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神先:いわゆるユーザーエクスペリエンス、今回だとラーニングエクスペリエンスってありますけど、各国で感じ方が変わると思うんですね。今回北米で出された時には、そのまま輸出できたんですか?それとも日本とアメリカで中身を変えたり工夫されたことはありましたか?

水野:逆にディズニーさんとの話の中で、中身自体の変更はほとんどせずにやってみようというのがありました。日本らしさを作ったアニメ―ションも入れてプログラミングの教材作っているので、それをそのまま使ってみようと。実際にやってもらったところご家族で使いたいというご要望がすごく多くて。一人で学ぶよりも家族みんなで学んでいこうという方も多かったですね。

瀧口:日本だとお子さんが一人でやる感じなんですか?

水野:日本だと結構大人の方も買ってくださっていて。想定の5倍くらい売れましたね。

瀧口:日本らしいアニメというお話をされていましたけど、実際どういう方がどんなクオリティで作っていらっしゃるんですか?

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水野:副代表の小森(勇太)というものが一番の責任者としてやっていて、システム側では元スクウェア・エニックスのCTOをやっていた橋本(善久)という者が今うちのCTOをやってくれています。クリックしながら進んでいくというシステムを作ったのが橋本です。

あれは何から来ているかというとゲームから来ているんですが、例えば「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」って村人に話を聞いて、また話を聞いて、また話を聞いたら勝手に洞窟に行けたりするじゃないですか。あれって細かいレベルデザインがされているんですよね。誰でも行けるようになっている。学びもそうあるべきだと思っていて、大きい段差も階段を小さく作ってあげることによって誰でも行ける。「ピンポン、ピンポン」となるのもそこなんですけど、3秒ごとに成功体験を感じることができるわけです。

瀧口:ご褒美がその都度来る感じが楽しさにつながってくるということですね。

神先:飽きずに進められると。

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瀧口:ライフイズテックは2010年に創業で2011年からスクールを始められていますが、これまで何人くらいの生徒さんが学ばれたんですか?

水野:延べ4万2千人くらいの子が学んでくれています。

瀧口:人数としてはかなり多いですね。

水野:一応世界で2番目の規模でやらせていただいています。キャンプという短期集中型、毎週通うスクール型のもので来てくれています。

瀧口:ちなみに世界で1番はどこになるんですか?

水野:アメリカにあるキャンプの会社で、ティーン向けの会社ですね。

瀧口:ライフイズテックさんもまさにティーン向けに展開されているということですね。

水野:そうです。

瀧口:スクールとキャンプ。スクールは通いでキャンプは短期集中型ですが、両方作ったのはどういう理由からでしょうか?

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水野:最初はキャンプからスタートしました。夏休みに今だと東大や慶応大学や大阪大学など全国いろんな大学でやらせていただいていますが、場所というのをすごく大事にしています。ディズニーランドに行くくらいの感覚で学べたら楽しいなと。ただスキルが身に付くだけではなくて、ワクワクしながら未来も見据えて学べる。5日間くらい子供たちが来てくれるので、その場の空間や体験って僕人生変わる可能性もあるなと思っているんですよね。その体験作り、空間作りということでキャンプというところからスタートしています。

瀧口:大学が会場になっていると。

水野:はい。大学を会場にさせていただいています。

瀧口:自分の中高時代やってみたかったなと思いますね。大学って気軽に行っていい場所と思っていなかったので、そんな体験がティーンの時にできるっていいですよね。

神先:キャンプだと短期集中なので、友達ともすごく仲良くなれたりしますよね。

水野:おっしゃる通りです。みんなで泊まったりするのでお風呂に一緒に入った瞬間すごく仲良くなりますよね(笑)。すごいなと思って。

瀧口:裸の付き合いで。距離感が縮まりますよね。

神先:スクールは全国で何校くらいあるんですか?

水野:全国に7校でやらせていただいています。関東が中心で本校と横浜と池袋と秋葉原、あとは大阪と名古屋です。

神先:今スクールとキャンプの料金はいくらぐらいでしょうか。

水野:キャンプが5万9800円から。スクールが月2万円でやっています。

瀧口:キャンプは思ったよりもお手頃な感じがしますね。

神先:夏休みとか通わせたいですよね。

瀧口:ちなみに教師の方はどういう方がやっていらっしゃるんですか?

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水野:今大学生がやってくれています。"メンター"と僕らは呼んでいるんですけど、全国で500人くらい所属していて、約100時間の研修をして受かった子たちだけがなれます。ちょっと斜め上の先輩が教えてくれるというか、こんな先輩になりたいなという憧れを持ってその人が行っている大学に行きたいな、研究室に行きたいなというような環境を作ってあげる。上から言われるような感覚だけど、ちょっと友達にも近い。

瀧口:斜め上って面白いですね。真上だと萎縮しちゃったりしますしね。

神先:スクールを学ばれて卒業して、メンターになる子もいると。

水野:そうですね。最近すごく増えてきてありがたいですよね。

瀧口:それはうれしいですね。

神先:まさにエコシステムですね。

瀧口:今までの参加者にはどんな方がいますか?

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水野:例えば名古屋の女の子で高校1年生の時に来てくれた子なんですけど、最初はプログラミングは何もわからないけどキャンプが楽しくて来るという感じだったんです。でも2、3回目から「コードを書くの楽しい!」となってきて。高校2年生の時に「STUGUIN(スタグイン)」というアプリを作って自分でApp Storeでリリースしたんです。結果今15万ダウンロードくらいされているという。

神先:すごいですね。

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水野:それでAO入試でSFC(慶応義塾大学 湘南藤沢キャンパス)に合格して。関東に出てきて今大学4年生なんですけど、僕らの所でメンターとしてやってくれています。

瀧口:アプリを作ったということが大学側からも功績として認められたということですか。

水野:おっしゃる通りです。

瀧口:時代が変わっていく感じがしますよね。

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