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水野雄介CEOはもともと教師志望。IT教育が社会に及ぼすインパクトを痛感し、ライフイズテックの創業を思い立った。今、思い描くのは同社の事業のような「社会的課題の解決」への取り組みを評価して投資家が資金を出す「ソーシャルIPO」の仕組みの実現だ。その発想はどうして生まれたのか。そして教育事業を今後、どんな形に発展させたいのか。水野CEOが夢と構想を語った。

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瀧口:今回は生徒さんたちが作られたアプリが実際にどんなものなのか、見てみたいと思います。

水野:今まで200人以上がアプリをリリースしているんですが、例えばこれは「STUGUIN(スタグイン)」というアプリです。このアプリはその子が勉強していた時、友達からLINEが来て返信したりすると勉強ができなくなるという、負のSNSスパイラルの課題を解決しようということで作られました。これをやっている時には他のアプリが開けない仕組みになっています。

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瀧口:なるほど。

水野:そうすると結果的にどんどん勉強が加速されるだろうという、自分の課題を解決するところから生まれました。

瀧口:面白いですね。

神先:途中でLINEが来ると気になりますもんね。

瀧口:勉強じゃなくても仕事でも欲しいですね。これ使ってみます。

神先:見た感じUIもすごく綺麗ですね。

瀧口:女性の生徒さんですか? 女の子らしい優しい色合いですね。

水野:今まで生徒たちが出した中で、ダウンロード数ランキング上位5人は全員が女子なんです。

瀧口:そうなんですか。

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水野:デザインなどすごくこだわって作っているんですよね。あと中1の子が作った「席替え!楽!楽!」というアプリ(笑)。この子は広告なども入れているんですけど、小学校の頃席替えする時にケンカしちゃうので、それを何とかできないかということで作ったアプリです。例えば30人って入れると自動で席を決めてくれる。

神先:くじみたいな感じなんですね。誰がどこに座るかランダムに決まると。

水野:そうです。この子は高3になって学校にも行けないみたいな子だったんですけど、これですごく自信をつけて、10個以上のアプリをリリースしていろんな大会で優勝しました。今後は大学に行かずにある会社のCTOとしてやっていくということになりました。

瀧口:高校卒業していきなりCTOに。すごいですね。

神先:開発責任者ということですよね。

水野:すごく能力のある子でしたね。

瀧口:キャリアに直接つながっていくんですね。

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水野:あとこちらはアレルギーの「allergy(アレジー)」というアプリなんですけど、これも中1の子が作ったもので、アプリ甲子園で優勝したアプリです。

瀧口:言語が選べるんですね。

水野:例えば落花生と卵にアレルギーがあったとしたらそれを選択します。自分がフランスに行った時に全然伝えられなかったということから、いろいろな国に対応していて。これを見せると自分は何のアレルギーがあるか伝えられると。

瀧口:なるほど。

水野:この子は孫正義育英財団に1期生で合格して、今高1かな。中3の頃からシンガポールで学びたいと言って今は海外で学んでいます。

瀧口:優秀な生徒さんなんですね。

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水野:僕らは「Why Don`t You Change the World? 世界を変えよう」ということを子供たちに言っているんですけど、プログラミングは世界を変えるための一つの手段で、自分で身の回りの問題、自分のためでもお母さんのためでもおばあちゃんのためでもいいんですけど、それをアプリで解決すると自分の課題も解決するし、他の人も同じように困っていたらそこから広がっていくものだから、そういうところからプロダクトを作っていこうと言っています。こちらは「お薬のじかん」というアプリで。

瀧口:すごく字が大きくて分かりやすいですね。

水野:すごい簡単なんです。

瀧口:「飲んだ」ってありますね。

水野:お母さんが毎日おじいちゃんに薬を飲んだか確認するのが大変そうだということで、おじいちゃんがこのアプリをダウンロードして、薬を飲んだら「飲んだ」ボタンを押すと、お母さんや関係の方に通知が行くというものです。これはいいですよね。

瀧口:めちゃくちゃいいですね。これ。

神先:老眼でもちゃんと見えますしね。

水野:そういうのもちゃんと計算されて作っていますね。このようにプログラミングを用いて課題を解決すると。

瀧口:身近にある「これ大変だな」、ということを解決してくれるんですね。面白い。こういったものをプログラムの中で作っていくと。

水野:そうですね。キャンプやスクールに通いながら、何を作ったらいいか大学生とも相談して。半径2mでいいから変えていこうよと言っています。