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神先:やはりスタートアップだと人の移動が特に初期は激しいと思うんですけど、オフィスで離職率を下げるみたいな、オフィスに魅力をどう作るかということはどういったところになるんですか?

村上:オフィスで"ゼロを1"にはできないと思うんですけど、1を10、10を100にすることはできると思っています。つまり会社の魂というか「Why」ですよね。なぜやるか。それがあるからミッション・ビジョンがあると思うんですけど、それがオフィスによって拡張されて社員もなぜ働いているのかとか、なんとなく進んでいる方向が大丈夫だなという安心感とか。自分たちこれをやっていて大丈夫だなという安心感につながると思うんですけど、それがなくて単にかっこいいオフィスにしてもゼロは1にならないので、便利だね、カッコイイね、さよならって(笑)。

瀧口:なりがちですよね。

神先:今後さらにオフィスを進化させていきたいというところでは、どうしていきたいというビジョンはありますか?

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中川:一つ前の話に戻るんですけど、どうやって生産性を上げていくかということはもっと深掘りができるかなと持っていて。僕らコミュニケーションとモチベーションと二つに分解して、モチベーションが上がるオフィス。かっこよくてもモチベーションって上がらないじゃないですか。本当にモチベーションが上がるオフィスを実現できたら競争優位になると思うので、そこにチャレンジしていきたいと思っています。

僕らがやってることで、上司と部下が毎週30分時間とれますよっていうのは心理的安全性にもつながっていて、30分も話すと本当に思っていることが出てくるんですよね。それが心理的安全性にもつながっているということで。あと先ほどビジョンのお話がありましたけど、それは僕らも大切にしていて、全員のビジョンを社内イントラで公開してるんです。全社員が見られる。全員が「自分のV2MOM」と呼んでいるんですけど、Vision(ビジョン)、Values(価値)、Methods(方法)、Obstacles(障害)、Measures(基準)。

つまり自分がどういったビジョンでどんな価値観で、どんな方法論で、そのためにどんな課題があって、それをあなたは何をもって評価されたいですかというもの。メジャーというのはものさしです。例えば営業などは分かりやすいですよね。営業以外の社員は全員メジャーを作るんです。私はこの半年~1年でこの数字をここまで上げれば会社に対して貢献したって言えますよねって、上司部下で握ります。それをただエクセルでやると半年に1回くらいしか見ないので、ウェブで公開して社員同士で見ることができる。

それがどうなるかと言うと、初めて面談する時もこの人は何ができたら評価されるということもわかるので、社員同士のコミュニケーションのギャップが生まれにくいんです。二つ目はここまでやったら評価してくれますよね、ということを自分も忘れないし上司も忘れないので、成長実感につながりやすいんです。そういうことをちゃんとすることによって、モチベーションが上がるような空間を作っていきたいと思っています。

瀧口:なるほど。自分がここを頑張るからそれを見ててもらえるというのがモチベーションにつながると。

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中川:大きな要素の一つだと思います。先ほど1on1ブースの話で何がつながるんだろうということを一つ一つ見ていて、今ヒントを見つけられたかなと思うのは、人に感謝されること。感謝することってモチベーションにつながると思ったんですよね。ただそれを「ありがとう運動」とかにしちゃうと途端にトーンが変わってきちゃうじゃないですか。若い人ってそういうの恥ずかしがりますし。「あいさつしましょう」というのと同じで昔的になっちゃうので、最近ありがとうのカードを送り合えるサービスを始めました。

1ポイントにつき2円、実際に会社が翌月給料と一緒に振り込むシステムです。ありがとうって50ポイント送るとお給料で100円多く振り込まれる。お金をセットにしないとみんな途中でやめちゃうんですよね。ある意味そういうところは大事だと思っていてそれが今うまく回っていて、いろんなありがとうが会社の中を飛び交うような状態になっています。それがモチベーションの向上につながっている社員が非常に多くなっていると思うので、やってよかったと思っています。ただモチベーションを上げるというのは終わらない戦いなので、いろんなことにチャレンジしたいと思っています。

瀧口:面白い取り組みですね。村上さんは今後オフィスがどう進化していくか、潮流をどう見ていらっしゃいますか?

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村上:今まで分断されていたものが統合されていくような気がしています。どういうことかというと、PhoneAppliさんもテレワークができるようにテクノロジーで解決されていますよね。社員が今までは家とオフィスで働く場所と安心な場所を分けていたものを、オフィスにも安心や外にあるような知的好奇心をくすぐるものを求められるようになっている。今まで分断されていたものが近づいている。

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我々も東急さんと日本郵便さんとコラボレーションして恵比寿にco-ba ebisuというのを12月にオープンしたんですけど、働き方の融和、統合を考えていて。今企業で働くだけじゃなくて個人で働くのも当たり前になっていて、その中には個人で働く人と小さなスタートアップの企業で働く人もいて、そこが一緒にコラボレーションしたり・・・そういう風に今まで分断されていたものが統合されていくんじゃないかと思います。

瀧口:それにふさわしい場がどんどん必要になっていくと。

村上:そうですね。

瀧口:ここまでお話を伺ってどうでしたか、神先さん。

神先:オフィスというものがただのオフィス、ただの働く場所というだけじゃなくて、社内のコミュニケ―ションにバリューを浸透させていくという、機能以外のところにオフィスに投資する価値があるんだなと。いわゆるスタートアップの経営者からしたらもっとオフィスの空間造りにお金も時間も投資していくべきなんだなと思いました。

瀧口:オフィスというのは経営者から働き手の方や対外的なメッセージになっているんだなと感じますね。

神先:初期だとどうしてもコストがかけられないので手を抜きがちだったりするんですけど、100人の壁というのがあるので、そのタイミングでオフィスに投資ができたらスムーズに組織作りが進むんだろうなと思いました。

(C)Paravi