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瀧口:それをまさにやっていらっしゃるのがSmartHRということですね。具体的にどんな手続きを扱うことができるのか、もう一度見せていただけますか?

宮田:いろいろあるんですが、分かりやすいもので言うと入退社の社会保険手続きや雇用契約をオンラインで結ぶことができます。あとは年末調整もやっていますね。原さんの会社は年末調整はどのようにやっていらっしゃいますか?

原:弊社は非常にアナログなので、こういう所でお話しするとすごい古いと思いますけど、毎年年末になると封筒が各机に置かれます。私の机が汚いのでなくなったりすることもあるんですけど(笑)。封筒を開けるとハンコを押したり書いたりする書類が入っていますが、それが自動でできるんですか?

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宮田:簡単にできるようになります。年末調整って従業員さん側からすると3枚から4枚のすごく小さくて面倒な書類を手書きで書いてハンコ押して、持って行っても間違っていると言われる。従業員さんからしてもめんどくさいものなんですけど、実は人事の方からしたらもっとものすごいめんどくさいものなんです。

例えば2000名くらい従業員さんがいて店舗が100店舗ある飲食チェーン店さんの人事の方は何をするかというと、まず4枚×2000名、8000枚の書類を印刷します。それを段ボール100箱にそれぞれ詰めて各店舗に送ります。店舗の店長さんやアルバイトさんはそんなに書類の書き方に詳しいわけではないので、年末調整シーズン2カ月間くらいは書き方の問い合わせでずっと電話が鳴りやまない。そしていざ回収しても半分くらいの方が間違っているらしく、「この内容でいいですか?」って確認しながら一つ一つ訂正したり、すごく大変なんです。

原:計算式も複雑なんですよね。

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宮田:そうですね。そのめんどくさい年末調整がスマホで簡単にできます。何回も同じことを書かされると思うんですが、SmartHRで入社手続きされている方は住所もあらかじめ入っていますので、「この住所で合っていますか?」と聞かれて、"はい/いいえ"で答えるだけで簡単にめんどくさい年末調整が終わる。そういったさまざまな人事周りのペーパーワークをなくすという形でやっています。

原:人事部だけでなくて、従業員の方にとっても結構メリットがあると。

宮田:おっしゃる通りです。法人向けのサービスなのであまりツイッターやSNSで口コミされる類の製品ではないのですが、それでも年末調整シーズンになると「SmartHRの年末調整めちゃめちゃ簡単だった」というツイートが、多い日には200件ほどありますね。私たちとしてもうれしい反響ですね。

瀧口:具体的にどれだけ効率化されたということがわかる数字はありますか?

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宮田:例えばお客さまからよく言われることは、SmartHRを入れたことで労務関係のめんどくさいペーパーワークが三分の一になったりとか。ご導入いただいているお客さまの中にホテルニューオータニさんもいらっしゃるんですが、大体75%くらいのコスト削減が見込めるとのことです。大規模の店舗をたくさん抱えていらっしゃる会社さんだと、契約社員の方の雇用契約書を定期的に結び直さなくてはいけないんですが、今まで回収に1ヶ月半くらいかかっていたのが10日くらいまで短くなったという声もあります。その他反響をたくさんいただいております。

瀧口:導入したいですね(笑)。

原:私も書類書き間違えたりすぐ電話しちゃったりしてますね。

宮田:昨今働き方改革も話題じゃないですか。でも人事の方は自分たちが一番ペーパーワークで残業が多くて。「働き方改革が必要なのは人事ですね」と皮肉のような冗談を言われることが結構多いです。

瀧口:最近急成長されているということですが、実際導入されている企業はどういった所があるんでしょうか。

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宮田:サービスを出した当初はメルカリさんやラクスルさんなどのITベンチャー企業の導入が多かったんですが、最近は飲食チェーン店、例えば「すき家」のゼンショーさんや、小売りのチェーン店のヴィレッジヴァンガードさんなどいろんな会社さんにご利用いただいていて。最近はサービス産業全般、病院や学習塾、ホテル、カラオケチェーン、学校法人などにも導入され始めてまして、関西学院さんにも導入いただいております。

瀧口:学校の先生たちの働き方改革も言われていますよね。

原:従業員が多い会社を中心に入っている感じですか?

宮田:もともとは小さい会社さんをターゲットにスタートしたんですが、最近は一番大きい規模だと10万人規模の会社さんにも導入いただいて、どんどん大企業の比率が高くなっています。特にニーズが高いのは従業員の入れ替わりが激しい業態。たくさんアルバイトさんを抱えていらしたり、多店舗展開していてバックオフィス業務は本社がやっていて、紙の郵送やFAXのやり取りをなくしたいという会社さんのニーズは非常に高いです。

瀧口:解約率がすごく低いと聞いたんですけど、どれくらいですか?

宮田:今、売上ベースの解約率は月次で0.5%くらいです。

瀧口:ということは99.5%は継続しているということですね。

宮田:おっしゃる通りです。