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瀧口:ピンチだった時はあるんですか?

宮田:やはりSmartHRを思いつくまでは受託開発をしながら食いつなぐという感じだったので、会社の銀行口座の残高が10万円、個人の残高が10万円、来月娘が生まれるけどどうしよう、みたいなこともありましたね。

原:でもピンチの時でもあまり変わらなそうですよね(笑)。

宮田:そんなことはないです(笑)。

瀧口:トーンが穏やかな感じがしますよね。オフィスが去年の4月に移転されて、人数がどんどん増えていると。

宮田:1年前は100名ちょうどくらいだったんですが、今ちょうど200名くらいになりまして、1年間で約2倍の規模に増えています。

瀧口:急速に組織が拡大するとカルチャー作りも難しいのかなと思いますが、気を付けていることやこだわっていることはありますか?

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宮田:会社としてものすごくこだわっているのは、とにかく経営に関する情報をオープンにするということです。というのも私たちの会社の組織作りのコンセプトに「100の問題を100人で1問ずつ解く経営」というのを掲げていまして。何かと言うとスタートアップを創業して上場まで持っていくのは難しい問題を100個解いていくようなものだと思うんですね。

どの機能がついたらサービスを公開していいのか、どうやって人材を採用するのか、資金調達はどうするのか。そういう多岐に渡る難しい問題を全部社長が解くのは難しいと思っていて。解くのも遅いですし、1問1問にトライアンドエラーもできないので正解に近づくことも難しい。これを100人で1問ずつ分担できれば100倍早いですし時間も速いしトライアンドエラーができるのでより正解に近づける。そういう経営をしたいなと思っているんですけど、新入社員にいきなり会社の問題をみつけて解いてくださいというのは難しいと思っているんです。

でも持っている情報が経営陣とメンバーが同じであれば意思決定は似てくると思っていて。我々はどんどん現場に権限委譲して、それだけではなくて会社の経営状況も包み隠さずオープンにする。彼らに自分で会社の問題を発見してもらって自分で解決してもらうという組織経営をやっています。そのために情報をオープンにすえるのが非常に重要でして、これはかなりこだわっているポイントです。

原:どういう形で公開しているんですか?

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宮田:例えば全てのKPIがスプレッドシートでまとまっているんですが、全社員がアクセスできますし、経営会議の議事録も全員が見ることができます。それだけじゃなくて毎週経営会議が終わった後に全社会もやってまして、こんなことを話しましたとか、必要なKPIの状況はこうですとか、銀行口座の残高はこれくらいありますとか、そんな話をしております。

瀧口:そうなんですか。

宮田:昨年夏に62億円の資金調達をしたんですが、その直前は残高が心もとなくなっていくんですね。その状況も社員に公開して、でも資金調達の状況は順調だから安心してKPIを伸ばすことに専念してくださいと。

原:今のお話を伺って感じるのは、聞いてなかったとか知らなかったってことが逆に許されない組織というか。情報にアクセスしてみて自分で考えるという、そんな感じもしますね。

宮田:そういう人材を求めていますし、透明性で言いますと採用資料と言いますか・・・面接で使う資料も外部に公開していて、その中に給与テーブルや各テーブルごとの人数比、昇給率も外部向けに公開しています。2018年夏に公開したんですが、公開して1年半で110万回くらい閲覧されています。

原:SmartHRのカルチャーというのはオープン性というところにあるんですか?

宮田:そうですね。他にもいくつか弊社の代表的なカルチャーはあるんですが、社員に「一番会社に変わってほしくないところは何ですか?」と調査した時にダントツで「情報の透明性」ということが上がってきて。それだけ浸透していると。

原:それでもこっそり隠しているということはありますか?

宮田:それは非公開だよという情報もありまして。

原:それも一応あるんですか。

宮田:一つは具体的な給与の額面というのは隠しています。

原:それぞれの社員の給料の金額ですね。

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宮田:給与テーブルとレンジと何人いるかというのは公開していまして、社員は誰がどのレンジにいるかは分かるんです。これは公開するメリットもあると思っていまして。あの人くらい成果を出せばこれくらいもらえるというのが分かるというのはモチベーションがプラスに働くこともあると思います。一方で誰が2万円多い、3万円多いということになるとあまりプラスに働くことは少なくて、ギスギスの温床になると思うんですね。メリットが感じられないことは隠します。

あと1on1という個人面談を頻繁にする会社なんですが、そこでメンバー側から共有してもらった情報は非公開にしています。これも公開してしまうとしゃべりづらくなってしまうんですよね。基本的にこの二つは非公開にしています。

原:自分より給料が3万円高かったら毎月おごらせますよね(笑)。

瀧口:そうですね(笑)。

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