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瀧口:コーポレートチームに関しても上場に向けて手厚くしていきたいというところはあるんでしょうか?

宮田:上場に関して言いますと、採れる選択の一つだと思っていまして、自己成長のためにそれが必要であれば検討するという感覚ではいるんですけど、ただ我々、62億円の資金調達の時に海外投資家からの資金調達を行ったんです。なぜ国内ではなく海外の投資家にお願いしたかと言いますと、やはり北米を中心にSaaSのノウハウが貯まっていて、彼らSaaSへの理解がすごく高いんですよね。

話していても日本の投資家よりも海外の投資家の方が話が早かったりより深い議論ができるので、海外投資家に目を向けていこうと思っています。一方でドキュメントが英語になったりと難易度が高くなったりするんですけど、難易度が高い仕事をやりたいという強いコーポレートチームを作っていきたいという思いもあります。

原:日本の投資家というのはまだSaaSに対しての理解度は低いんですか?

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宮田:相対的には現状ではまだ低いかなと言う感覚があるんですが、国内でもSansanさんやfreeeさんのようなSaaSメーカーの上場が増えてきたおかげで皆さんちょっとずつ詳しくなっている。特に若い投資家の方は顕著ですごく詳しかったりするんですよね。今後日本の投資家の皆さんの中でもSaaSへの理解は深まっていくと思いますし、我々としても日本の投資家の皆さんとコミュニケーションを取らせていただく機会が増えてくるかなと思っております。

原:一方で海外に比べると日本はSaaS後進国というか、なかなかスイッチしないというのは投資家は変わろうとしてると思うんですけど、どの辺に問題があるんでしょうか。

宮田:そもそもSaaSをやっている会社の数自体がまだまだ少ないなと思っています。最近よく使っているデータがあるんですけど、アメリカだと2000名以上の大企業は一社平均120個のSaaSを導入しているらしいんですね。

瀧口:そんなにですか?

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宮田:そんなになんです。ところが日本で我々のお客さまで2000名以上の会社さんに行くと、SmartHRがその会社が初めて使うSaaSですという会社も珍しくないんですよね。これはいろんな理由があると思うんですけど、やっぱりまだそんなにSaaSビジネスをやる会社が出てきていないというところが大きいと思っています。そして前例がないとやらないという会社さんも多いので、我々がその前例を作るべくその会社が導入する最初のSaaSになるぞ、という意気込みでやっています。

原:やっぱり海外だとそのツールに合わせて仕事のやり方を変えようというマインドがあるので、SaaSやパッケージソフトに合わせようという感覚でみんながわっと会社が変わるんですけど、なかなかそのマインドが変わらないとSaaSでもこういう機能はないのかとか、うちはこういうやり方しているんだということになってきて、そういったことに一個一個対応したら意味ないですもんね。

宮田:そうですね。我々は基本はカスタマイズはお断りしていて、SmartHRをどの会社さんも使える汎用性のあるものにしたいと思っています。ただ我々のジャンルは比較的どの会社さんにも同じやり方でやってくださいとお願いしやすいジャンルでありまして。例えば会計というのは会計基準や簿記などのやり方が整備されていて、各社さんやり方がそれぞれ決まっていたりするんですけど、我々はそういう基準やベストプラクティスが無いジャンルなんですよね。なので企業さん側もそのやり方が本当に正しいのか分かっていなかったりするんです。

原:昔からやっていたから、くらいの感覚なんですね。

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宮田:なので他のジャンルよりも納得してもらいやすいジャンルだと思っていますので、SmartHRがその会社に初めて入るSaaSという状況が今後多くなると思うので、SaaSっていいじゃないかと。提供されているサービスに乗っかっていく方が楽じゃないかというサービスも一緒に作っていけたらと思っています。

瀧口:今人事労務という領域でやっていらっしゃいますけど、他にもやりたいと注目されている分野はありますか?

宮田:今までは人事労務の手続き周りを中心にやってきたんですけど、副産物として従業員さんの人事データがどんどん貯まっていっている状態なんですね。今後はこれを可視化するような製品をいくつか作っていきたいと思っております。例えば社員名簿を簡単にカスタムして作れる機能や、企業向けのHR向けのBIツールなどを昨年出したりしていて。

瀧口:どんなものですか?

宮田:会社の離職率を店舗別に出したり、どの部署が残業時間多くなっているかなど、人事データをさまざまな形で可視化するためのサポートをするものです。

瀧口:いいですね。