生徒たちから「プログラミングってどうやって学んだらいいんですか?」とか「ゲーム作りたいんだけどどうしたらいいですか?」って聞かれるんです。あとは「これ作ったんだけど見てよ」って。見てよというのは褒めてということですよね。

昔だとプログラミングってオタクみたいに思われちゃったりして誰からも褒めてもらえなかったり、お母さんからもパソコンばっかりやってると言われたりして。今はそんなことはないですけど。でもやっぱり人って好きなものじゃないと伸びないと思っているので、中高生の教育をまだまだ変えなくてはいけない。例えば偏差値型の教育や詰め込み型の教育、全員が平均点を取ればいいという教育など。

たぶんみんなもっと良いものがあればいいのにって思っているけど、それを変えるチャレンジャーも少ないなと思いまして。プログラミングが好きな子もすごく多かったので、その子たちが親御さんから褒められたりちょっと女子からモテたり、好きな分野でぐっと伸びていける環境を作るところから教育を変えて行くということで、"21世紀の教育変革"をテーマにこのプログラミングからやっていこうとスタートしました。

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神先:たしか水野さんはガーナでも教育プロジェクトをやられているんですよね。

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水野:たまたま1年くらい前にガーナの大統領がこちらにいらっしゃった時にお会いする機会がありまして。「野口英世になります」みたいなことを言って「じゃあやりましょう」みたいな(笑)。ガーナの国立大と高校と一緒に勉強させていただきながら、オンラインで学べる仕組みを作るということをやっています。

神先:私もアフリカでスタートアップに投資などさせていただいていますけど、日本とアフリカの違いだったり、社会に対してこんなことに貢献できたという実感って得られたりしましたか?

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水野:プログラミング教育というもの自体が、今は発展途上国でも先進国でもどこでも学ぼうとされていて、その子たちが楽しく学んでくれているということはすごく嬉しいですし、かつ授業としてもグローバル展開が見えやすいというか、なかなか学ぶ教材がない中でチャンスがあるなということも思いました。

神先:ライフイズテックさんがやられている事業って非常に社会性がある事業で、これまでプログラミングに縁のなかった子供たちがキャンプで学んでアプリを初めてリリースしたり、学校にあまり行かれていなかった子が開発の責任者になって社会に飛び出したりということを実現されているんですけど、これから先、社会性ということが企業にとってどのように重視されていくのか、水野さん自身のご意見を聞かせていただけますか?

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水野:僕ら"ソーシャルIPO"というものを掲げていまして。もともとの考えとしてはお金がある所に集まりすぎているというか。資本主義の否定ではないんですけど、バランスがちょっと悪いなと思っていて。本質的に人間社会がちゃんと発展したりサステナブルに持続していくために僕らは生きているし仕事をしているので、それに対して効率的に資本や人が流れる状態を作るべきだなと思っています。

今だと短期的なものにしかお金がつかないので、まず変えたいなと。例えばクラウドファンディングなどいろいろ出てきて、個人では自分が好きなものに投資や寄付ができる。それをIPO市場でできれば変わるかなと。その中で一つポイントとして、今はプロフィット、利益という一つの指標に対してPER(株価収益率)、成長性みたいなものが掛け算されて時価総額が決まります。

この時価総額に対して投資の量が決められて新しいことができるという仕組みなんですけど、例えばこれってCO2を出して1万円もらっている会社とCO2をなくして1万円をもらっている会社が、ややもすると同じに見えちゃう構図のアルゴリズムなんですよね。もちろんそれはIRとかいろんなものでやられているし、それが成長性の掛け算になっているんですけど、とはいえ基本的な掛け算が"利益×PER"なんです。

ここで僕はそのプロフィットと同じくらいインパクトというものが大事なんじゃないかと思っていて、インパクトも同じように何か掛け算されるようなものができて、時価評価額に反映されるような形ができるのであれば、よりサステナブルな、必要なものに対してよりお金が流れる状態を作れるんじゃないかと思って、そういうことを考えています。

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神先:IPOというのはいわゆる東京証券取引所に株式会社が上場して株を発行して、投資家さんからお金を集めて、事業で生かしていく。"ソーシャルIPO"というのはいわゆるIPOした会社さんが社会性を持って事業をやっている場合に利益の指標に加えて、さらに評価をされるべきだという考え方という理解でよいでしょうか。

水野:はい。僕は株主というのはファンだと思っていて、インパクトやプロフィット両方に対して支援してくれるファンが増えれば増えるほど、当然時価総額も上がっていくからリターンも返せる。それを新しい株式市場でやると小さくなっちゃうので、東証だったらマザーズなどのそういう所でちゃんと認められる状態を作ることが、この社会の大きな流れの一つの仕組みになるかなと思っていて。今ならSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)などありますけど、チャレンジしたいなと思っています。